特定技能「工業製品製造業分野」の協議会入会に立ちはだかるものとは

目次

特定技能での協議会入会とは

特定技能外国人を雇用する機関のことを、特定技能所属機関(受入れ機関)と呼びます。特定技能所属機関は、どの分野においても協議会の入会が求められます。

また、「特定技能」の分野別必要書類の中には「協議会の構成員であることの証明書」が入っています。下記の書類は「工業製品製造業分野」に分野別必要書類の一覧表です。番号3に「協議会の構成員であることの証明書」が必要書類として入ってることが分かると思います。つまり、特定技能のビザ申請の前に協議会に入会しておく必要があるということです。

抜粋:出入国在留管理局|在留資格「特定技能」

「工業製品製造業分野」では、特定技能外国人が従事する産業により、協議会に入会できるかどうか、特定技能所属機関となれるかどうかが分かれます。つまり、特定技能外国人を雇用できるのは、あらかじめ指定された工業製品を製造する会社でなくてはいけないということです。

また、製造品によっては細かな分類があり、製造工程が指定されているものもありますので、自分の会社が対象となる工業品を製造している会社なのか、特定技能外国人を雇用できる会社なのかを協議会入会の手続き前に知ることは意外と骨の折れる作業となります。

「工業製品製造業分野」で対象となる産業

一口に、対象となる産業と言っても、同じ会社で複数の工業品を製造されているところもあるでしょう。その場合、一つでも対象となる産業を行っていれば、「工業製品製造業分野」の協議会に入会することができます。

ただし、特定技能外国人が従事できるのは、その対象となる産業のみです。恐らく、協議会入会の後は、非対象産業に特定技能外国人を従事させている会社もあると思われます。非対象産業に特定技能外国人を従事させたことが判明した場合、雇用主は不法就労助長罪に問われる可能性があります。

不法就労助長罪の罰則は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。

「工業製品製造業分野」で対象となる産業

経済産業省が運営する「特定技能外国人材制度(工業製品製造業分野)ポータルサイト」にて、「工業製品製造業分野」で対象となる産業の一覧を見ることができます。

上記の産業のうちのいずれの産業も行っていない場合は、他の要件が揃っていても、特定技能外国人を雇用することはできません。また、直近1年間で対象産業について製造品出荷額等が発生しているものでなくてはいけません。

我が社の産業は「工業製品製造業分野」で対象となる産業なのか

例えば、あなたの会社がプラスチック製のごみ箱を製造しているとしましょう。

産業分類一覧を見ると、「18-プラスチック製品製造業」がありますので、こちらをクリックします。すると自動的に下にスクロールされます。「18-プラスチック製品製造業」の右横の⊕マークをクリックすると以下のボックスが表示されます。

まず注目していただきたいのは、最初の部分です。

特定技能外国人が主として従事すべき業務は以下に限られます。

  • プラスチック成形のうち、圧縮成形、射出成型、インフレーション成形、ブロー成型のいずれかの技能を要する業務。
  • 強化プラスチック成形のうち、手積み積層成形の技能を要する業務。
  • 金属表面処理のうち、電気めっき、溶融亜鉛めっき、陽極酸化処理の技能を要する業務。

と書かれていますね。プラスチックの容器は製造しているけれど、製造方法が上記のいずれにも当てはまらない場合は、この18番での特定技能所属機関となることはできません。

今回は、ブロー成型を行っていることにして、次に進みましょう。さて、下を見ると、18の番号のついた4桁の数字とプラスチックに関する産業がずらりと並んでいます。

製造しているのは、ゴミ箱ですので、1892ープラスチック製容器製造業を開けてみましょう。

すると、細文類の説明が出てきます。また、事例の中に「プラスチック製ゴミ容器製造業」が入っていますので、これに当てはまりそうですね。ついでに不適合事例も見ておきましょう。するとプラスチック製日用雑貨は別番号になっています。ただし、1891もプラスチック製品製造業の対象ですので、「工業製品製造業分野」の対象産業になります。

実は、18の番号のついているプラスチック製品製造業については、細分類の番号まで追及する必要はありません。協議会の入会の申請書類では、18の番号で✓できる箇所は2つしかなく、番号も3桁(小分類)、4桁(細分類)まで確認する必要はないからです。細分類まで見ておくのは、不適合事例に入っていないか、対象外産業に入っていないかの確認をするためです。

抜粋:特定技能外国人材制度(工業製品製造業分野)ポータルサイト

一番上の中分類を見ると、括弧書きで「別掲を除く」と書かれていますね。これも要注意です。つまり、「特定技能外国人材制度(工業製品製造業分野)ポータルサイト」に掲載されていない産業で申請しようとすると、審査で不適合となる確率が高まってしまうからです。

例えば、プラスチック製のごみ箱だけでなく、プラスチック製の注射器も製造していたとします。注射器は医療用品であり、「日本標準産業分類」で検索すると、注射器は「2741」という「特定技能外国人材制度(工業製品製造業分野)ポータルサイト」には対象産業として掲載の無い番号が振られていることがわかります。「日本標準産業分類」の検索はこちらからすることができます。

右下の黄色の「info」ボタンをクリックすると以下の詳細情報を見ることができます。

すると、事例の中に「注射器具製造業」がありますね。ですので、プラスチック製品でも、注射器の場合は、「工業製品製造業分野」の対象産業とならない可能性が高くなります。

結局誰が決めるの?

先ほどから「工業製品製造業分野」の対象産業となる可能性が高いとか低いとか書いていますが、なぜ明言をしないかというと、特定技能所属機関希望の会社が「工業製品製造業分野の対象産業」を扱っているかどうかの判断は、結局のところ協議会の審査官が行うことになっているからです。

そして、この審査基準は明確には公表されていないため、特定技能所属機関希望の会社や登録支援機関、行政書士が的確な判断をすることはできません。恐らくこの産業に当てはまるだろうという予測をもとに、申請を出して審査官の判断を仰ぐということになります。

ただ、審査官の判断を仰ぐ前に、「事業者向特定技能外国人材制度担当窓口」(03-6838-0058)に問い合わせると、ある程度のことまでは相談にのってもらえます。

「製造業分野」協議会入会の手続きの流れ

STEP
「入会申込証明書類」に記入する

「入会申込証明書類」は「特定技能外国人材制度(工業製品製造業分野)ポータルサイト」からダウンロードすることができます。

対象産業となりそうな産業や工程を書類に書き出して、協議会に提出します。また、非対象産業と思える産業でも、審査に通ることで特定技能外国人に従事してもらうことができるため、ダメもとで記入しておくのも一つのやり方です。

STEP
申請する

STEP➊で記入した書類を「特定技能外国人材制度(工業製品製造業分野)ポータルサイト」からオンラインで申請するか、協議会に郵送して申請します。

STEP
事務局の確認

経済産業省の事務局の方が、審査官の審査の前に確認を行い、書類の不備や非対象産業の指摘をして差し戻してくれます。

STEP
担当官審査

産業によって担当官が異なります。審査は通常2週間ほどかかります。審査結果は郵送もしくはオンラインで通知されます。

STEP
協議会への入会

一つでも対象産業と認められれば、「工業製品製造業」の協議会に入会することができます。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。

今回は、「工業製品製造業分野」で特定技能所属機関となるために協議会入会をしなければならないことと、他の特定技能と比べて協議会入会のハードルが高いことをお話しました。また、協議会への申請の手続きの流れを説明することで、手続きの煩雑さをご理解いただけたのではないかと思います。

協議会への入会に関しては、会社の方でやって下さいね、という行政書士もいます。なぜなら、対象産業となるかどうかは、製造業のプロではない私たち行政書士には判断のしようがないからです。

ただ、「工業製品製造業分野」においては、協議会入会のシステムそのものも複雑です。制度の説明、対象分野の予想の仕方、申請書類の作成やそれに関するアドバイスなどはさせて頂きますので、お気軽に下記までご相談ください。

行政書士長尾真由子事務所
対応可能地域

大阪府 箕面市、池田市、豊中市、茨木市、吹田市、大阪市

兵庫県 川西市、尼崎市、宝塚市、西宮市

いずれも公共交通機関が利用できる地域を想定していますが、地域についてはご相談に応じます。

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この記事を書いた人

大阪府箕面市の行政書士です。
・趣味:美術鑑賞、散歩
・スポーツ:卓球、テニス
・座右の銘:失敗は成功のもと
\お気軽にお問い合わせください/

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