フィリピン人をPRA(認定送出し機関)を通さずに雇用することを直接雇用(Direct Hire)と言います。PRAを通さない場合であっても、MWO(旧POLO)の手続きを避けて通ることはできません。
直接雇用は原則として禁止されていますが、一部例外が認められており、MWO東京、MWO大阪それぞれに対象となるカテゴリーが設定されています。
MWO東京とMWO大阪の直接雇用のカテゴリー表記(書類群のカテゴリーの名称)は以下のようになります。
- MWO東京ーExemption on the Ban on Direct Hiring
- MWO大阪ーProfessional/Skilled (Direct Hire)
「具体的にどんな書類を提出すればいいのか?」「テンプレートはどこから入手すれば良いのか」「英文書類の作成や注意点がよく分からない」「公証が必要な書類はどれなのか」とお困りの企業担当者様も多いのではないでしょうか。
実際、MWOの手続きは提出する書類の整合性や英文表現、補足資料の有無によって、差し戻しや確認に時間がかかってしまうケースが少なくありません。
そこで本記事では、当事務所が実際にMWOに直接雇用(Direct Hire)の申請を行い、認証を取得した実務経験をもとに、最新の必要書類一覧と、手続きをスムーズに進めるための注意点を分かりやすく解説します。
「自社で手続きを進めたい」「書類の不備によるタイムロスを防ぎたい」とお考えのご担当者様は、ぜひ参考にしてください。
まずは「直接雇用(Direct Hire)の対象になるか」をご確認ください
直接雇用で申請できるかどうかは、MWOへ事前確認した際に案内される書類のタイプで概ね判断できます。
「自社が直接雇用を進められる状態なのか判断したい」「事前確認の流れや全体像を知りたい」という方は、まず以下の解説記事をご覧ください。

【一目でわかる】MWO東京・MWO大阪それぞれの直接雇用の必要書類比較表
表の見方
○ー提出必要 △ー場合により提出必要 ✕ー提出不要
| 書類名称 英語 日本語 | MWO東京 | MWO大阪 | 備考 |
| Application form 申請書 | ○ | ○ | テンプレートあり |
| Standard Employment Contract 雇用契約書 | ○ | ○ | テンプレートあり 公証必要 |
List of Duties and Responsibilities 職務内容および責任範囲一覧 | ○ | △ | MWO大阪の場合 原則提出不要 念のため提出可 |
| Salary Breakdown 給与内訳 | ○ | △ | MWO大阪の場合 原則提出不要 念のため提出可 |
| OFW Mandatory Insurance policy or certificate OFW義務保険証券 | ○ | ✕ | テンプレートあり |
| Copy of COE 在留資格認定証明書の写し | △ | △ | 呼び寄せの場合のみ |
| Copy of passport (Employee) 労働者のパスポートの写し | ○ | ○ | 期限の6か月前 以内のもの |
| Resume of the employee 詳細経歴書 | ○ | ✕ | フィリピン人労働者の署名必要 |
| PRC license or TESD National Certificate PRCライセンス又はTESDA国家証明書 | △ | △ | 該当する場合のみ |
| college diploma and Transcript of Records 卒業証書および成績証明書 | ○ | ✕ | 大学発行による認証済みコピーが必要 |
| Employment certificates 雇用証明書 | ○ | ✕ | 前職の会社からフィリピン人労働者に発行されたもの |
| Employment acquisition statement 就労先確保の経緯に関する陳述書 | ○ | △ | 公証必要 |
| Copy of medical insurance 健康保険証の写し | ✕ | △ | 健康保険証が発行されている場合に必要 翻訳必要 |
| Company Registration 会社の登記簿謄本 (原本) | ○ | ○ | 個人事業主の場合 納税証明書(東京は事業許可証も必要) 翻訳必要 |
| Company profile 会社概要 | ✕ | ○ | テンプレートあり |
| Copy of ID (Employer) 雇用主の身分証明書 | ○ | ○ | パスポート、運転免許証、マイナンバーカードなど パスポート以外は 翻訳必要 |
申請書テンプレートのダウンロード元(公式リンク)と管轄地域
申請書テンプレートのダウンロード元(公式リンク)
MWOの手続きでは、最新の指定フォーマットを使用する必要があります。過去の様式や他の管轄の様式を使用すると差し戻しの原因になりますので、必ず以下の公式サイトから最新のファイルをダウンロードしてご準備ください。
- MWO東京(関東・甲信越・北海道・東北など)をご利用の方: MWO東京 公式ホームページ(DMW-MWO Tokyo)
- MWO大阪(近畿・中四国・九州・沖縄など)をご利用の方: MWO大阪 公式ダウンロードページ(Downloadable Forms)(※ Professional/Skilled (Direct Hire) の項目にある「Application for Exemption」「Standard Employment Contract」等の様式を使用します)
詳しいダウンロードの手順は、下記のブログ記事をご覧ください。

MWO東京とMWO大阪の管轄地域
MWO大阪およびMWO東京の管轄地域(対象都道府県)は以下の通りです。フィリピン人労働者の就業場所の都道府県を管轄するMWOに書類を提出します。
MWO東京の管轄地域 関東・東北・北海道・中部の一部を中心とした東日本エリアが対象です。
- 北海道・東北: 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
- 関東: 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県
- 甲信越・北陸: 山梨県、長野県、新潟県
- 東海: 静岡県
- その他:沖縄県
MWO大阪の管轄地域 近畿・中四国・九州・沖縄を中心とした西日本エリアが対象です。
- 近畿: 大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県、三重県
- 中国: 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
- 四国: 徳島県、香川県、愛媛県、高知県
- 九州: 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
- その他: 岐阜県、愛知県、石川県、富山県、福井県
必要書類の準備方法と実務上の注意点
MWOへの申請を行うにあたり、まず押さえておくべき最重要なルールが「言語」に関する決まりです。提出書類の作成に取りかかる前に、以下の2点(全書類の英語表記・日本語書類の英訳)を必ずご確認ください。
全ての書類を英語で表記する必要がある
MWO(Migrant Workers Office)に提出する書類は、申請書や理由書だけでなく、添付資料や翻訳文書も含めて原則としてすべて英語表記(英文作成)で準備する必要があります。
- 会社名や住所の表記 会社案内や各種申請書に記載する会社名・所在地・代表者名なども、すべて正しい英語表記に統一してください。
- 表記の表記揺れに注意 例えば、雇用契約書と登記簿謄本の翻訳文書で会社名の英文表記が微妙に異なっていたりすると、審査時に補正や差し戻しの対象となります。全書類で表記が一致しているかを必ずチェックしましょう。
日本語の書類は全て英語翻訳が必要になる
日本の官公庁や法務局などで発行される公式書類(登記簿謄本など)、あるいは日本側で日本語で作成された資料を提出する場合は、必ず「英語への翻訳文(英訳)」を添付しなければなりません。
- 翻訳の対象となる主な書類
- 登記簿謄本
- 雇用主の運転免許証(パスポートが無い場合)
- 事業許可証
- COE(在留資格認定証明証)
- 健康保険証
- その他、日本側で発行・作成された証明書や理由書など
- 翻訳者の署名と正確性 英訳文には、ただ翻訳するだけでなく「誰が翻訳したか」を明確にするため、翻訳者の署名(または捺印)を記載した翻訳証明を添えるのが実務上の基本ルールです。専門用語や法律用語も多いため、誤訳や不正確な表現がないよう慎重に翻訳を準備する必要があります。
Standard Employment Contract(雇用契約書)の「公証(Notarization)」が必要になる
直接雇用の申請では、準備したStandard Employment Contract(雇用契約書)に公証役場での「公証」を受ける必要があります。
通常、認定送出し機関(PRA)を通して雇用する場合は、受入れ企業とPRAとの間で締結する「Recruitment Agreement(協定書)」に対して公証を受けます。
しかし、直接雇用の場合はPRAを挟まず、「受入れ企業」と「フィリピン人本人」が直接の契約相手となります。そのため、協定書ではなく「雇用契約書そのもの」に対して公証手続きを行う点が、通常のPRA経由の雇用手続きと大きく異なる注意ポイントです。
☆実務での注意点
- 公証を受ける日時や持参書類について、事前に公証役場へ確認して準備を進めましょう。(公証役場によっては、事前に予約が必要であったり、公証に必要な書類をデータやFAXで送付することを求められる場合があります。)
- 契約内容や英文表記に不備があると、公証後に修正が生じた際、再度公証を受け直す手間と費用が発生してしまいます。公証前に必ず内容に誤りがないか最終チェックを行いましょう。
MWO書類の公証については、以下のブログ記事で詳しく解説しています。

理由書・説明書には「代表者の署名・会社印の捺印」が必要になる
MWOに提出する理由書や説明書などの各種レター類には、代表者の署名(サイン)と会社印の捺印が必須となります。
- 署名・捺印のルール
- 署名(サイン): 代表者ご本人が「漢字・日本語」で自署します。
- 捺印: 印鑑証明登録のある「会社実印(代表者印)」で捺印します。
- 対象となる主な理由書・説明書(英文レター)
- MWOへ宛てたカバーレター(送付状)
- Employment Acquisition Statement(就労先確保の経緯に関する陳述書/採用経緯書)
- COE(在留資格認定証明書)が提出できない理由書(日本国内での転職・変更の場合)
- 健康保険証が提出できない理由書(フィリピン現地からの呼び寄せで、入国前のため未加入の場合)など
☆ 実務で使えるワンポイント 署名欄の一番下には、あらかじめ**「会社名」「役職」「代表者氏名(アルファベット等)」をPC(パソコン)入力で印字しておく**のがおすすめです。 署名漏れの予防になるだけでなく、英文レターであっても「誰がサインしたのか」がMWO側に明確に伝わり、審査をスムーズに進めることができます。
MWO申請(東京・大阪)は正確な書類準備と早めの対策が成功の鍵
MWOでの直接雇用の申請は、指定フォーマットの正確な記入はもちろん、英文表記の統一や英訳、雇用契約書の公証など、準備すべき書類や注意事項が多岐にわたります。
特にMWO東京とMWO大阪では、使用するフォーマットや求められる添付資料などの運用の細部が異なります。申請先の管轄(東京・大阪)に応じた最新の基準を正しく理解し、差し戻し(補正指示)によるタイムロスを防ぐことが非常に重要です。
直接雇用の手続きは、原則禁止の「免除(Exemption)」を受けるための申請となるため、提出書類一つひとつの整合性が厳しく審査されます。
MWO申請(東京・大阪)でお悩みなら、行政書士へご相談ください
MWO申請は郵送での提出が可能であり、事前の確認や協議も電話やメールで完結するため、当事務所では管轄(MWO東京・MWO大阪)を問わず、全国の受入れ企業様および行政書士(同業者)の先生方からのご相談・ご依頼に対応しております。
- 「自社(または顧客)で作成した英文書類や契約内容に不備がないか不安」
- 「事前確認からMWO(東京・大阪)への申請まで、手続きをスムーズに進めたい」
- 「登記簿の英訳や公証手続き、英文レターの作成のみスポットで任せたい」
当事務所では、実際のMWO申請を通じて認証を取得した実務経験をもとに、書類作成から申請サポートまで丁寧に対応しております。
フィリピン人の直接雇用手続きでお困りの企業様・ご担当者様はもちろん、「MWO申請のノウハウがなく対応に苦慮されている」「スポットで実務を依頼したい」とお考えの行政書士の先生方も、どうぞお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。

