大学などを卒業してから就職活動をする外国人のためのビザを申請するために必要な書類をやさしく説明します

目次

はじめに

日本の大学や専門学校に通う外国人留学生も、日本人学生と同じように、卒業の前に就職活動をします。けれども、内定がもらえなかったり、内定をもらったけれど「自分には合わない」と思って辞退してしまい、卒業までに仕事が決まらないこともあります。

本来、「留学」の在留資格では、学校を卒業したあとに日本に住み続けることはできません。卒業したら、日本を出国するか、別の在留資格に変える必要があります。

そこで、日本で働きたいと強く希望する留学生を助けるために、「特定活動」という在留資格の一つとして 「日本の大学などを卒業した留学生が、卒業後に就職活動をする場合」 という制度が作られました。これを使うと、卒業後も一定の期間、日本に残って就職活動を続けることができます。

この制度は、日本の大学だけでなく、海外の大学を出て、日本語学校を卒業した外国人も利用することができます。

詳しい条件については前回のブログ記事でご紹介していますので、ぜひこの記事とあわせてご覧ください。

必要書類

それでは、早速「日本の大学などを卒業した留学生が、卒業後に就職活動をする場合」の特定活動を申請するために必要な書類を見ていきましょう。

書類は、外国人留学生が卒業した日本の学校によって、少しずつ異なります。以下のようにカテゴリーに分けて紹介していきます。

  • 日本の大学(短期大学、大学院、高等専門学校)の卒業生の場合
  • 日本の専門学校の卒業生の場合
  • 日本語学校の卒業生で、かつ外国の大学(院)の卒業生の場合

日本の大学(短期大学、大学院、高等専門学校)の卒業生の場合

  1. 在留資格変更許可申請書
  2. 申請書に貼る写真1枚
  3. パスポートと在留カード
  4. 申請人の在留中の一切の経費の支弁能力を証する文書
  5. 直前まで在籍していた大学の卒業証書(写し)又は卒業証明書 1通
  6. 直前まで在籍していた大学による継続就職活動についての推薦状 1通
  7. 継続就職活動を行っていることを明らかにする資料 適宜

1.在留資格変更許可申請書

本邦の大学等を卒業した留学生が就職活動を行う場合 | 出入国在留管理庁」からダウンロードすることができます。

出入国在留管理庁のホームページからは、PDFだけでなくEXCEL版もダウンロードすることができます。パソコンで書いても、ボールペンや万年筆などで書いても構いませんが、フリクションペンは使わないでください。

また、上記の後に「所属機関作成用1」、「所属機関作成用2」もダウンロードできてしまいますが、大学などを卒業した外国人に所属機関はありませんので、作成は不要です。

2.申請書に貼る写真1枚

申請書には写真を貼ります。写真は何でも良いわけではありません。

出入国在留管理局のホームページには、写真の決まりが掲載されていますので、決まり通りの写真を貼りましょう。

写真の決まりは、下記の出入国在留管理局のサイトを見てください。

指定の規格を満たした写真| 出入国在留管理庁

3.パスポートと在留カード

これらは窓口で提示します。つまり、申請時に窓口で提出し、申請書類の受理後に、その日の内に返却されます。コピーなどを持参する必要はありません。

4.申請人の在留中の一切の経費の支弁能力を証する文書

「経費の支弁能力を証する文書」という言葉は、やや分かりにくいかもしれません。つまり、「就職活動中の生活費を支払う能力があることを証明する書類」という意味です。

通常は、銀行の通帳を提出します。通帳が複数ある場合は、すべて提出しても構いませんし、メインの銀行口座に就職活動中の生活費として十分な残高がある場合は、その一冊だけでも問題ありません。

生活費をアルバイトの収入で賄う場合は、勤務先の給与明細などを提出しましょう。毎月一定の収入があることを示すことで、就職活動中の生活を支える能力があると証明できます。

5.直前まで在籍していた大学の卒業証書(写し)又は卒業証明書 1通

「直前まで在籍していた」とありますので、例え大学院の前に大学を卒業していた外国人でも、最終学歴である大学院の卒業証書または卒業証明書を提出します。卒業証書は基本的に再発行できませんので、コピー提出となります。

6.直前まで在籍していた大学による継続就職活動についての推薦状 1通

推薦状の参考様式は、出入国在留管理局のホームページからダウンロードすることができます。

7.継続就職活動を行っていることを明らかにする資料 適宜

「継続就職活動を行っていることを明らかにする資料」とは、例えば次のようなものがあります。

  • 説明会の資料
  • 企業とのメールのやりとりを印刷したもの
  • 不採用通知書etc

また、出入国在留管理局のホームページには、大学院生で研究のために就職活動ができなかった場合について、以下のように記載されています。

大学院生について、研究活動等に専念する必要があり、在学中、就職活動を十分に行うことができなかった場合は、最寄りの地方出入国在留管理官署まで御相談ください。

日本の専門学校の卒業生の場合

  1. 在留資格変更許可申請書
  2. 申請書に貼る写真1枚
  3. パスポートと在留カード
  4. 申請人の在留中の一切の経費の支弁能力を証する文書
  5. 直前まで在籍していた専修学校の発行する専門士の称号を有することの証明書 1通
  6. 直前まで在籍していた専修学校の卒業証書(写し)又は卒業証明書及び成績証明書 1通
  7. 直前まで在籍していた専修学校による継続就職活動についての推薦状 1通
  8. 継続就職活動を行っていることを明らかにする資料 適宜
  9. 専門課程における修得内容の詳細を明らかにする資料 1通

1~4の資料

1~4の資料については、「日本の大学(短期大学、大学院、高等専門学校)の卒業生の場合」と同じです。

5.直前まで在籍していた専修学校の発行する専門士の称号を有することの証明書 1通

「専門士」という名前をもらえる専修学校(専門学校)を卒業していないと、この在留資格の申請はできません。まずは、自分が卒業した専修学校が「専門士」を出せる学校かどうかを、よく確認してください。

もし卒業証書や卒業証明書に「専門士(○○分野)」と書いてあれば、その卒業証書の写しや卒業証明書を出せば大丈夫です。

もし卒業証書や卒業証明書に「専門士」と書いていないときは、学校にお願いして「専門士称号授与証明書」を出してもらいましょう。

6.直前まで在籍していた専修学校の卒業証書(写し)又は卒業証明書及び成績証明書 1通

5の書類として、専修学校(専門学校)の卒業証書の写しや卒業証明書を提出する場合には、同じものを2枚提出する必要はありません。ただし、成績証明書は別に用意が必要です。

7.直前まで在籍していた専修学校による継続就職活動についての推薦状 1通

「日本の大学(短期大学、大学院、高等専門学校)の卒業生の場合」と同じ様式です。

推薦状の参考様式は、出入国在留管理局のホームページからダウンロードすることができます。

8.継続就職活動を行っていることを明らかにする資料 適宜

「継続就職活動を行っていることを明らかにする資料」とは、例えば次のようなものがあります。

  • 説明会の資料
  • 企業とのメールのやりとりを印刷したもの
  • 不採用通知書etc

9.専門課程における修得内容の詳細を明らかにする資料 1通

専門学校の専門課程で何を勉強したか、くわしく分かるような資料を1つ提出してください。

日本語学校の卒業生で、かつ外国の大学(院)の卒業生の場合

  1. 在留資格変更許可申請書
  2. 申請書に貼る写真1枚
  3. パスポートと在留カード
  4. 申請人の在留中の一切の経費の支弁能力を証する文書
  5. 直前まで在籍していた日本語教育機関の卒業(又は修了)証書(写し)又は卒業(又は修了)証明書 1通
  6. 直前まで在籍していた日本語教育機関が発行する出席状況の証明書 1通
  7. 海外の大学又は大学院を卒業(又は修了)し、学士以上の学位を取得していることを証する文書(海外の大学又は大学院の卒業(又は修了)証書(写し)若しくは卒業(又は修了)証明書 1通
  8. 直前まで在籍していた日本語教育機関による継続就職活動についての推薦状 1通
  9. 継続就職活動を行っていることを明らかにする資料 適宜
  10. 直前まで在籍していた日本語教育機関と定期的に面談を行うとともに、就職活動に関する情報提供を受ける旨の確認書 1通
  11. 直前まで在籍していた日本語教育機関が一定の要件を満たしていることが確認できる資料 1通

1~4の資料

1~4の資料については、「日本の大学(短期大学、大学院、高等専門学校)の卒業生の場合」と同じです。

5.直前まで在籍していた日本語教育機関の卒業(又は修了)証書(写し)又は卒業(又は修了)証明書 1通

次のどちらかの書類を1つ提出してください。

  • 最後に通っていた日本語学校の卒業(修了)証書のコピー
  • 最後に通っていた日本語学校の卒業(修了)証明書

6.直前まで在籍していた日本語教育機関が発行する出席状況の証明書 1通

最後に通っていた日本語学校が出す、出席の証明書を1つ提出してください。

7.海外の大学又は大学院を卒業(又は修了)し、学士以上の学位を取得していることを証する文書(海外の大学又は大学院の卒業(又は修了)証書(写し)若しくは卒業(又は修了)証明書 1通

最後の学歴が日本語学校の外国人は、ビザを『留学』から『就職活動ための特定活動』に変えるために、外国の大学か大学院を卒業していることが必要です。

日本語学校を卒業しただけでは、『就職活動ための特定活動』の在留資格(ビザ)を申請することはできません。

また、海外の専門学校を卒業した外国人も、条件にあてはまらないため申請することはできません。

あてはまる外国人は、次のどれかの書類を1つ提出してください。

  • 海外の大学の卒業(修了)証書のコピー
  • 海外の大学の卒業(修了)証明書
  • 海外の大学院の卒業(修了)証書のコピー
  • 海外の大学院の卒業(修了)証明書

8.直前まで在籍していた日本語教育機関による継続就職活動についての推薦状 1通

推薦状の参考様式は、出入国在留管理局のホームページからダウンロードすることができます。

「日本の大学(短期大学、大学院、高等専門学校)の卒業生の場合」と「日本の専門学校の卒業生の場合」の推薦状と少し違います。

外国人留学生が学校にお願いして、書いてもらいましょう。

9.継続就職活動を行っていることを明らかにする資料 適宜

「継続就職活動を行っていることを明らかにする資料」とは、例えば次のようなものがあります。

  • 説明会の資料
  • 企業とのメールのやりとりを印刷したもの
  • 不採用通知書etc

10.直前まで在籍していた日本語教育機関と定期的に面談を行うとともに、就職活動に関する情報提供を受ける旨の確認書 1通

この確認書の参考様式は、出入国在留管理局のホームページからダウンロードすることができます。

最後に、外国人留学生が署名をしますので、留学生は中身をよく読んで理解しておきましょう。

11.直前まで在籍していた日本語教育機関が一定の要件を満たしていることが確認できる資料 1通

この確認書の参考様式は、出入国在留管理局のホームページからダウンロードすることができます。

外国人留学生が、学校にお願いして書いてもらいましょう。

アルバイトをする場合の「資格外活動許可」申請書

在留資格(ビザ)を「留学」から「就職活動のための特定活動」に変更してからも、日本で生活するための生活費が必要です。貯金や親の仕送りが十分でない場合は、アルバイトをする必要があるかもしれません。

「就職活動のための特定活動」の在留資格でも、留学と同様に「資格外活動許可」を得ることで、アルバイトをすることができます。

アルバイトは、1週に28時間以上することはできません。

申請書は、出入国在留管理局のホームページからダウンロードすることができます。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。

「日本の大学などを卒業した留学生が、卒業後に就職活動をする場合」の特定活動を申請するために必要な書類は、日本のどのカテゴリーの学校を卒業したかにより、少しずつ異なります。

自分が、どの学校を卒業したのかを確認し、間違いのないように書類を準備しましょう。

  • 書類の準備の仕方が分からない
  • 自分で準備を始めてみたが、途中で止まってしまった

というような外国人の方がおられましたら、どうぞ行政書士長尾真由子事務所にご相談ください。

女性の行政書士が、親身になってビザ取得のお手伝いをいたします。

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この記事を書いた人

大阪府箕面市の行政書士です。
・趣味:美術鑑賞、散歩
・スポーツ:卓球、テニス
・座右の銘:失敗は成功のもと
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