外国にいる外国人を雇用するには
特定技能で就労している外国人には、特定技能外国人になる為に、はるばる遠い外国から来日してきた人々がいます。下のグラフのオレンジの部分が、外国から来日して特定技能の在留資格で働いている方々の人数です。令和6年6月時点でおよそ9万人おられますね。
緑の部分は、別の在留資格で来日して、途中から「特定技能」の在留資格を得た人々になります。これを見ると、外国から来た方の人数は、日本に在留していた方の人数よりもかなり少ないことがわかりますね。
やはり、日本に何の繋がりもない外国人がいきなり日本で就職して働くことは、非常にハードルが高いことだと想像できます。
特定技能在留外国人数の公表等 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)(抜粋 2024-10-19)
では、外国人の方はどうやって日本で就職先を見つけるのでしょうか。そして、受入れ機関となるべき法人や個人事業主はどうやって外国人従業員を探すのでしょうか。それには以下の方法があります。
- 日本の職業紹介事業者の許可を得た、外国の送り出し機関や職業紹介事業者にマッチングしてもらう。
- 日本の職業紹介事業者にマッチングしてもらう。
- 受入れ機関が作成したSNSアカウントから求人を募集し、それに外国人が応募する。
外国にいる外国人が「特定技能1号」の在留資格を得るには?
在留資格認定証明書(COE)の取得が必要
外国にいる外国人が、職業紹介などで日本の受入れ機関との雇用契約が成立した時には、「在留資格認定証明書交付申請」をして、「在留資格認定証明書(COE)」を取得する必要があります。
COEとは、当該外国人が「特定技能1号」の在留資格の条件をクリアしていることを証明する書類でです。基本的には日本への入国の前に申請をして取得しておかなければなりません。
ただ、何らかの理由で外国人が日本に滞在している間に申請をし、取得しておくこともできますが、特定技能1号に関していえば、レアケースといって良いでしょう。
また、COEを取得しておくことで、在外公館での査証申請や日本への上陸申請の際に、速やかに査証発給や上陸許可をうけることができます。
(在留資格認定証明書)
第七条の二法務大臣は、法務省令で定めるところにより、本邦に上陸しようとする外国人(本邦において別表第一の三の表の短期滞在の項の下欄に掲げる活動を行おうとする者を除く。)から、あらかじめ申請があつたときは、当該外国人が前条第一項第二号に掲げる条件に適合している旨の証明書(以下「在留資格認定証明書」という。)を交付することができる。
誰がCOEの交付申請をするの?
申請人は外国人本人です。ですが日本国内にいない外国人が在留資格の申請を行うことはできません。
外国人が日本にいない場合、誰が「在留資格認定証明書交付申請」を行い、外国人にCOEを届けるのでしょうか?
前項の申請は、当該外国人を受け入れようとする機関の職員その他の法務省令で定める者を代理人としてこれをすることができる。
申請者である外国人が申請に行けるのであれば、もちろん外国人本人が申請に行くことが最も本来的な方法です。ただし、国外にいる者は在留資格の申請が認められていませんので、「在留資格認定証明書交付申請」に関しては、代理人を立てる方法が最も一般的な申請方法となります。ちなみに郵送で申請書を送付して申請を行うことはできません。
- 申請人本人(日本への入国を希望する外国人本人)
- 本人と特定技能雇用契約を結んだ本邦の機関の職員
- 次の(1)~(3)のいずれかに該当する申請取次者等(上記1又は2の方に代わって申請書類を提出できる者)
※ 上記1又は2の方が、日本に滞在している場合に限られます。
(1)外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員で地方出入国在留管理局長が適当と認めるもの
(2)地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士又は行政書士
※ 身分を証する文書(会社の身分証明書等)の提示をお願いしています。
(3)申請人本人の法定代理人
「在留資格認定証明書交付」申請手続きと流れ
日本国内にいない外国人が「特定技能1号」の在留資格を得るための大まかな手続きと流れを説明します。
まずは、受入れ機関と外国人双方が、特定技能1号の基準に合致しているのかを確認して下さい。そもそも、双方が基準をクリアしていなければ、申請をしたとしても許可を得ることはできません。後で慌てないよう、先に基準を良く確認しましょう。
受入れ機関においては、そもそも特定技能の指定分野の産業を行っているか否か、法令を遵守しているか、外国人を受け入れる体制が整っているかなど、多くの基準をクリアする必要があります。また、分野別の上乗せ基準(その産業分野特有の基準)もありますので、必ずチェックするようにしましょう。
以下の記事にまとめましたので、詳しくはこちらをご覧ください。
外国人本人においては、各種試験の合格(基本的には技能試験と日本語試験)もしくは技能実習2号を良好に修了していることが求められます。つまり特定技能制度では、一定の技術と日本語能力を持って即戦力として働くことのできる外国人を求めています。以下で、分野ごとに求められる試験についての記事を書きましたので、詳しくはこちらをご覧ください。
さて、ここまで確認が終ったら、次はいよいよ受入れ機関と外国人の間で雇用契約を結びます。雇用契約書や雇用条件書は出入国在留管理局のサイトからひな形をダウンロードすることができます。また、「在留資格認定証明書交付申請」に当たっては、これらの書類に雇用する外国人が理解できる言語を併記する必要があります。申請前に事前ガイダンスを行うのですが、その際に外国人に内容を説明して良く理解をして貰ってください。
下記サイトの「英語及び9か国語による様式につい」のボタンをクリックすると、国別のひな形を取得することができます。
さて、ここからは本格的に書類の作成に入っていきます。STEP2では、雇用契約書と雇用条件書を作成しました。これら2つの書類には、受入れ機関の印鑑と外国人のサインが必要です。また、「雇用の経緯に係る説明書」と「支援計画書」には外国語併記と外国人のサインが必要です。
書類作成と同時に、書類の収集を行います。収集するべき書類は、申請人の試験の合格証書、法人の登記簿謄本や各種保険の納付証明書、各種税金の納税証明書などがあります。
詳しい必要書類については、また別の記事にしたいと思います。
さて、苦労して作成した書類を揃えて、いよいよ申請に移ります。外国人が就業予定の事業所地を管轄する地方出入国在留管理署に申請します。また、以下にあてはまる方なら申請書提出のために地方出入国在留管理署に赴いて、申請書類を提出することができます。申請書に大きな不備がなければ書類が受理され、「申請受付票」が発行されます。この申請受付票は大切に保管をしておいて下さい。
また、登録は必要ですが、オンラインで申請をすることもできます。
申請手数料は無料です。
申請の内容が認められると、「在留資格認定証明書(COE)」が発行され、日本で申請を行った代理人や申請取次者の元に送付されます。オンライン申請の場合はメールにて発行されます。
「在留資格認定証明書(COE)」を外国人に送付します。EMS(国際スピード郵便)などを使って送付することになります。
外国人が、自国にある日本の在外公館(大使館)、領事館など)に査証(ビザ)申請を行って、査証を発給してもらいます。
外国からの出国、日本への入国が認められれば、晴れて受入れ機関の事業所で就労を開始することができます。
「在留カード」は、成田空港、羽田空港(東京国際空港)、中部国際空港、中部国際空港、新千歳空港、広島空港、福岡空港の7つの内、いずれかの空港を経由して日本へ入国した場合は、即日で発行されます。
上記以外の空港を経由した場合は、住居地の市区町村に「転入届」を提出後、郵便で外国人の自宅に届きます。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
外国にいる外国人が「特定技能1号」の在留資格を得て日本で就労するためには、「在留資格認定証明書(COE)」が必要になることをお話ししてきました。
COEを取得するためには、日本にいる代理人や申請取次者が「在留資格認定証明書交付申請」を行い、COEが交付された後、外国人のいる国に送付しなければなりません。
また、申請をしても100パーセント許可が下りるものではありません。
行政書士長尾真由子事務所では、ご依頼前に、外国人と受入れ機関双方が要件をクリアしているかどうかの判断をさせていだきます。その上で、許可が下りず、COEを取得できなかった場合には、半額を返金させていただきます。気になられた方がいらっしゃいましたら、下記までお気軽にお問い合わせください。相談は無料です。
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