コストとリスクで選ぶ!特定技能1号外国人の自社支援5つの戦略

目次

はじめに

特定技能1号外国人の受入れにおいて、所属機関が直面する最大の課題は「コスト」と「リスク」のバランスです。支援をすべて自社で担うのか、登録支援機関に委託するのか。その選択は、組織の成長戦略にも直結します。

特定技能1号外国人を受け入れる所属機関には、支援計画の実施責任があります。支援はすべて自社で行うことも、全部もしくは一部を登録支援機関に委託することも可能です。どの体制を選ぶかは、組織の規模や経験、外国人材の数によって変わります。ここでは代表的なパターンを整理し、所属機関が検討しやすいようにまとめます。

支援体制の基本的な選択肢

支援体制の主な選択肢には、次の5つのパターンがあります。

  1. 全部自社支援
  2. 一部自社支援
    1. 入社配属までを登録支援機関に委託、その後は自社支援
    2. 受入れから1年間は登録支援機関に委託、2年目からは全部自社支援
    3. 一部の特定技能外国人のみを委託
    4. 既存の特定技能外国人はそのまま委託、新規から自社支援

一つづつ詳しく解説していきます。

1.全部自社支援

全ての支援業務及び特定技能外国人を自社で支援していくパターンです。最も低コストですが、実務負担が大きく、多くの特定技能外国人を抱えている所属機関が、いきなりこのパターンを取り入れるのは現実的ではないでしょう。

  • 所属機関がすべての支援業務を担うパターン。
  • メリット:費用負担が最も少なく、外国人材との関係性を密に築ける。さらに、社内でノウハウを蓄積できる。
  • デメリット:制度理解や実務負担が大きく、専門知識が必要なため、いきなりの切り替えはリスクが大きい。

2.一部自社支援

登録支援機関に一部を委託し、残りを自社で行う柔軟なパターン。さらに細分化すると以下のようになります。

2-1. 入社配属までを登録支援機関に委託、その後は自社支援

最も負担の大きい初期の対応を登録支援機関に委託し、その後は全ての業務を自社で支援するパターンです。配属までの難しい対応(特に外国から呼び寄せる場合)を登録支援機関にお願いすることで、安心して配属後の支援の構築に集中することができます。

  • 初期対応(入国手続き、生活オリエンテーションなど)を委託。
  • 配属後は自社で日常的な支援を行う。
  • メリット:初期負担を軽減しつつ、現場での支援は自社でコントロール可能。

2-2. 受入れから1年間は登録支援機関に委託、2年目からは全部自社支援

初期対応だけでなく、配属後も1年間は登録支援機関に委託するパターンです。1年間の間に登録支援機関から支援方法を学ぶことにより、初めて特定技能外国人を受け入れる所属機関も、安心して2年目からの支援を自社で行うことができます。

  • 最初の1年間は外部に任せ、制度や支援方法を学びながら準備。
  • 2年目以降は自社で全面的に支援。
  • メリット:段階的に自社体制を整えられる。

2-3. 一部の特定技能外国人のみを委託

例えば、日本語が十分に話せない外国人や、トラブルが多い外国人など、所属機関にノウハウがなく支援が難しい場合には、その外国人のみを登録支援機関に委託することも可能です。さらに、委託先の登録支援機関に該当国出身の外国人が常時雇用されている場合には、その国の特定技能外国人だけを委託する方法もあります。その他、部署単位で「自社支援する外国人」と「委託する外国人」を分けることもできます。

  • 日本語が十分に話せない外国人やトラブルが多い外国人のみを委託できる。
  • 委託先に該当国出身の外国人が常時雇用されている場合、その国の外国人のみを委託できる。
  • 部署単位で、自社支援する外国人と委託する外国人を分けることができる。
  • メリット:支援リソースを効率的に配分できる。

2-4. 既存の特定技能外国人はそのまま委託、新規から自社支援

今まで登録支援機関に委託していた特定技能外国人は、そのまま委託を続け、新規に受け入れる外国人のみを自社で支援するパターンです。登録支援機関との契約を解除する必要がなく、担当者の心理的負担が少ない方法です。

  • 現在委託している人材は継続委託。
  • 新規採用者から自社支援に切り替える。
  • メリット:急な負担増を避けつつ、徐々に自社体制を構築。登録支援機関との関係性も保たれる。

支援体制ごとの比較表

支援体制のパターンごとに、リスク管理のポイント費用面について、分かりやすいよう表にしました。

委託費用の相場(目安)

委託費用の相場についても表にしました。委託料は登録支援機関によって異なりますので、あくまで目安としてご活用ください。

ケーススタディ:中小企業が段階的に自社支援へ移行したケース

ケーススタディは参考情報としてご覧いただき、所属機関ごとの事情に合わせて活用してください。

企業背景

  • 業種:製造業(従業員数50名程度)
  • 外国人材:特定技能1号で5名受入れ
  • 支援開始時点では制度理解が浅く、登録支援機関に全面委託していた。

移行のステップ

ステップ1:初年度は全面委託

  • 入国手続き、生活オリエンテーション、住居探しなどを登録支援機関に依頼。
  • 社内担当者は外国人材の勤務管理に専念。
  • メリット:制度理解不足によるリスクを回避。

ステップ2:2年目から一部自社支援へ

  • 配属後の日常的な相談対応や定期面談を自社で開始。
  • 登録支援機関には生活基盤整備のみを継続委託。
  • 社内に「外国人材支援担当」を配置し、マニュアルを整備。

※「生活基盤整備」とは、特定技能外国人が日本で安定して生活できるようにするための初期支援のことです。住居の確保や契約手続き、医療機関の案内などが含まれます。

ステップ3:3年目以降は全面自社支援へ

  • 既存の外国人材は自社で全面的に支援。
  • 新規採用者も同様に自社支援で対応。
  • 外部専門家(行政書士、社労士)と連携し、法的手続きの不安を補完。

成果

  • 費用削減:委託費用がゼロになり、社内人件費のみで対応可能に。
  • ノウハウ蓄積:担当者が制度や支援方法を習得し、社内マニュアルを完成。
  • 外国人材の定着:相談窓口が社内にあることで安心感が増し、離職率が低下。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。

特定技能1号外国人の受入れにあたって、所属機関が最も慎重に検討すべきなのは「コスト」と「リスク」のバランスです。支援をすべて自社で担うのか、それとも登録支援機関に委託するのか――その選択は、単なる業務分担にとどまらず、組織の成長戦略そのものに深く関わってきます。

コストやリスクのことで判断に迷った際には、登録支援機関での業務経験を持つ 行政書士長尾真由子事務所 にぜひご相談ください。相談は無料で承っています。

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この記事を書いた人

大阪府箕面市の行政書士です。
・趣味:美術鑑賞、散歩
・スポーツ:卓球、テニス
・座右の銘:失敗は成功のもと
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