「所属機関(法人)に関する必要書類」とは
特定技能1号への「在留資格変更許可申請」書類は、「申請人に関する必要書類」、「所属機関(法人)に関する必要書類」、「分野別必要書類」の3種類に分類されています。
3分類の中の一つである「所属機関(法人)に関する必要書類」は、所属機関の規模や形態により作成・収集する書類の種類や数が異なります。詳しくは以下のブログ記事でお話ししていますので、こちらをご覧ください。
今回は、「所属機関(法人)に関する必要書類」の中でも、最も一般的な「第2表の2」の書類について、概要と注意点をお伝えしたいと思います。
- 特定技能所属機関概要書【参考様式第1-11-1号】(※1)
- 登記事項証明書(※1)
- 業務執行に関与する役員の住民票の写し(※1)
- 特定技能所属機関の役員に関する誓約書【参考様式第1-23号】(※1)
- 次のAからCまでのいずれかの場合に応じた書類(※2)
- A)初めての受入れの場合ー労働保険料等納付証明書
- B)受入れ中の場合(※労働保険事務組合に事務委託していない場合)ー労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写し及び申告書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し
- C)受入れ中の場合(※労働保険事務組合に事務委託している場合)ー労働保険事務組合が発行した直近2年分の労働保険料等納入通知書の写し及び通知書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し
- 社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し(※2)
- 税務署発行の納税証明書(その3)(※2)
- 次のAからBまでのいずれかの場合に応じた書類(※2)
- A)初めての受入れの場合ー法人住民税の市町村発行の納税証明書(直近1年度分)
- B)受入れ中の場合ー法人住民税の市町村発行の納税証明書(直近2年度分)
- 公的義務履行に関する説明書【参考様式第1-27号】
※1受け入れている任意の外国人に係る過去3年以内の在留諸申請において提出済み(現在もその内容に変更がなく、有効期限があるものは期限内の場合に限る。)の場合は提出を省略できできます。ただし、次の全ての条件に該当する場合に限られます。
①申請日までの過去2年にわたって継続して(特定の外国人に限らない。)特定技能外国人の受入れを行っていること
②申請日の前日から起算して1年以内に特定技能外国人の行方不明(受入れ機関の帰責性の有無を問わない。)を発生させていないこと
③申請日の前日から起算して1年以内に地方出入国在留管理局から指導勧告書の交付を受けていないこと
④申請日の前日から起算して3年以内に出入国管理及び難民認定法第19条の21第1項により改善命令を受けていないこと
⑤申請日の前日から起算して1年以内に特定技能に係る定期又は随時の届出(出入国管理及び難民認定法第19条の18に定めるもの。)を怠ったことがないこと
※2 受け入れている任意の外国人に係る過去2年以内の在留諸申請において提出済みの場合は提出を省略できるもの。ただし、現在も労働保険料等、社会保険料(健康保険・厚生年金保険料、国民健康保険料(税)、国民年金保険料)、税(国税、住民税)のいずれについても滞納がない場合に限る。
上記の必要書類一覧表と参考様式のある書類は、全て出入国在留管理局のサイトから取得することができます。
特定技能関係の申請・届出様式一覧 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
「所属機関(法人)に関する必要書類」の概要と注意点
❶特定技能所属機関概要書【参考様式第1-11-1号】
下記の4枚が「特定技能所属機関概要書」です。記載例も出入国在留管理局のサイトから取得可能です。
ここからは、出入国在留管理局のサイトにある記載例を見ていきましょう。
1 所属役員
役員名と役職を記載する欄です。役員数が5名を超える場合には、「別紙のとおり」とだけ記載して、役員名と役職を記載した書類をこの書類の最後に添付してください。
2 決算状況
決算報告書等に記載してある数値を記載してください。
経常損失等がある場合、「-」「△」など適宜の形で記載してください。
3 基準適合性に係る事項
該当がない場合には「0名」と記載してください。
4 中長期在留者の受入れ実績等
1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託する場合は記載不要です。
「受入れ・管理人数」には新規採用人数ではなく、延べ人数を記載して下さい。
❷登記事項証明書
登記事項証明書とは
「登記事項証明書」は、登記の証明書の総称です。
「登記事項証明書」には、「全部事項証明書」と「現在事項証明書」があります。「全部事項証明書」は、抹消された事項を含めて現在までの全てが記載され、登記の履歴が記載してあります。
「現在事項証明書」は、現在有効な内容のみを記載してあります。
登記事項証明書を取得できる人
登記事項証明書は、当該登記簿の会社の関係者でなくとも取得することができます。要するに誰でも取得できますので、委任状なども必要ありません。商業登記法にも以下のように記載されています。
((登記事項の概要を記載した書面の交付)
第十一条何人も、手数料を納付して、登記簿に記録されている事項の概要を記載した書面の交付を請求することができる。
商業登記法 | e-Gov 法令検索(抜粋 2024-10-20)
登記事項証明書の有効期限
発行年月日から3カ月以内のものが必要です。
コピーでもいいの?
いいえ、コピーではなく原本を提出してください。厳密には「登記事項証明書」は登記簿の原本に書かれた内容を証明した書類です。発行されたもの(3カ月以内)をそのまま提出すれば問題ありません。
登記事項証明書の取得方法
法務局などの登記所で、申請書(法務局ウェブサイト)に必要事項を記入の上、所定の手数料(法務省ウェブサイト)を納付すれば、登記事項証明書の交付を請求することが出来ます。
インターネットにて登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと (moj.go.jp)を利用することで、会社や自宅から登記事項証明書を取得できます。申請した登記事項証明書は、希望の住所に後日郵送されてきます。手数料も窓口申請より安く済みます。
❸業務執行に関与する役員の住民票の写し
「住民票の写し」ここに注意!
マイナンバーの記載がなく、本籍地の記載があるものを取得してください。申請用紙記入の際に記載項目を選択可能ですので、ここで選んで下さい。
「業務執行に関与する」とは「特定技能外国人の受入れに関する業務執行に関与する」という意味です。役員全ての住民票は必要ありません。
「写し」ってコピーのこと?
いいえ、役所から発行された住民票がすでに「原本(住民票)の写し」ですので、そのまま提出してください。
以前取得したものを使いまわしてもいい?
申請時に、取得年月日から3カ月以内のものでしたら提出できます。新規に取得する場合には、取得後3カ月以内に申請してください。
「住民票の写し」の取得方法
自分が住民登録している地域の役所に行き、窓口で住民票の写しの交付請求をします。このとき本人確認できる書類と手数料が必要になります。運転免許証、パスポート、個人番号カードなどを持って行って下さい。
自治体によっては、コンビニのマルチコピー機で住民票の写しを発行することもできます。利用には「利用者証明用電子証明書」が登録されたマイナンバーカードが必要です。この登録がされていないマイナンバーカードでは利用できないので注意してください。また、マイナンバーカードの暗証番号も必要になりますので、スマホにメモするなどしてコンビで確認できるようにしておきましょう。手数料の支払いも同時に行うことができます。
先にも書きましたが、どちらの場合でも、マイナンバーの記載がなく、本籍地の記載があるものを取得して下さい。
❹特定技能所属機関の役員に関する誓約書【参考様式第1-23号】
「❶特定技能所属機関概要書」で記載した役員から、「住民票の写し」を取得した役員を除いた役員の氏名を記入します。「特定技能外国人の受入れに関する業務執行に関与しない役員」がいない場合は必要ありません。
また、2枚目3枚目には、「出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)第2条の5の規定に基づき、特定技能雇用契約及び1号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令(平成31年法務省令第5号)(抄)(特定技能雇用契約の相手方となる本邦の公私の機関の基準)」が記載されていますので、目を通しておきましょう。
❹特定技能所属機関の役員に関する誓約書|出入国在留管理局 001338964.pdf (moj.go.jp)
❺労働保険料等納付証明書、領収証書等
3つのパターン
❺で提出すべき書類は、受入れ機関の状況により次の3つのパターンに分類されています。
- 初めての受入れの場合
- 受入れ中の場合ー労働保険事務組合に事務委託していない場合
- 受入れ中の場合ー労働保険事務組合に事務委託している場合
A.初めての受入れの場合
労働保険料等納付証明書(未納なし証明)を取得して下さい。
※取得後3カ月以内に地方出入国在留管理署に提出してください。
取得方法
厚生労働省 (mhlw.go.jp)から様式(下記に見本あり)を取得し、薄黄色で塗られた部分を記載していきます。
「所轄都道府県労働局総務部(労働保険徴収部)労働保険適用徴収主務課室」宛てに、郵送します。110円切手を貼った返信用封筒と様式2部(1部コピー可)を同封して下さい。
※所轄等道府県のところには都道府県の名前を入れてください。住所はネットなどで調べましょう。
右が【様式】です。こちらは労働者番号が一つの受入れ機関用です。労働者番号が二つ以上ある受入れ機関は、もう一つの様式を使用してください。
宛名
労働局長殿の前には労働保険料を納めている管轄の都道府県名を記載下さい。
所在地
法人の事業所の住所を記入します。(特定技能外国人が勤務する事業所の住所です。本社の住所ではありません。)
事業主氏名
役職と代表者名を記入します。
薄黄色以外のところは記入しないで下さい。
申請後、未納であれば、日付と労働局長名で押印がされたものが返送されます。
B.受入れ中の場合ー労働保険事務組合に事務委託していない場合
- 労働保険料等の領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し
- 労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写し(上記の領収証書に対応する分)
※直近2年分が必要です。
C.受入れ中の場合ー労働保険事務組合に事務委託している場合
- 事務組合が発行した「労働保険料領収書」(口座振替結果通知ハガキ)の写し
- 「労働保険料等納入通知書」の写し(前記の領収書に対応する分)
※直近2年分が必要です。
❻社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し
社会保険料納入状況回答票の取得方法は「特定技能」にかかる社会保険関係書類の交付|日本年金機構 (nenkin.go.jp)から申請書をダウンロードして記入し、日本年金機構特定技能担当係へ郵送もしくは申請書に必要事項を記載のうえ、添付書類とあわせて、事業所の所在地を管轄する年金事務所へご持参ください。
※申請の日の属する月の前々月までの24か月分が必要です。
❼税務署発行の納税証明書(その3)
取得すべき納税証明書の種類
税目が「①源泉所得税及び復興特別所得税」「②法人税」「③消費税及び地方消費税」のものを取得して下さい。
※①については、「申告所得税」ではなく「源泉所得税」です。
税務署で発行する納税証明書は、次の種類があります。この内の(その3)を取得します。
請求方法
- オンラインでの交付請求
- スマートフォンやタブレット、パソコンからe-Taxソフト(WEB版)を利用して交付請求を行うことができます。受取は税務署、郵送、電子納税証明書(PDFファイル又はXMLファイルの3つから選択することができます。
- 書面での交付請求
- 現在の住所地(納税地)を所轄する税務署に郵送で請求もしくは直接窓口にて「納税証明書交付請求書」を提出して交付請求を行います。
詳しくはG-1 納税証明書の交付請求手続|国税庁 (nta.go.jp)をご覧ください。
❽法人住民税の市町村発行の納税証明書
2つのパターン
- 初めての受入れの場合
- 受入れ中の場合
A.初めての受入れの場合
直近1年度分の法人住民税の市町村発行の納税証明書が必要です。
B.受入れ中の場合
直近2年度分の法人住民税の市町村発行の納税証明書が必要です。
請求方法
事業所の住所地の市町村役場のホームページをご覧いただくか、電話でお問い合わせ下さい。本人確認書類、手数料、委任状などが必要です。市町村によっては、コンビニで取得することもできます。
❾公的義務履行に関する説明書【参考様式第1-27号】
「所属機関(法人)に関する必要書類」の中の❺~❽の書類が以下に当てはまり、提出不要となった場合に必要です。
- 受け入れている任意の外国人に係る過去2年以内の在留諸申請において提出済みの場合
- 現在も労働保険料等、社会保険料(健康保険・厚生年金保険料、国民健康保険料(税)、国民年金保険料)、税(国税、住民税)のいずれについても滞納がない場合
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
「所属機関(法人)の必要書類」だけとってもこれだけの書類が必要になります。「所属機関(法人)の必要書類」には収集する必要のある書類が多く、日数と手間がかかります。
かといって、あまりにも早く取得しすぎてしまうと、申請の日から3カ月以内の書類が必要なものは、期限が切れてしまう恐れがあります。早すぎず、遅すぎず取得スケジュールを立てるのはなかなか大変な作業です。
このような問題に直面した時には、どうぞ行政書士長尾真由子事務所にご相談ください。相談料は無料です。
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