在留諸申請における「登録証明書」とは
さて、これまでベトナム人とタイ人を雇用したい時の注意点を記事にしてきましたが、今回はカンボジア人を雇用したい時の注意点を書いていきたいと思います。
その前に、「二国間協力覚書」(MOC)について少しお話しておきたいと思います。実践的な手続きのお話ではないので、ご興味のない方は飛ばしいただいても差し支えありません。
「二国間協力覚書」(MOC)とは、日本と外国人労働者を派遣する国との間で交わされた規定です。特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し・受入れの確保等を目的として作成されました。
日本との協力覚書(MOC)を作成した国によっては、それぞれの国の国内規定に基づき送出手続を定めていて、その手続を行ったことを証明する書類を発行している場合があります。
日本側が特定技能外国人を受入れるに当たって、書類を確認することがMOCで規定されている国については、在留資格認定証明書交付申請及び在留資格変更許可申請(在留諸申請)時にその書類を提出する必要があります。つまり、提出書類が他の国の在留申請時より多いということになります。
この書類の提出が必要となる国が、ベトナム、タイ、カンボジアです。他のMOCを交わしてる国の労働者を受け入れる場合には、在留諸申請の時にプラスアルファで必要な書類はありません。
カンボジアとのMOCの中では、カンボジア人を特定技能で受け入れる場合には、地方出入国在留管理局に「登録証明書」を提出する旨が規定されています。以下が「登録証明書」のひな形です。
カンボジアに関する情報 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)(参照 2024-10-3)
「登録証明書」の申請手続きは、「日本にいるカンボジア人を雇用したい時」と「カンボジアにいるカンボジア人を雇用したい時」の2つのパターンがありますので、パターンごとに解説していきます。
日本にいるカンボジア人を雇用したい時
日本に在留するカンボジア国籍の方を雇用したい時には、必ずしも認定送出機関を通じて行う必要はありません。つまり、日本の受入れ機関はカンボジア国籍の方に対して直接採用活動を行うことが可能です。
ただし、「登録証明書」の発行は送出機関を通じて行う必要があります。
カンボジア政府から提供された認定送出機関のリストは、出入国在留管理庁ホームページで見ることができます。
カンボジアに関する情報 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)(参照 2024-10-02)
「登録証明書」と「在留資格変更許可」申請の流れ
下記のフローチャートと合わせてご覧ください。
- 受入れ機関とビザ希望者のカンボジア人(以下申請人)との間で雇用契約を結ぶ
- 申請人がカンボジア認定送出機関に「登録証明書」発行の手続きを依頼する
- カンボジア認定送出機関がカンボジア労働職業訓練省(以下MoLVT)に「登録証明書」発行の申請を行う
- MoLVTからカンボジア認定送出機関に「登録証明書」が発行される
- カンボジア認定送出機関から「登録証明書」が申請人に送付される(※1)
- 「登録証明書」を添えて、地方出入国在留管理局に「在留資格変更許可」申請を行う
- 地方出入国在留管理局から「在留資格変更」許可がおり、新在留カードが発行される(※2)
※1 「登録証明書」は申請人に発行されますので、受入れ機関や登録支援機関が「在留資格変更許可」申請を行う場合は、申請人から「登録証明書」を送ってもらってください。
※2 申請の流れを掴んでもらうために許可されたパターンのみを書いていますが、許可されない場合もあります。
カンボジアに関する情報 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
フローチャート|930004326.pdf (moj.go.jp)(出典 2024-10-3)
「登録証明書」発行にかかる期間
発行までの期間は、申請から2~3営業日だそうです。外国人の払う手数料は発生しませんが、法律により現地の送出機関がMoLVTに対して事務手数料を支払うよう定められています。
「登録証明書」手続きの問い合わせ先
駐日カンボジア王国大使館
〒107-0052 東京都港区赤坂8-6-9 〔電話番号〕03-5412-8521、080-3459-7889
メールアドレス:camemb.jpn@mfaic.gov.kh
カンボジアにいるカンボジア人を雇用したい時
「カンボジアにいるカンボジア人を雇用したい時」は認定送出機関の利用が義務付けられています。当然のことながら、日本にいるカンボジア人を雇用したい時に比べて、手間もコストもかかります。
カンボジア政府から提供された認定送出機関のリストは、出入国在留管理庁ホームページで見ることができます。
カンボジアに関する情報 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)(参照 2024-10-02)
「登録証明書」と「在留資格認定証明書交付」申請の流れ
下記のフローチャートと合わせてご覧ください。
- 申請人がカンボジア認定送出機関に求職登録をする
- 受入れ機関がカンボジア認定送出機関から人材の紹介を受ける(※1)
- 受入れ機関と申請人が雇用契約を結ぶ
- 申請人が「登録証明書」発行の手続きを依頼をする
- カンボジア認定送出機関がMoLVTに「登録証明書」発行の申請をする
- MoLVTからカンボジア認定送出機関に「登録証明書」が発行される
- カンボジア認定送出機関から申請人に「登録証明書」が送付される
- 申請人から受入れ機関に「登録証明書」を送付する
- 受入れ機関が地方出入国在留管理局に「登録証明書」を添えて「在留資格認定書交付」申請を行う
- 地方出入国在留管理局から受入れ機関に「在留資格認定証明書」が交付される(※2)
- 受入れ機関が申請人に「在留資格認定証明書」を送付する
- 申請人が在カンボジア日本大使館に査証申請を行う
- 在カンボジア日本大使館が申請人に査証を発給する
- 申請人が出国前オリエンテーションを受けて、カンボジアから出国する
※1 認定送出機関による求職者の人選を行う行為はあっせんに当たるため、送出機関から
人材の紹介を受ける場合には、送出機関が日本の人材紹介事業者としての許可をえていることを確認して下さい。
※2 申請の流れを掴んでもらうために許可されたパターンのみを書いていますが、許可されない場合もあります。
カンボジアに関する情報 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
フローチャート|930004326.pdf (moj.go.jp)(出典 2024-10-3)
「登録証明書」手続きの問い合わせ先
駐日カンボジア王国大使館
〒107-0052 東京都港区赤坂8-6-9 〔電話番号〕03-5412-8521、080-3459-7889
メールアドレス:camemb.jpn@mfaic.gov.kh
「登録証明書」発行にかかる期間
発行までの期間は、申請から2~3営業日だそうです。外国人の払う手数料は発生しませんが、法律により現地の送出機関がMoLVTに対して事務手数料を支払うよう定められています。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
カンボジアの方を特定技能で雇用する時には、「日本にいるカンボジア人を雇用したい時」と「カンボジアにいるカンボジア人を雇用したい時」では手続きの流れが違いますので、2つのパターンに分けてお伝えしました。
ただし、どちらのパターンもビザ申請をする際には、「登録証明書」を添付して申請をすることには違いありません。
「登録証明書」の申請に必要な書類についてもお届けしたかったのですが、公式に発表されたものがありませんでしたので、今回は書くことができませんでした。
確かな情報が確認でき次第、またこちらの記事を更新したいと思いますのでお待ちください。
具体的に「カンボジア人を雇用したい」という場合には、お調べしますのでお問合せいただければと思います。