「申請人に関する必要書類」とは
特定技能1号への「在留資格変更許可申請」書類は、「申請人に関する必要書類」、「所属機関(法人)に関する必要書類」、「分野別必要書類」の3種類に分類されています。
3分類の中の一つである「申請人に関する必要書類」には以下の16種類の書類が必要書類として挙げられています。
今回は、下記16項目の中の❾から⓰について、概要と注意点をお伝えしたいと思います。
- 特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表
- 在留資格変更許可申請書
- 特定技能外国人の報酬に関する説明書【参考様式第1-4号】
- 特定技能雇用契約書の写し【参考様式第1-5号】
- 以下の2点
- 雇用条件書の写し【参考様式第1-6号】
- 賃金の支払【参考様式第1-6号別紙】
- 雇用の経緯に係る説明書【参考様式第1-16号】
- 徴収費用の説明書【参考様式第1-9号】
- 以下の2点
- 健康診断個人票【参考様式第1-3号】
- 受診者の申告書【参考様式第1-3号別紙】
- 以下の3点
- 申請人の個人住民税の課税証明書
- 申請人の住民税の納税証明書
- 申請人の給与所得の源泉徴収票の写し
- 申請時点で申請人が国民健康保険の被保険者である場合
- 申請人の国民健康保険被保険者証の写し
- 申請人の国民健康保険料(税)納付証明書
- 申請時点で申請人が国民年金の被保険者である場合にのみ次の①又は②のいずれか
- 申請人の国民年金保険料領収証書の写し
- 申請人の被保険者記録照会(納付Ⅱ)(被保険者記録照会回答票を含む)
- 前回申請時に履行すべきであった公的義務に係る書類
- 公的義務履行に関する誓約書【参考様式第1-26号】
- 1号特定技能外国人支援計画書【参考様式第1-17号】
- 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書【参考様式第1-25号】
- 二国間取決において定められた遵守すべき手続に係る書類
※ ❾~⓫は過去1年以内の在留諸申請において提出済みの場合は提出を省略できます(現在もその内容に変更がなく、有効期限があるものは期限内の場合に限ります)。
下の表が、❶の「特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表」なります。こちらのリストは出入国在留管理局のサイトから入手できる書類で、提出書類の表紙となるものです。
在留資格「特定技能」 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
「申請人に関する必要書類」に関する概要と注意点
❾申請人の個人住民税の課税証明書・納税証明書・源泉徴収票
これら3種類の書類が何故一緒に記載されているのかというと、それぞれに関係性のある書類だからだからです。まずは、書類発行の流れを見てください。
まずは、課税対象となる給与額が記載された源泉徴収票が外国人の元の就業先から退職時や、年末調整後に発行されます。源泉徴収票とは1年間の給料の額、所得税の納税額が記載された書類です。
次に、STEP1の給与所得から算出された課税額が決定され、課税証明書が発行されます。だいたい翌年の6月ぐらいに発行する自治体が多いようです。
※必ず給与収入が記載されているものを取得して下さい。源泉徴収票記載の額と同じか確認し、同じでない場合は他に収入が無かったかを外国人に確認して、差額分の収入を追跡する必要があります。
※複数個所で勤務していた場合は、確定申告が必要です。そのうえで、税務署発行の納税証明書(その3) の提出も必要になります。税目は下記です。
- 贈与税
- 源泉所得税及び復興特別所得税
- 申告所得税及び復興特別所得税
- 消費税及び地方消費税
- 相続税
納税証明書とは、住民税の年税額および納付済額ならびに未納額が記載されており、納めた税額を証明するものです。こちらは、全ての納期が経過している直近1年度のものが必要なので、課税証明書と同一年度でない場合もあります。
なんとなく流れがお分かりいただけたでしょうか?
これをR6年10月に申請することを想定してみましょう。
まずは、課税証明書です。出入国在留管理庁の一覧表の注意書きに、「直近1年分が必要」と書かれていますので、R6年度分の課税証明書が必要です。
次に考えるのが、源泉徴収票です。「課税証明書で証明されている内容に対応する年度のもの」とありますので、R6年度の課税証明書で証明されているR5年度の源泉徴収票を準備します。つまりR5年に働いた1年分の給与収入等が記載されたものになります。
では、納税証明書はどうでしょうか。この時点でR6年度課税分の納税が終っていれば、そちらを提出します。終わっていない場合は、その前年度の課税分の納税証明書を提出してください。つまり、R5年度分の納税証明書です。R5年度分の納税証明書はR5年度の課税証明書分、つまりR4年に働いた給与収入に課せられる税金です。
また、外国人の方の入国年によっては、未入国の時期や課税所得の無い時期に当たる可能性があります。その場合は、提出できない書類とその理由を「理由書」(書式は任意です)に書いて提出します。
❿申請人の国民健康保険被保険者証の写し|申請人の国民健康保険料(税)納付証明書
申請時点で申請人である外国人が「国民健康保険の被保険者」である場合にのみ提出が必要になる書類です。申請時点で他社に雇用されている外国人は社会保険に加入している場合が多いですが、保険証を見せてもらうなどして、きちんと確認しておきましょう。
- 保険者番号及び被保険者等記号・番号を申請人側でマスキング(黒塗り)して下さい。
- 「保険料の納付証明書」は直近1年分が必要です。
- 納付や換価の猶予を受けている場合であって、国民健康保険料(税)納付証明書にその旨の記載がない場合には、これらに係る通知書の写しの提出が必要です。
⓫申請人の国民年金保険料領収証書の写し・申請人の被保険者記録照会(納付Ⅱ)(被保険者記録照会回答票を含む)のいずれか
申請時点で申請人が「国民年金の被保険者」である場合にのみ提出が必要です。次の内いずれかの提出が求められています。
国民年金保険料領収証書は、日本の国民年金に加入していることを証明するための書類です。この証書は、年金保険料の納付が確認されたことを示し、将来的に年金を受け取るために必要な重要な書類となります。
「被保険者記録照会(納付Ⅱ)」は、日本の社会保険制度において、被保険者の保険料納付状況や記録を確認するための書類です。具体的には、保険者が納付された保険料の記録や、被保険者の保険に関する情報を把握するために使用されます。
- 被保険者記録照会回答票(納付Ⅰ) …国民年金の保険料を納めた日が分かる書類
- 被保険者記録照会回答票(納付Ⅱ) …国民年金の全体の納付状況が分かる書類
❾~⓫の取得方法につきましては、以下のブログ記事にまとめています。
⓬前回申請時に履行すべきであった公的義務に係る書類
前回申請時に、⓭の参考様式第1-26号等を提出することによって、「納税義務の履行を誓約した場合」に提出が必要となります。前回申請時に提出すべきだった「納税証明書」や「納税緩和措置の適用に係る通知書」の写しなどを提出します。
⓭公的義務履行に関する誓約書
⓬で説明にあった「参考様式第1-26号」の書類です。❾~⓫までのいずれかに滞納がある場合にのみ提出が必要です。
⓬の書類は、前回のビザ申請時に滞納があった場合の書類であり、こちらの⓭は今回の申請時に滞納がある場合の書類になります。
⓮1号特定技能外国人支援計画書
下記の見本が小さすぎて見えないかと思いますが、ベトナム語対応の支援計画書になります。ここでは、書類の外観とボリュームをお見せしたかったので、詳しい書類の書き方については、また別のブログ記事にしたいと思います。
これを作成するのかと思うとぞっとされるかもしれませんが、登録支援機関に支援をお願いした場合には、登録支援機関に作成サポートをしてもらえるはずです(個々の登録支援機関によってサービス内容は異なりますので、サポートの有無はご契約予定又はご契約の登録支援機関にお尋ねください)。
もちろん、行政書士と契約した場合には、こちらの書類の作成も依頼できます。
こちらが大まかな記載内容です。
- 支援対象者(外国人)、特定技能所属機関(受入れ機関)、登録支援機関(委託する場合)の基本情報
- 支援責任者、支援担当者の名前、役職
- 支援内容
- 事前ガイダンス
- 出入国する際の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談・行政機関への通報
今回の❾~⓰の中で、唯一、全ての申請人が提出しなければならない書類です。
⓯登録支援機関との支援委託契約に関する説明書
支援計画の実施の全部を登録支援機関に委託する場合にのみ提出が必要な書類です。
⓰二国間取決において定められた遵守すべき手続に係る書類
対象の国籍は、カンボジア、タイ、ベトナム(令和4年3月現在)のみとなっています。つまり、「在留資格変更許可申請」時に、上記❶~⓯の書類以外に、何らかの追加の書類、もしくは認証された書類が必要になるのは、上記3国からの外国人を雇用する時のみということです。
二国間取決を行った国は他にもあり、それぞれにルールが違いますが、ビザ申請時に特別な書類の提出を求められるのは、今のところこの3国だけです。
詳しくは出入国在留管理局のホームページ、もしくは下記のブログ記事をご覧ください。
特定技能に関する各国別情報 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回ご説明した書類は、特定技能1号「在留資格変更許可申請」の内「申請人に関する必要書類」の❾~⓰です。❶から❽は以下のブログ記事をご覧ください。
- 申請人の個人住民税の課税証明書・納税証明書・源泉徴収票
- 申請時点で申請人が国民健康保険の被保険者である場合
- 申請人の国民健康保険被保険者証の写し
- 申請人の国民健康保険料(税)納付証明書
- 申請時点で申請人が国民年金の被保険者である場合にのみ次の①又は②のいずれか
- 申請人の国民年金保険料領収証書の写し
- 申請人の被保険者記録照会(納付Ⅱ)(被保険者記録照会回答票を含む)
- 前回申請時に履行すべきであった公的義務に係る書類
- 公的義務履行に関する誓約書【参考様式第1-26号】
- 1号特定技能外国人支援計画書【参考様式第1-17号】
- 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書【参考様式第1-25号】
- 二国間取決において定められた遵守すべき手続に係る書類
また、1年以内に提出していれば省略できる書類を再確認しておきます。
(現在もその内容に変更がなく、有効期限があるものは期限内の場合に限る。)
の場合は提出を省略できるもの。
❾申請人の個人住民税の課税証明書・納税証明書・源泉徴収票
❿申請人の国民健康保険被保険者証の写し・申請人の国民健康保険料(税)納付証明書
⓫申請人の国民年金保険料領収証書の写し又は申請人の被保険者記録照会(納付Ⅱ)(被保険者記録照会回答票を含む)
特定技能1号の書類に関してお困りの際には、是非当事務所にお問い合わせ下さい。女性行政書士が親切丁寧に対応いたします。
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