「経営・管理」ビザとは
「経営・管理」ビザとは
「経営・管理(けいえい・かんり)ビザ」は、日本で会社を経営(けいえい)したり、管理職(かんりしょく)の人が日本にある会社にやとわれるためのビザです。ここでいうビザとは、「在留資格(ざいりゅうしかく)」のことです。査証(さしょう)のことではありません。
日本で会社を作って社長になりたい外国人は、このビザを取る必要(ひつよう)があります。外国人が日本で社長になるには、きちんと経営もしなければなりません。つまり、会社の重要なことを決めたり、ビジネスを実際に行ったり、監督したりする仕事をしなければならないということです。単に名前だけの社長では、ビザの許可はおりません。
「管理」においても同じです。本当に管理者として仕事をしている人でなければなりません。
外国人であっても、身分系(みぶんけい))の在留資格を持つ人は、このビザを取らなくてもよいです。下の4つが身分系のビザ(在留資格)と言われるビザです。
- 「永住者」(えいじゅうしゃ)
- 「定住者」(ていじゅうしゃ)
- 「日本人の配偶者等」(にほんじんのはいぐうしゃ)
- 「永住者の配偶者等」(えいじゅうしゃのはいぐうしゃ)
「経営・管理」ビザでできること
「経営・管理」ビザでできることは、入管法(にゅうかんほう)の「別表第一の二」に書かれています。
本邦(ほんぽう)において行うことができる活動(かつどう)
本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動
(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)
「経営」でできること
簡単(かんたん)に言うと、貿易会社(ぼうえきがいしゃ)やその他の会社を作って、経営することができると書いています。
貿易その他の事業(黄色の下線部分)とありますが、外国人が社長の会社では、次のようなビジネスが多く行われています。
- 貿易(ぼうえき)ー日本の中古品を自分の国で売るビジネス
- 飲食店(いんしょくてん)ー外国料理店
- 語学学校(ごがくがっこう)
- コンサルティングー外国人がクライアントのビジネス
- 観光ー赤字ホテルを買収して経営するものなど
「管理」でできること
管理者(かんりしゃ)として外国人が日本に来るとき、このビザを申請します。管理者には次の2つのパターンがあります。
- 外国の会社で、日本支店に転勤するパターン
- 日本の会社で、管理者としてやとわれるパターン
「経営・管理」ビザを持つ外国人の数
令和5年6月の外国人の数は322万3,858人です。そのうち「経営・管理ビザ」を持つ人は、35,061人です。全体から見れば、経営・管理ビザの人数は1.1%です。令和4年の統計では、29,385人で、全体の1.0%でしたので、少し増えていますね。
「経営・管理」ビザを取るには
「経営・管理」ビザを取るには、入管(にゅうかん)にビザの申請(しんせい)をしなければなりません。これはどのビザを取るときも同じです。ビザの申請には、基準(きじゅん)があります。
ビザを申請する前に、少なくとも下の基準をクリアしておきましょう。下の基準をクリアしている外国人でも、申請に通るかどうかは分かりませんが、下の基準をクリアしていない人に、ビザがもらえることはありません。
「経営・管理」ビザの基準
次の全ての基準に当てはまらなくてはいけません。
- オフィスが日本にあること
- ビジネスの大きさが次のどれかにあてはまること
- 経営や管理をする人以外に、2人より多い常勤の従業員をやとっていること
- 資本金(しほんきん)または出資金(しゅっしきん)の額が500万以上であること
- AやBと同じぐらいの大きさだと認められること
- 「管理」ビザを申請したい場合は、ビジネスの経営・管理で3年以上の経験(けいけん)があることと、日本人と同じかそれ以上の報酬(ほうしゅう)をもらうこと
一つずつ、くわしくお話していきます。
1、オフィスが日本にあること
日本にオフィス(事業所といいます)が必要です。
今は外国にいて、これから日本でビジネスを始めるという場合でも、そのビジネス用の場所を日本に持っておく必要があります。下に、場所を探すときのポイントを書いておきます。
ポイント
- 場所は事業用(じぎょうよう)にして下さい。住居用(じゅうきょよう)は認められませんが、元々は住居用でも特約(とくやく)などにより、許可が下りる場合があります。契約書には自分の名前ではなく、会社の名前を書いてください。
- 住むところはできれば別にしましょう。
- 契約の期間は2年ぐらいあるのが望ましいです。続けてビジネスをすることが求められますので、月単位で借りられるオフィスや屋台は認められません。
- インキュベーターオフィスでもかまいません(条件あり)。
- 公共施設(こうきょうしせつ)は一時的な利用であれば認められます。
- 他のビジネスとの共同オフィスは、それぞれのビジネスごとに場所を区切る必要があります。
2、ビジネスの大きさ
A、経営や管理をする人以外に2人より多い常勤の従業員をやとっている
この基準をクリアしてビザ申請をしようとする場合は、少なくとも2人の従業員をやとう必要があります。やとわれる人は、基本的には日本人です。他の就労系(しゅうろうけい)のビザを持つ外国人を雇うことはできません。身分系のビザを持っている人だけをやとうことができます。また、日本に住んでいる人でなくてはいけません。
常勤(じょうきん)とありますが、正社員(せいしゃいん)でなくてもかまいません。簡単に言うと、パートやアルバイトでも、就業時間をフルタイムで働いていれば、常勤になります。例えば、「所定労働時間(しょていろうどうじかん)」を週40時間と決めた場合、週に40時間働く人は常勤の人です。ですので、人をやとう場合は、就業規則を作り、所定労働時間をきちんと書いておいた方がよいでしょう。
B、資本金(しほんきん)または出資金(しゅっしきん)の額が500万以上である
多くの外国人は、このパターンで会社を日本に作ります。人をやとうよりも簡単だからです。ただし、ビザ申請の審査(しんさ)では、お金の出どころや、本当にビジネス用のお金なのかということがきびしく審査されます。
入管が一番気にするのは、「見せ金(みせがね)」ではないかということです。「見せ金」とは、申請をとおすために、「会社を作ったらすぐにお金を返す」と約束をして借りるお金のことです。
他にも、入管に疑われるケースがあります。日本で留学で来ていた学生が、留学中に貯めたお金で会社を作るケースです。留学生は週に28時間の労働しか認められないのに、その間に500万もためることができたのは、違法に長時間にわたって働いたからではないかと疑われます。
親に借りること、金融機関(きんゆうきかん)に借りることは認められます。親に借りる場合でも、借用書(しゃくようしょ)または金銭消費貸借契約書(きんせんしょうひたいしゃくけいやくしょ)を作っておきましょう。
3、「管理」と認められるには
「経営」と「管理」の違い
- 「経営」ー経営する人、取締役まで
- 「管理」ー経営の人より下の役職(やくしょく)の人
「管理」を申請できる人
「管理」のビザを申請できる人は、比較的大きな会社の管理職の人たちです。役職で言うと本部長(ほんぶちょう)や工場長(こうじょうちょう)、支店長(してんちょう)などになります。係長レベルでは管理職とは認められません。また、中小企業(ちゅうしょうきぎょう)の管理職はほとんど認められません。
管理職の人は、3年以上の経営または管理の経験が必要です。それを証明するために、在職証明書(ざいしょくしょうめいしょ)も必要です。
報酬(ほうしゅう)も日本人と同じか、それ以上をもらっている必要があります。
参照:出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令
https://www.moj.go.jp/isa/content/001367220.pdf
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事は、外国人の方にも読んでいただくことを考えて、簡単な日本語を使うようにしました。
この記事のまとめです。
- 「経営・管理」ビザは、日本に会社を作ったり、管理職の人が関係会社に来たりするためのビザです。
- 「経営・管理」ビザを取るには、次の2つの基準(きじゅん)をクリアしなければなりません。
- オフィスの基準
- ビジネスの大きさの基準
- 「管理」ビザを申請できるのは、大きな会社の管理職の人です。
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