「フィリピン人をITエンジニアや通訳、総合職(技人国)として雇用したいけれど、MWO(旧POLO)の手続きはどうすればいい?」
「フィリピン人専門職の雇用で注意すべき『Direct Hire(直接雇用)規制』や必要費用を知りたい」
フィリピン人を専門的・技術的分野(主に**「技術・人文知識・国際業務(技人国)」や「高度専門職」**など)の在留資格で雇用する場合、入管へのビザ申請だけでなく、フィリピン移民労働省(DMW/旧POEA)およびMWO(フィリピン海外雇用庁)での事前承認手続きが必須となります。
しかし、「専門職」といってもどのビザが該当するのか分かりにくいうえ、MWO東京とMWO大阪で提出書類や運用方針が異なるため、手続きで戸惑う企業様も少なくありません。
そこで本記事では、申請実績豊富な行政書士が、フィリピン人専門職の対象となる在留資格、MWO申請の手続き手順、Direct Hire規制のポイント、発生する費用までを【2026年最新情報】で分かりやすく解説します。
目次💡 この記事でわかること(3分で理解)
- 対象ビザ:技術・人文知識・国際業務(技人国)、医療、介護、技能、高度専門職などの専門職ビザ
- 採用ルート:「Agency-hired」と「Direct Hire」の違い
- MWO手続きと入管手続きの流れ:呼び寄せと国内転職での手続きの流れの違いを解説
- 費用・期間の目安:雇用企業側が負担すべき手続き費用および全体スケジュール
- 東京・大阪の違い:MWO東京とMWO大阪での提出書類・審査スピード・受付運用の最新比較のブログ記事の案内
Professional Skilled Workerの対象となる在留資格
MWOの手続きにおいて「Professional Skilled Worker(専門職・技術者)」に区分されるのは、主に高度な知識や専門技術を要する就労ビザでフィリピン人を受け入れるケースです。
具体的には、以下の在留資格で雇用する場合が該当します。
- 技術・人文知識・国際業務(ITエンジニア、通訳・翻訳、機械設計、総合職など)
- 教授 / 教育(大学教授、小・中・高校や語学学校の語学教師など)
- 医療(医師、看護師など)
- 技能(外国料理の調理師、外国様式の建築技能者、スポーツ指導者など)
- 高度専門職 など
※「特定技能」「技能実習」「興行」は別カテゴリーです
フィリピン人の雇用でよく知られる「特定技能」や「技能実習」、ダンサー・アーティスト等の「興行」は、フィリピン政府(MWO/DMW)の区分上、Professional Skilled Workerとは全く異なるカテゴリーに分類されています。
申請に必要な書類やフォーマット、手続きのステップが大幅に異なります。そのため、手続きを進める前には必ずご自身の受入企業を管轄するMWO(東京または大阪)へ電話やメールで直接お問い合わせいただき、確認することをおすすめします。
MWO東京と大阪のカテゴリーの違いについては、以下のブログ記事で解説しています。

2つの採用ルート:「Agency-hired」と「Direct Hire」の違い
フィリピン人を雇用するルートには、大きく分けて「Agency-hired(送り出し機関経由)」と「Direct Hire(直接雇用)」の2種類が存在します。
原則は「Agency-hired(現地送り出し機関経由)」
フィリピンの法律では、海外で働くフィリピン人労働者の権利や労働条件を守るため、原則としてフィリピン政府の認可を受けた送り出し機関(PRA:Philippine Recruitment Agency)を経由して採用すること(Agency-hired)が義務付けられています。
企業がフィリピン現地から新規に求人・採用を行う場合は、PRAと協定書(Recruitment Agreement)を結び、MWOの認証を受けた上で採用を進める必要があります。
【超重要】自社で人材を直接見つけている場合でもPRA契約は必須です
「すでに知人の紹介やSNS、自社応募で採用したいフィリピン人(候補者)が決まっている」「PRAに新たな求人・募集(リクルート)を依頼する予定はない」というケースであっても、原則としてPRAとの契約(Recruitment Agreementの締結)および手続きの経由が必須となります。
人材募集の有無にかかわらず、「Agency-hired」の枠組みで手続きを進めなければならない点に十分注意してください。
「Direct Hire(直接雇用)」は原則禁止・例外のみ認められる
送り出し機関を挟まずに企業が直接フィリピン人と雇用契約を結ぶ「Direct Hire」は、過酷な労働条件や悪質なスカウトから労働者を保護する目的で原則禁止されています。
ただし、「Direct Hire Exemption(直接雇用の例外)」として、以下のような特定の条件を満たす場合に限り、例外的に直接雇用が認められます。
- 代表者の親族を雇用する場合
- 外交官、国際機関、政府関係機関で雇用する場合
- 専門職・技術職・高度人材で、特定の要件を満たす場合
例外規定を適用して直接雇用申請を行う場合でも、MWOでの認証手続き自体が不要になるわけではなく、別の厳格な事前審査・認証プロセスが必要となります。
「Direct Hire(直接雇用)」については、以下のブログ記事で詳しく解説しています。

【パターン別】手続きの手順とDMW登録の重要性
フィリピン人専門職を採用する際、「海外から新規で呼び寄せる場合」と「日本国内にいるフィリピン人を転職で採用する場合」では、必要な手続きと注意点が異なります。
パターン①:海外からの呼び寄せ(在留資格認定証明書交付申請:COE)
フィリピン現地に居住している人材を新しく採用・呼び寄せる場合の標準的なフローです。
- PRA(現地送り出し機関)の選定・契約
- MWOへの申請(MWO東京またはMWO大阪)
- MWOでの面接(インタビュー)・書類認証
- 結核スクリーニング検査の受診・結果取得(フィリピン現地)
- 日本の入管へ「在留資格認定証明書(COE)」の交付申請
- 「在留資格認定証明書(COE)」の受領
- 査証(ビザ)取得(フィリピン現地)
- DMWでの登録および「OEC(海外雇用許可証)」の取得(フィリピン現地)
- 来日・着任
パターン②:日本国内での転職(在留資格変更許可申請)
すでに「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザを持ち、日本国内で暮らしているフィリピン人を採用するケースです。
- PRA(現地送り出し機関)の選定・契約
- MWOへの申請(MWO東京またはMWO大阪)
- MWOでの面接(インタビュー)・書類認証
- PRA(フィリピン現地)に認証書類送付、DMWへの登録
- 日本の入管へ「在留資格認定証明書(COE)」の交付申請
- 新在留カードの受領
- 一時帰国時に「OEC(海外雇用許可証)」を取得
- 日本に再入国・就労継続
入管手続きだけでは不十分!DMW登録を怠った場合のリスク
日本国内での転職であっても、フィリピンの法律上、雇用主(企業)が変更になった場合はDMWへの新雇用主とPRAの登録手続きを行う義務があります。
これを怠り、入管の手続きのみで就労させた場合、以下のような重大なリスクが発生します。
- 一時帰国時に再入国できなくなる(OECの不発給)一時帰国や出張でフィリピンに帰国した際、DMWの登録情報と現在の雇用主が一致しないため、出国に必要な「OEC(海外雇用許可証)」が発給されず、日本に戻れなくなってしまいます。
- 企業がブラックリストに登録される(雇用禁止措置)フィリピン法違反と判断された場合、悪質なケースでは企業名がDMWのブラックリストに掲載され、将来的に一切のフィリピン人雇用が禁止される恐れがあります。
日本国内での転職採用であっても、必ずフィリピン側の登録手続きを正しく行うことがコンプライアンス上極めて重要です。
受入にかかるスケジュールと費用の目安
「認定送出機関」を通してフィリピン人専門職(Agency-hired)を海外から呼び寄せる場合、採用から着任までに相応の準備期間と費用が発生します。
スジュールの目安:約3ヶ月〜7ヶ月
- MWO申請〜認証完了: 約1ヶ月〜2ヶ月
- 日本の入管(COE申請〜交付): 約1ヶ月〜3ヶ月
- 現地DMW手続き・OEC発給・査証取得〜渡航: 約1ヶ月~1カ月半(※1)
※1 国内転職の場合は就業開始時には不要
書類作成の遅れや差し戻しが発生すると、着任時期が数ヶ月単位で後ろ倒しになるため、十分な余裕を持ったスケジュール感でプロジェクトを進める必要があります。
主な費用項目
- PRA(現地送り出し機関)手数料: 採用・渡航サポート費用等(※2)
- 渡航前検診費、フィリピン強制保険料等: PRAの手数料に含まれる場合あり
- 渡航費:原則企業(受入れ機関)負担
- MWO申請・認証費用: 登記簿謄本発行手数料および公証費用、MWO郵送用のレターパック代等
- 行政書士報酬: MWO申請代行および入管COE申請代行費用(※3)
- 入管手数料:国内人材の場合
※2 PRAに求人を依頼しない場合でもPRAとの契約は必要ですが、PRAへの費用は減額されます。ただし、PRAによって費用には大きな差があります。
※3 企業担当者やフィリピン人本人が申請する場合は必要ありません。
まとめ:正しい手続きで確実なフィリピン人専門職の採用を
フィリピン人専門職(Professional Skilled Worker)の採用は、日本の入管法だけでなくフィリピンのDMW規定を正しく理解し、双方向でコンプライアンスを遵守することが成功の鍵です。
特に「国内転職におけるDMW登録」の手続き漏れや、「Agency-hiredにおけるMWO申請」の手戻りは、企業の採用計画に重大な支障をきたす恐れがあります。
具体的な必要書類や「MWO東京・大阪の違い」についてはこちら
実際のMWO申請に必要な書類の一覧や、受入企業の所在地による「MWO東京」と「MWO大阪」の管轄・運用の違いについては、以下の実践解説記事で詳しくまとめています。あわせてご参照ください。

フィリピン人専門職の採用・MWO申請のご相談は当事務所へ
行政書士長尾真由子事務所では、受入企業様や人事担当者様からのご相談はもちろん、同業の行政書士の先生方からのご相談や、MWO申請・DMW登録等に関するスポットでの手続きサポートのご依頼も承っております。
- 「自社がどの手続きパターン(Agency-hired / Direct Hire)に該当するのか分からない」
- 「現地PRAとの連携や英文契約書の作成・公証手続きを任せたい」
- 「国内転職で採用したフィリピン人のDMW変更登録を正しく行いたい」
- 【行政書士の先生方へ】 「自所のお客さまのフィリピン人雇用に伴い、MWO申請の部分だけスポットで専門家に任せたい・アドバイスが欲しい」
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