外国人従業員が引越しをした際、雇用主としてどこまで確認すべきか迷う企業は少なくありません。
日本人社員と同じように扱えばよい部分と、在留資格特有の確認が必要な部分が混在しているため、「抜け漏れなく、しかし過剰にならない」対応が重要です。
この記事では、業種を問わずすべての企業が押さえておくべき実務ポイントを、わかりやすく整理しました。
1.従業員から提出してもらうべき書類
■ 在留カード(表裏)のコピー
裏面に新住所が記載されていることを確認して下さい。その際に、記載された住所が正しいかどうかも合わせて確認しておくと安心です。記載間違いがある場合は、市区町村役場に問い合わせて、正しい住所を書き直して貰ってください。
市区町村役場の窓口での住所変更手続きが完了すると、その場で在留カードの裏面に新住所が記載されます。引っ越しをしたはずなのに、在留カードに新住所が記載されていない場合は、手続きが完了していない可能性があります。
必ず、本人もしくは代理人が窓口に出向いて、転入の手続きを行ってください。引っ越し日から14日を過ぎても手続きが行われていない場合、罰則の対象となってしまいます。
■ 住民票(必要に応じて)
社宅を利用している場合や、緊急連絡先の確認が必要な企業では、住民票の提出をお願いすることがありますが、実際には必要となるケースは多くはなく、在留カードの提出で十分なケースが多いでしょう。
住民票の提出を依頼した際には、在留カードと同じように、記載内容が正しく反映されているかどうか を必ず確認しておきましょう。
■ 社内の住所変更届
社内の住所変更届は、人事台帳や給与システムなど、企業が利用している各種管理ツールの情報を正しく更新するために欠かせない書類です。住所を管理しているエクセルシートや人事ソフト、給与計算システムなど、会社ごとの運用に応じて必要な箇所を忘れずに修正しておくことが大切です。あわせて、住所変更に伴って緊急連絡先に変更がないかどうかも確認しておくと、より確実な管理につながります。
2. 従業員が役所で完了しているべき手続き
■ 転入届/転居届の提出
外国人も日本人と同じく、住民基本台帳法に基づき14日以内に市区町村役場で届出が必要です。
※在留カードを転居先の市区町村役場に持参して転入届出を行った場合は、「住居地届出書」を入管に提出する必要はありません。
転入届では、外国人本人だけでな代理人が行うこともできます。雇用する会社の従業員が、代理人として市区町村役場に届け出ることもできますが、その場合は委任状が必要です。
■ 在留カード裏面の住所更新
先にも書きましたが、本人でも代理人でも市区町村役場に届出を行った場合は、その場で在留カードに新住所が記載されます。市区町村役場と入管がデータを連携させているため、入管に足を運ぶ必要も、届出を行う必要もありません。
3. 会社側で更新すべき社内情報
■ 人事台帳・給与システムの住所
住所変更後に、雇用する会社側が確認しておくべき事項は以下となります。
- 給与明細の送付先(郵送の場合)
- 年末調整書類の住所
- 社会保険の住所情報(住民票と連動するため原則届出は不要だが、社内情報は更新が必要)
※マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない被保険者の場合は、被保険者から申し出を受けた事業主が「被保険者住所変更届」を日本年金機構へ提出します。
詳しくは「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)および被扶養配偶者の住所に変更があったときの手続き|日本年金機構」をご覧ください。
■ 通勤経路・交通費
通勤経路を再確認し、交通費を算出します。月の途中から住所が変更された場合は、交通費の再計算が必要です。
- 新しい通勤経路の確認
- 交通費の再計算
- 定期券の区間変更
■ 家賃
社宅制度を導入している企業では、
- 会社負担分
- 従業員負担分
の割合が就業規則や社宅規程で決まっています。
住所変更に伴い家賃が変わると、
会社負担額も自動的に変わるため、規程に沿って再計算が必要 です。
企業が確認すべきこと
- 社宅使用料の変更通知(従業員への案内)
- 新しい家賃の金額(賃貸借契約書の写しで確認)
- 社宅規程に基づく会社負担額の再計算
- 給与天引き額の変更
■ 緊急連絡先
- 住所変更に伴い、家族構成や連絡先が変わるケースもあるため確認しましょう。
4. 入管への届け出は必要か
外国人の住所変更は、市区町村役場での転入届・転居届で完結し、入管への届出は原則不要です。
特定技能は定期届出や在留資格の更新時に報告すれば足ります。
特定技能の「届出」については以下のブログ記事で詳しく解説しています。

まとめ:住所変更は「在留カードの裏面確認」が最重要
外国人従業員の方が住所を変更した際に、企業として特に大切なのは、
在留カードの裏面に新しい住所がきちんと記載されているかどうか を確認することです。
もし記載がないままだと、役所での手続きが完了していない可能性があり、
思わぬトラブルにつながることもあります。
まずはこの一点を押さえておけば安心です。
それ以外の対応は、基本的に日本人従業員の住所変更と同じ流れで問題ありません。
必要以上に特別扱いする必要はなく、ポイントさえ押さえればスムーズに進められます。
気になる点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
安心して外国人の方を受け入れられる体制づくりを、一緒に整えていきましょう。

