「技術・人文知識・国際業務」とは
前回までの2回のブログ記事で、「技術・人文知識・国際業務」についてページを作成してきました。「技術・人文知識・国際業務」とは、外国人が日本に滞在するための在留資格(現在30以上)の一つです。就労系の在留資格であり、この在留資格をもって日本では働くことができますが、業務内容は限定されています。
イメージとしては、「技術・人文知識・国際業務」で従事できる仕事は、ホワイトカラーの仕事です。
こちらのブログ記事で詳しく説明していますので合わせてご覧ください。
入管が発表した統計では、2023年末時点で約36万人が「技術・人文知識・国際業務」をもって在留しています。これは「永住者」、「技能実習」に次いで、在留資格別の構成比で3位となり、日本に在留する外国人の10%以上がこの在留資格を持っていることになります。
カテゴリーとは
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を得るためには、出入国在留管理署(いわゆる入管)に書類を提出し、審査を受け、許可をもらう必要があります。この最初のプロセスである書類提出の際に、所属機関の規模や安定度によって、カテゴリー分けがされ、提出書類が異なってきます。
カテゴリーは1~4まであり、数字が小さいほど、大規模で安定した機関だとみなされます。
また、カテゴリー分類が適用されるのは、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格だけではありません。以下の在留資格においても、所属機関のカテゴリーにより、入管への提出書類が異なってきます。
①高度専門職
②経営・管理
③研究
④技術・人文知識・国際業務
⑤企業内転勤
⑥技能
それでは、次にそれぞれのカテゴリー要件を見ていきましょう。
カテゴリー要件
カテゴリー1
次のいずれかに該当する機関がカテゴリー1の機関です。所属機関の形態により決まります。
- 日本の証券取引所に上場している企業
- 保険業を営む相互会社
- 日本又は外国の国・地方公共団体
- 独立行政法人
- 特殊法人・認可法人
- 日本の国・地方公共団体認可の公益法人
- 法人税法別表第1に掲げる公共法人
- 高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)※ 対象はリンク先の「イノベーション促進支援措置一覧」を御確認ください。
- 一定の条件を満たす企業等(PDF : 42KB)
カテゴリー2
次のいずれかに該当する機関がカテゴリー2の機関です。カテゴリー1の形態を持たない所属機関は、カテゴリー2に当てはまるか検討します。
- 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人(↓下記画像の赤丸の部分が1000万以上)
- カテゴリー3に該当することを立証する資料を提出した上で、在留申請オンラインシステムの利用申出が承認された機関
カテゴリー3
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)
カテゴリー4
カテゴリー1~3のいずれにも該当しない団体・個人
カテゴリーで何が違うの?
カテゴリーにより、「技術・人文知識・国際業務」のビザ申請(在留資格諸申請)の際の書類の数と種類が違ってきます。ビザ申請には、「在留資格認定証明書交付申請」、「在留資格変更許可申請」、「在留期間更新許可申請」の3種類の申請があり、それぞれ、「国外から外国人を呼び寄せる場合」、「国内に他の在留資格で滞在する外国人を雇用する場合」、「今ある在留資格を更新する場合」に行う申請となります。
今回は、「国内に他の在留資格で滞在する外国人を雇用する場合」の「在留資格変更許可申請」について、カテゴリーによる書類の違いを確認してみましょう。
全カテゴリー共通の提出書類
まずは、どのカテゴリーの所属機関も提出しなければならない共通の書類を以下に記載しました。
- 在留資格変更許可申請書 1通
以下からダウンロード可能です。
在留資格変更許可申請書(PDF:314KB)
在留資格変更許可申請書(Excel:163KB) - 写真 1葉(指定の規格を満たした写真を用意し、申請書に添付して提出)
※ 申請書の写真添付欄に写真を直接印刷したものを提出することもできますが、指定の規格を満たさない不適当な写真とみなされた場合には、撮り直しを指示されます。
※ 16歳未満の方は、写真の提出は不要です。また、中長期在留者とならない在留資格への変更を希望する場合も写真の提出は必要ありません。 - パスポート及び在留カード 提示
- カテゴリー1~4のいずれかに該当することを証明する文書(↓に記載)(提出可能な書類がない場合は、カテゴリー4に該当することとなります。)
- 専門学校を卒業し、専門士又は高度専門士の称号を付与された者については、専門士又は高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書 1通
(そのうち、外国人留学生キャリア形成促進プログラムとして認定を受けた学科を修了した者については、認定学科修了証明書 1通)
認定学科修了証明書(PDF : 30KB) - 派遣契約に基づいて就労する場合(申請人が被派遣者の場合)
申請人の派遣先での活動内容を明らかにする資料(労働条件通知書(雇用契約書)等) 1通
カテゴリー1に該当することを証明する文書
- 四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)
- 主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し)
- 高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)であることを証明する文書(例えば、補助金交付決定通知書の写し)
- 「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する文書(例えば、認定証等の写し)
カテゴリー2に該当することを証明する文書
- 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
- 在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書(利用申出に係る承認のお知らせメール等)[カテゴリー3に該当することを立証する資料を提出した上で、在留申請オンラインシステムの利用申出が承認された機関に限る。]
カテゴリー3に該当することを証明する文書
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
カテゴリー4に該当することを証明する文書
なし
カテゴリー3、4の所属機関の場合に提出すべきその他の書類
カテゴリー3、4の所属機関は、全カテゴリー共通の提出書類に加えて、下記の書類の提出が求められます。全共通の書類が6までありましたので、7から記載していきます。
- 申請人の活動の内容等を明らかにする次のいずれかの資料
(1)労働契約を締結する場合
労働基準法第15条第1項及び同法施行規則第5条に基づき、労働者に交付される労働条件を明示する文書 1通
(2)日本法人である会社の役員に就任する場合
役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し 1通
(3)外国法人内の日本支店に転勤する場合及び会社以外の団体の役員に就任する場合
地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書 1通 - 申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書
(1)申請に係る技術又は知識を要する職務に従事した機関及び内容並びに期間を明示した履歴書 1通
(2)学歴又は職歴等を証明する次のいずれかの文書- 大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書。なお、DOEACC制度の資格保有者の場合は、DOEACC資格の認定証(レベル「A」、「B」又は「C」に限る。) 1通
- 在職証明書等で、関連する業務に従事した期間を証明する文書(大学、高等専門学校、高等学校又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に係る科目を専攻した期間の記載された当該学校からの証明書を含む。) 1通
- IT技術者については、法務大臣が特例告示をもって定める「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書 1通
※ 【共通】5の資料を提出している場合は不要 - 外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事する場合(大学を卒業した者が翻訳・通訳又は語学の指導に従事する場合を除く。)は、関連する業務について3年以上の実務経験を証明する文書 1通
- 登記事項証明書 1通
- 事業内容を明らかにする次のいずれかの資料
- 勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が詳細に記載された案内書 1通
- その他の勤務先等の作成した上記❶に準ずる文書
- 直近の年度の決算文書の写し。新規事業の場合は事業計画書 1通
カテゴリー4の所属機関の場合のみが提出すべきその他の書類
- 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料
- 源泉徴収の免除を受ける機関の場合
- 外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料 1通
- 上記❶を除く機関の場合
- 給与支払事務所等の開設届出書の写し 1通
- 次のいずれかの資料
- 直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるものの写し) 1通
- 納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料 1通
- 源泉徴収の免除を受ける機関の場合
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回は、主に「技術・人文知識・国際業務」における所属機関のカテゴリー要件と、提出書類について確認してきました。
お分かりの通り、カテゴリーの数字が小さいほど、入管からの信頼が厚く、提出書類も少なくすみます。
ただし、入管からの信頼が厚いからといって、在留資格審査で必ず許可になるというわけではありません。入管の審査のポイントは、「業務内容が申請と合致しているか」にありますので、個人事業主が外国人を雇用することも可能です。要は、「技術・人文知識・国際業務」の仕事が、当該外国人の学歴や職歴と関連性があるのか、関連性のある業務量が当該外国人を雇用するほどにあるのか、が重要なポイントとなってくるのです。
入管の審査の判断基準については、また別のブログ記事に書きたいと思います。
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