はじめに
前回のブログ記事では、今年の12月に試験運用の開始が公表されたことを受けて、試験の概要と、外国人に求められる能力について書きました。

今回は、受入れ機関に求められる要件をご紹介したいと思います。
受入れ機関が守るべき条件
- 特定技能所属機関は、国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」(以下「協議会」という。)の構成員になること。
- 特定技能所属機関は、協議会に対し必要な協力を行うこと。
- 特定技能所属機関は、国土交通省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。
- 特定技能所属機関は、道路運送法(昭和 26 年法律第 183 号)第2条第2項に規定する自動車運送事業(貨物利用運送事業法(平成元年法律第 82 号)第2条第8 項に規定する第二種貨物利用運送事業を含む。)を経営する者であること。
- 特定技能所属機関は、一般財団法人日本海事協会(明治 32 年 11 月 15 日に帝国海事協会という名称で設置された法人をいう。)が実施する運転者職場環境良好度認証制度に基づく認証を受けた者又は全国貨物自動車運送適正化事業実施機関 (貨物自動車運送事業法(平成元年法律第 83 号)第 43 条に規定する全国貨物自動車運送適正化事業実施機関をいう。)が認定する安全性優良事業所を有する者であること。
- タクシー運送業及びバス運送業における特定技能所属機関は、特定技能1号の在留資格で受け入れる予定の外国人に対し、新任運転者研修を実施すること。
- 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、協議会の構成員となっており、かつ、国土交通省及び協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託すること。
出典:出入国在留管理局|自動車運送業分野
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/automobiletransportation.html
用語の説明
「自動車運送業分野特定技能協議会」
特定技能の在留資格諸申請(ビザ申請)を行う場合には、受入れ機関(所属機関)が各分野での協議会に入会する必要があります。2024年の6月以降は、在留資格諸申請前に協議会に入り、協議会に入会したことを証明する書類の提出が必要になりました。
さて、今回お話している「自動車運送業分野」ですが、協議会にはまだ加入できないようです。12月中に協議会が発足され、加入できるようになるとのことですので、今しばらく待つ必要があります。
また、登録支援機関に支援計画の実施を委託する場合は、登録支援機関にも協議会の入会が求められます。これは特定技能の分野によって、受入れ機関のみが協議会に入会すればよい分野もあるのですが、自動車運送業分野では、登録支援機関にも入会義務を課しています。
道路運送法第2条第2項
この法律で「自動車運送事業」とは、旅客自動車運送事業及び貨物自動車運送事業をいう。
貨物利用運送事業法第2条第8 項
この法律において「第二種貨物利用運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、船舶運航事業者、航空運送事業者又は鉄道運送事業者の行う運送に係る利用運送と当該利用運送に先行し及び後続する当該利用運送に係る貨物の集貨及び配達のためにする自動車(道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項の自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。)をいう。以下同じ。)による運送(貨物自動車運送事業者の行う運送に係る利用運送を含む。以下「貨物の集配」という。)とを一貫して行う事業をいう。
「一般財団法人日本海事協会」とは
日本海事協会は、海上輸送の安全と海洋環境の保護に取り組む国際船級協会です。船級協会とは、中立的な第三者の立場から船舶の規則制定と検査を行い、商船の保険付保に必要となる「船級」を登録している団体です。
今回、一般財団法人日本海事協会(ClassNK)は、国土交通省などの関係省庁から特定技能制度における「自動車運送業分野」の試験実施主体に指定されました。
【試験に関する問い合わせ先】
一般財団法人日本海事協会 交通物流部 特定技能試験担当
TEL:03-5226-2758
E-mail: ssw_et@classnk.or.jp
「運転者職場環境良好度認証制度」とは
働きやすい職場認証制度とは、自動車運送事業(トラック・バス・タクシー事業)の運転者不足に対応するための総合的取組みの一環として、職場環境改善に向けた自動車運送事業者の取組みを「見える化」することで、求職者の運転者への就職を促進し、各事業者の人材確保の取組みを後押しすることを目的として令和2年度に創設された制度です。令和2・3年度は「一つ星」のみの申請が受け付けられていましたが、認証を取得した事業者のより高い水準への移行を促すため、令和4年度から「二つ星」、令和5年度から「三つ星」が新たに導入されました。
評価制度の申請はこちらから
「全国貨物自動車運送適正化事業実施機関」とは
トラック運送事業の運営を適正かつ合理的なものにするとともに、民間団体等による自主的な活動を促進することにより事業の健全な発展を図ることを目的に、平成2年12月、「貨物自動車運送事業法」が施行されました。この事業法に基づき「貨物自動車運送適正化事業実施機関」が創設され、以来、トラック運送事業の健全な発展を図るため、適正化事業を行っています。
「安全性優良事業所」とは
荷主企業がより安全性の高いトラック運送事業者を選びやすくするために、全国貨物自動車運送適正化実施機関(公益社団法人全日本トラック協会)が厳しい評価をし、認定した事業所です。通称「Gマーク」は安全性優良事業所のみに与えられる安全・安心・信頼の証しとなります。
詳しくはこちらから
「新任運転者研修」とは
新任運転者研修は、旅客自動車運送事業運輸規則第38条第1項、第2項及び第5項並びに第39条に規定する事項についての、指導、監督及び特別な指導を受け、並びに適性診断を受診することをいいます。
具体的には、
・座学研修(法令、接遇、地理、安全に関する研修)
・路上走行研修
・適性診断
を行うことです。
また、新任運転者研修の修了は、業界団体が定めた効果測定の基準に基づき判定されます。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回は、特定技能で外国人を受け入れようとする「自動車運送業」分野の受入れ機関が、守らなければならない条件について解説をしてきました。
まだ、制度的にも定まっていないところの多い分野ですが、特に人手不足の顕著な分野でもありますので、これから外国人人材が期待される分野かと思われます。
次回は、この新分野について、その他の分かっていることについてお伝えしたいと思います。
対応可能地域
大阪府 箕面市、池田市、豊中市、茨木市、吹田市、大阪市
兵庫県 川西市、尼崎市、宝塚市、西宮市
いずれも公共交通機関が利用できる地域を想定していますが、地域についてはご相談に応じます。