【企業向け】外国人留学生に内定を出したら──「特定活動(内定待機)」制度の活用ガイド

外国人留学生を採用した企業の皆さまへ。
卒業後すぐに入社できない場合、内定者の在留資格が切れてしまう可能性があります。そんなときに活用できるのが「特定活動(内定待機)」という在留資格です。

本記事では、企業側が知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。

目次

「なぜ「内定待機」の特定活動が必要なのか?

外国人留学生は「留学」ビザで在留していますが、卒業後は原則として速やかに帰国する必要があります。
しかし、卒業から入社までに空白期間がある場合(例:9月卒業→翌年4月入社)、その間の在留資格がなくなってしまいます。

この空白期間を合法的に滞在できるようにするのが「特定活動(内定待機)」です。

企業が準備すべき書類

申請は原則として申請者本人が出入国在留管理局に対して行いますが、企業側の協力は不可欠です
また、企業が行政書士に申請手続きを依頼するケースもあります
これは、手続きの不備によって入社に間に合わなくなったり、後々のトラブルにつながることを防ぐためです。

企業が準備する必要のある書類は以下の通りです:

  • 採用予定証明書
    → 入社予定日、業務内容、雇用形態などを記載します。
  • 誓約書
    → 入管への報告義務(内定取消・入社延期など)や連絡体制を明記します。
  • 以下の項目が記載された文書を1通
必要項目

(1)内定した企業名
(2)主たる勤務場所(支店・事業所名および所在地、電話番号)
※ 派遣契約に基づく就労を予定している場合は、派遣先の勤務場所についても記載が必要
(3)事業内容
(4)給与(報酬)額
(5)職務内容
※ 派遣契約に基づく就労を予定している場合は、派遣先での職務内容についても記載が必要

※テンプレートの整備や文言調整は、行政書士や専門家の支援を受けると安心です。

申請のタイミングと注意点

1.卒業後1年6か月以内かつ内定後1年以内に入社予定であること

この特定活動は、卒業後1年6か月以内かつ、内定後1年以内に入社予定である場合に限り申請可能です。
つまり、卒業から時間が経ちすぎていたり、内定から長期間が経過している場合は申請できません。
企業側は、入社予定日がこの条件を満たしているかを確認したうえで、証明書類を作成する必要があります

2.申請は在留期限が切れる前に行うこと

申請者の現在の在留資格(例:「留学」や「特定活動(就職活動)」)には有効期限があります
この期限を過ぎると申請できなくなるため、必ず在留期限内に申請を完了させる必要があります
企業側は、内定者の在留カードの期限を確認し、余裕をもって書類を準備・提供することが重要です

3.審査期間は1〜2か月程度を見込むこと

出入国在留管理局での審査には通常1〜2か月程度かかります
そのため、卒業直後や在留期限直前の申請では、許可が下りるまでに時間がかかる可能性があります
企業としては、内定者が不安なく待機できるよう、早めの準備と申請を促すことが望ましい対応です

アルバイトやインターンは可能?

資格外活動許可を得れば、週28時間以内のアルバイトが可能です。
また、企業内でのインターンシップ等については、週28時間を超える活動も認められる場合があります(別途申請が必要)。

企業側のメリットと責任

メリット

  • 優秀な外国人材の入社準備をスムーズに進められる
    → 特定活動(内定待機)制度を活用することで、卒業から入社までの空白期間も安心して待機できる環境を整えられます。企業側は、採用した人材の在留資格に関する不安を取り除き、入社準備に集中してもらうことができます。
  • 入社前から企業文化に慣れてもらう機会をつくれる
    → 在留資格が安定していれば、内定者との定期的なコミュニケーションや、社内イベント・インターンシップへの参加も可能になります。これにより、入社後の定着率や業務理解が高まり、早期戦力化にもつながります。
  • 企業の受け入れ体制や多文化対応力をアピールできる
    → 外国人材の受け入れに積極的な姿勢は、社内外に対して「ダイバーシティ推進企業」としての信頼感を高める効果もあります。採用広報やCSR活動にも活用できます。

    責任

    • 入社までの連絡体制の維持
      → 内定者が安心して待機できるよう、定期的な連絡や情報提供を行う体制を整えることが求められます。特に、在留資格の審査中や変更手続き中は、企業側のサポートが精神的な支えにもなります。
    • 書類の正確な作成と提出支援
      → 採用予定証明書や誓約書など、企業が作成する書類は内容の正確性と法的整合性が重要です。誤記や不備があると、申請が却下される可能性もあるため、行政書士や専門家の支援を受けることも有効な選択肢です

    まとめ:外国人留学生の受け入れは、企業の未来への投資

    外国人留学生の採用は、単なる人材確保にとどまらず、企業の多様性・国際性・社会的責任を体現する重要な取り組みです。
    「特定活動(内定待機)」制度を正しく理解し、誠実に対応することで、内定者の不安を取り除き、安心して入社準備を進めてもらうことができます。

    企業側が制度の趣旨を尊重し、必要な書類や連絡体制を整えることは、信頼される雇用主としての姿勢を示すことにもつながります
    また、こうした取り組みは、CSR活動や採用広報の一環としても活用でき、企業ブランドの向上にも寄与します。実際に、こういった取り組みをすることで、日本人の若者にアピールすることに成功し、採用に繋げている企業もあります。

    外国人材の受け入れを通じて、企業の可能性を広げ、より豊かな職場環境を築いていきましょう。

    初回相談料は無料ですので、制度の活用や書類作成に不安がある場合は、お気軽にご連絡ください。
    専門家のサポートを受けることで、申請の確実性が高まり、安心して入社準備を進めることができます。

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    この記事を書いた人

    大阪府箕面市の行政書士です。
    ・趣味:美術鑑賞、散歩
    ・スポーツ:卓球、テニス
    ・座右の銘:失敗は成功のもと
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