タイ人を特定技能で雇用する時に必要な雇用契約書の「認定」とは

目次

雇用契約書に認証が必要

前回、ベトナム人を雇用する時に気を付けるべき、「推薦者表」について書きました。ベトナム、タイ、カンボジアの三国に関しては、協力覚書(MOC)を交わし特定技能に関するルールを取り決めています。今回は、その中の一国であるタイのルール・手続きについてお伝えしたいと思います。

タイの手続きに特徴的なものが、「雇用契約書の認証手続き」です。雇用契約書はビザ申請の際に地方出入国在留管理局に提出する書類の一つで、タイ側でも地方出入国在留管理局の参考様式を使用するよう指示されています。

認定手続きには次の3パターンあり、それぞれに手続きの流れや提出書類が異なります。

  • 日本にいるタイ人を雇用したい時
  • タイにいるタイ人を「国外職業紹介事業所」を利用せずに雇用したい時
  • タイにいるタイ人を「国外職業紹介事業所」を利用して雇用したい時

ここで注意したいのは、タイの法令でタイ人の現地採用は禁止されているということです。

日本国内で採用を行うか、上記の国外職業紹介事業所にあっせんを依頼します。

それでは、それぞれのパターンごとの認証手続きについて詳しく解説していきます。

日本にいるタイ人を雇用したい時

「認証」が必要なタイ人と「認証」のタイミング

日本に在留しているタイ人で、特定技能1号に在留資格の変更を希望する認証手続きが必要なタイ人は、技能実習2号や3号を修了した人と留学生です。この方たちを受け入れる場合は、受入れ機関が「在東京タイ王国大使館労働担当官事務所」から雇用契約書に「認証」を受けてから地方出入在留管理署に「在留資格変更申請」を行ってください。つまり、ビザ申請より前にタイ側から認証を受けた書類が必要となります。

雇用契約書に「認証」が必要なタイ人
  • 技能実習2号を良好に修了したタイ人
  • 技能実習3号を良好に修了したタイ人
  • タイ人留学生

タイ人が特定技能外国人になるには、上記以外にも特定技能の要件(条件)があります。ここではタイ人に特有の手続きについて記事にしていますので、特定技能の在留資格を希望する外国人全般に課せられる要件については、以下の記事をご覧ください。

「在留資格変更許可申請」と「認証手続き」の流れ

  1. 受入れ機関とビザ希望者のタイ人(以下申請人)との間で雇用契約を結ぶ
  2. 受入れ機関が駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に「認証手続き」申請を行う
  3. 駐日タイ王国大使館労働担当官事務所から受入れ機関に認証された雇用契約書が戻ってくる
  4. 雇用契約書を付けて地方出入国在留管理局に在留資格変更許可申請を行う(手数料4,000円)
  5. 在留資格変更許可申請が認められ、申請人に新しい在留カードが発行される(※1)
  6. 受入れ機関から駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に入社報告書を提出する(※2)

※1 申請の流れを知ってもらうために許可されたパターンのみを書いていますが、許可されない場合もあります。

※2 特定技能タイ人(申請人)の入社後15日以内に提出が必要とのことです。

タイに関する情報 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)(フローチャートより抜粋 2024-9-30)

「認証」に必要な提出書類

「認証」に必要な提出書類
  • 雇用契約書・条件書 (原本2部、コピー1部
  • 雇用契約書の付録(原本2部、コピー1部
  • 特定技能外国人の報酬に関する説明書(原本1部)(※1)
  • 特定技能外国人のパスポート(写真のあるページ)(コピー1部
  • 在留カードのコピー (両面)(コピー1部
  • 技能実習生の場合:技能実習終了証明書、または専門級(3級)合格証明書(コピー1部)(※2)
  • 従事業務変更技能実習生/在留資格変更をされる方の場合 : 特定技能の技能・日本語合格証明書(コピー1部
  • 受入れ機関の登記簿謄本(原本1部
  • 返信用レターパック(1部)(※3)

※1 地方出入国在留管理局 参考様式第1-4号を使用してください。「在留資格認定証明書交付申請」に使用する書類になりますが、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所への「認証」申請の際には返却されませんので、ビザ申請用と認証申請用の2枚を用意してください。また、認証申請用には受入れ機関の会社実印の捺印が必要になりますので、こちらも注意が必要です。

※2 ない場合は理由書を提出してください。

※3 返信先(受入れ機関、登録支援機関など)の住所を記入して下さい。レターパック不添付の場合は郵便局の着払いで郵送されます。

以下は雇用契約書、雇用条件書、雇用契約書の付録の書類作成時の注意点です。

  • 日本語とタイ語翻訳併記の地方出入国在留管理局参考様式を使用してください。
  • 受入れ機関の会社の実印が必要です。
  • タイ人の署名はパスポートの署名欄と同じ署名をしてもらって下さい。
  • 署名以外はパソコンで入力してください(手書き、取り消し線不可)。
  • 雇用契約書と雇用条件書の原本2部は受入れ機関保管用と特定技能タイ人保管用になります。

審査にかかる期間

1 全ての書類が正しく揃ってから15日(土日・休日を除く)
2書類に不備があった場合、訂正してから15日(土日・休日を除く)

「認証」の郵送先・問い合わせ先

認証手続きの申請先(書類の郵送先)・問い合わせ先は「タイ王国大使館労働担当官事務所」 になります。

タイ王国大使館労働担当官事務所

〒141-0021東京都品川区上大崎3-14-6

タイ王国大使館労働担当官事務所

電話03-5422-7014,03-5422-7015
E メール:thailabour@crest.ocn.ne.jp

タイにいるタイ人を「国外職業紹介事業所」を利用せずに雇用したい時

タイにいるタイ人を雇用する時には、「国外職業紹介事業所」(送出し機関)を利用する場合と、利用しない場合ではタイミングと手続きが異なります。

まずは、「国外職業紹介事業所」を利用せずに雇用する場合をみていきましょう。

「在留資格認定証明書交付」申請と「認証」の流れ

タイ在住のタイ人を「国外職業紹介事業所」を使わずに雇用する場合は、「在留資格認定証明書交付申請」を行い、在留資格認定証明書(COE)が発行された後に、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に雇用契約書の認証手続き申請を行います。

  1. 受入れ機関とビザ希望者のタイ人(以下申請人)との間で雇用契約を結ぶ
  2. 地方出入国在留管理局に「在留資格認定証明書交付申請」を行う
  3. 在留資格認定証明書が発行される(※1)
  4. 受入れ機関が駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に雇用契約書の認証手続き申請を行う(※2)
  5. 認証された雇用契約書等が受入れ機関に返送される
  6. 受入れ機関は申請人に認証済みの雇用契約書等を送付する
  7. 申請人が在タイ日本国大使館に査証を申請する
  8. 申請人に査証が発給される
  9. 申請人はタイ王国労働省(MOL)に海外労働出国許可の申請を行う
  10. タイ王国労働省から許可がおりる
  11. 申請人がタイを出国する
  12. 受入れ機関が駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に来日報告書を提出する(※3)

※1 申請の流れを知ってもらうために許可されたパターンのみを書いていますが、許可されない場合もあります。

※2 在留資格認定証明書(COE)は3ヶ月の有効期限があるため、早めに認証手続き申請を行ってください。

※3 特定技能タイ人(申請人)の入社後15日以内に提出が必要とのことです。

タイに関する情報 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)(フローチャートより抜粋 2024-9-30)

「認証」に必要な書類

「認証」に必要な提出書類
  • 雇用契約書・条件書 (原本2部、コピー2部
  • 雇用契約書の付録(原本2部、コピー2部
  • 特定技能外国人の報酬に関する説明書(原本1部)(※1)
  • 特定技能外国人のパスポート(写真のあるページ)(コピー2部
  • 代理申請の場合:地方出入在留国管理局から発行された登録支援機関許可証明書(コピー1部
  • 従事業務変更技能実習生の場合 : 技能合格証明書(コピー1部
  • 受入れ機関の登記簿謄本(原本1部)(※2)
  • 返信用レターパック(1部)(※3)

※1 地方出入国在留管理局 参考様式第1-4号を使用してください。「在留資格認定証明書交付申請」に使用する書類になりますが、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所への「認証」申請の際には返却されませんので、ビザ申請用と認証申請用の2枚を用意してください。また、認証申請用には受入れ機関の会社実印の捺印が必要になりますので、こちらも注意が必要です。

※2 発行日より3ヶ月以内のもの(農家・個人事業主の方等登記簿謄本がない場合は納税証明書(直近のもの)

※3 返信先(受入れ機関、登録支援機関など)の住所を記入して下さい。レターパック不添付の場合は郵便局の着払いで郵送されます。

以下は雇用契約書、雇用条件書、雇用契約書の付録の書類作成時の注意点です。

  • 日本語とタイ語翻訳併記の地方出入国在留管理局参考様式を使用してください。
  • 受入れ機関の会社の実印が必要です。
  • タイ人の署名はパスポートの署名欄と同じ署名をしてもらって下さい。パスポートに記載のある自身の署名を忘れている方もいるため、パスポートに記載のある署名を確認したうえで署名を貰うようにしましょう!
  • 署名以外はパソコンで入力してください(手書き、取り消し線不可)。
  • 雇用契約書と雇用条件書、雇用契約書の付録の原本2部は受入れ機関保管用と特定技能タイ人保管用になります。

審査にかかる期間

1 全ての書類が正しく揃ってから15日(土日・休日を除く)
2書類に不備があった場合、訂正してから15日(土日・休日を除く)

「認証」の郵送先・問い合わせ先

認証手続きの申請先(書類の郵送先)・問い合わせ先は「タイ王国大使館労働担当官事務所」 になります。

タイ王国大使館労働担当官事務所

〒141-0021東京都品川区上大崎3-14-6

タイ王国大使館労働担当官事務所

電話03-5422-7014,03-5422-7015
E メール:thailabour@crest.ocn.ne.jp

タイにいるタイ人を「国外職業紹介事業所」を利用して雇用したい時

次に、「国外職業紹介事業所」(送出し機関)を利用してタイ人を雇用する場合を見てみましょう。

送出機関の利用は任意ですが、利用する場合には必ずタイ政府が認定した送出機関を利用する必要があるとのことです。

「在留資格認定証明書交付」申請と「認証」の流れ

  1. 日本での就労希望者のタイ人(以下申請人)がタイ王国労働省(MOL)に求職申込をする
  2. 受入れ機関が駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に雇用契約書の認証手続き申請を行う
  3. 認証された雇用契約書等が受入れ機関に返送される
  4. 「国外職業紹介事業所」(送出し機関)から受入れ機関にタイ人労働者のあっせんが行われる(※1)
  5. 受入れ機関と申請人との間で雇用契約を結ぶ
  6. 地方出入国在留管理局に「在留資格認定証明書交付申請」を行う
  7. 在留資格認定証明書が発行される(※2)
  8. 受入れ機関は申請人に在留資格認定証明書と認証済みの雇用契約書等を送付する認証された雇用契約書等が受入れ機関に返送される
  9. 申請人が在タイ日本国大使館に査証を申請する
  10. 申請人に査証が発給される
  11. 申請人はタイ王国労働省(MOL)に海外労働出国許可の申請を行う
  12. タイ王国労働省から許可がおりる
  13. 申請人がタイを出国する
  14. 受入れ機関が駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に来日報告書を提出する(※3)

※1 認定送出機関による求職者の人選を行う行為はあっせんに当たるため、送出機関は日本国内の職業紹介事業者としての許可を得る必要があります。

※2 申請の流れを知ってもらうために許可されたパターンのみを書いていますが、許可されない場合もあります。

※3 特定技能タイ人(申請人)の入社後15日以内に提出が必要とのことです。

タイに関する情報 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)(フローチャートより抜粋 2024-9-30)

「認証」に必要な書類

「国外職業紹介事業所」(送出し機関)を利用してタイ人を雇用する場合、ビザの申請人であるタイ人の人選が未定であることが前提となりますので、雇用契約書や雇用条件書も含めてすべての書類に署名が不要です(ビザ申請の際には必要となります)。ですので、国内にいる人材の手続きの場合には雇用契約書などは署名入りで人数分必要でしたが、この場合に必要となる書類は、署名なしのものが1部ずつのみとなります。ただし、委任状は例外です。

「認証」に必要な提出書類
  • 委任状 (英語と日本語版)(原本2部、コピー2部)(※1)
  • 要求書 (英語と日本語版)(原本1部、コピー2部)(※2)
  • 雇用契約書・条件書( 日本語にタイ語翻訳したもの)(原本1部、コピー2部
  • 雇用契約書の付録(原本1部、コピー2部
  • 特定技能外国人の報酬に関する説明書(原本1部)(※3)
  • 代理申請の場合:地方出入在留国管理局から発行された登録支援機関許可証明書(コピー1部
  • 受入れ機関の登記簿謄本(原本1部)(※4)
  • 返信用レターパック(1部)(※5)
  • ある場合(基本的に必要ありません)(※6)
  • 元技能実習生で従事業務を変更する場合:特定技能の技能合格証明書(コピー1部
  • 元技能実習生(同種の業務)の場合:技能実習終了証明書(コピー1部
  • 元実習生以外:特定技能の技能・日本語合格証明書(コピー1部

※1 委任状とは、「国外職業紹介事業者にタイ国内での職業紹介についての業務を委任します」といった内容の書類です。

※2 要求書とは、「この内容の賃金や諸条件でタイ特定技能人材の職業紹介を委任した国外職業紹介事業者へ依頼します」といった内容の書類です。

※3 地方出入国在留管理局 参考様式第1-4号を使用してください。「在留資格認定証明書交付申請」に使用する書類になりますが、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所への「認証」申請の際には返却されませんので、ビザ申請用と認証申請用の2枚を用意してください。また、認証申請用には受入れ機関の会社実印の捺印が必要になりますので、こちらも注意が必要です。

※4 発行日より3ヶ月以内のもの(農家・個人事業主の方等登記簿謄本がない場合は納税証明書(直近のもの)

※5 返信先(受入れ機関、登録支援機関など)の住所を記入して下さい。レターパック不添付の場合は郵便局の着払いで郵送されます。

※6 この場合、人選が終了していないことが前提ですので、技能や日本語の証明書を出してしまうと、人選が終了していることになってしまい矛盾が生まれます。タイ大使館の認証手順には「ある場合」として書かれていますが、この書類はあえて出す必要はないかと思われます。

以下は雇用契約書、雇用条件書、雇用契約書の付録の書類作成時の注意点です。

  • 日本語とタイ語翻訳併記の地方出入国在留管理局参考様式を使用してください。
  • 署名以外はパソコンで入力してください(手書き、取り消し線不可)。
  • 受入れ機関の会社実印の捺印が必要です。
  • 特定技能外国人の記入・署名は必要ありません。

審査にかかる期間

1 全ての書類が正しく揃ってから15日(土日・休日を除く)
2書類に不備があった場合、訂正してから15日(土日・休日を除く)

「認証」の郵送先・問い合わせ先

認証手続きの申請先(書類の郵送先)・問い合わせ先は「タイ王国大使館労働担当官事務所」 になります。

タイ王国大使館労働担当官事務所

〒141-0021東京都品川区上大崎3-14-6

タイ王国大使館労働担当官事務所

電話03-5422-7014,03-5422-7015
E メール:thailabour@crest.ocn.ne.jp

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。

特定技能制度の下でタイ人を雇用しようする場合、雇用契約書に認証を受ける必要があります。

認証の受け方には次の3パターンがあります。

  • 日本にいるタイ人を雇用したい時
  • タイにいるタイ人を「国外職業紹介事業所」を利用せずに雇用したい時
  • タイにいるタイ人を「国外職業紹介事業所」を利用して雇用したい時

それぞれに認証を受けるタイミングが異なりますので、注意してください。また、入管へのビザ申請と合わせて流れを掴むことも重要です。

この記事では、以下のサイトを参照しました。また、最新の情報は出入国在留管理局やタイ大使館より取得をお願いします。

(特定技能制度)日本に入国・就労するタイ人労働者の認証手順 – Office of Labour Affairs Royal Thai, Embassy, Tokyo, Japan (mol.go.th)(参照 2024-10-1)

タイに関する情報 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)(参照 2024-10-1)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

大阪府箕面市の行政書士です。
・趣味:美術鑑賞、散歩
・スポーツ:卓球、テニス
・座右の銘:失敗は成功のもと
\お気軽にお問い合わせください/

目次