前回のブログ記事で、「結婚ビザ」の取得時に日本人側の「戸籍謄本」が必要であることをお伝えしました。今回はそもそも「戸籍謄本」とは何なのか、どうやって取得すればよいのかを詳しく解説していきます。
戸籍謄本とは
戸籍謄本とは、個人の身分事項が記載された「戸籍簿」の写しです。戸籍簿には出生や結婚、死亡など個人の一生が記録されています。
また、戸籍簿は役所で保管されていて、本人などが役所へ申請すると戸籍謄本を発行してもらえます。住民票には住所と本籍地が記載されていますが、戸籍謄本には本籍地以外にも出生情報、婚姻に関する事項が書かれています。
ちなみに、「住民票の写し」も「結婚ビザ」の取得の際に提出しなければなりません。取得方法は以下のブログ記事で詳しく解説しています。

ところで、戸籍謄本というのは少し古い呼び方です。現在は多くの役所で戸籍が電子化されているので、一般的に「全部事項証明書」が発行されます。
ただし、「戸籍謄本」といったほうがわかりやすいので、今でも全部事項証明書を含めて「戸籍謄本」と呼ばれることがよくあります。入管のHPには、「結婚ビザ」(正式には「日本人の配偶者等の在留資格」)の提出書類として「戸籍謄本」(全部事項証明書)と記載されていますが、「戸籍謄本」も「全部事項証明書」も同じものです。
戸籍の電子化以前のものが戸籍謄本、電子化後のものが全部事項証明書と理解してください。本記事では電子化前・後関係なく、「戸籍謄本」の方を主に使用していきます。
また、「全部事項証明書」に対して、「一部事項証明書」があります。戸籍の電子化以前は「戸籍抄本」と呼ばれていました。「全部事項証明書」は、同じ戸籍内の全員の身分事項が記載されていますが、「一部事項証明書」には、同じ戸籍内の人のうち、特定の個人の身分事項のみが記載され、それ以外の人の情報は省かれています。
「結婚ビザ」で必要となるのは、「全部事項証明書」の方です。外国人の配偶者が、同じ戸籍に入っていることを証明するために必要だからです。
戸籍謄本の取り方
戸籍謄本の6つの取り方
- 市区町村役場の窓口で取る
- 郵送申請で取る
- コンビニのマルチコピー機で取る
- オンラインで取る
- パスポートセンターで取る
- 郵便局で取る
6つ挙げましたが、現在のところ1,2,3までが一般的な取得方法になります。オンラインはまだ取り入れていない市区町村役場も多く、パスポートセンターはそもそも数が少ないです。郵便局は戸籍謄本の発行を取り扱っている場所が少なく、取り扱っているかどうかを確認する必要があります。
1.市区町村役場の窓口で取る
窓口で取得するメリット、デメリット
2024年3月1日から、本籍地がある役場ではなく、最寄りの役場で戸籍謄本を取得することができるようになりました。これ以前は、本籍地が遠方にある場合、郵送またはコンビニで戸籍謄本を取得する必要がありました。郵送は時間がかかりますし、コンビニはマイナンバーカードか住民基本台帳カードが必要です。お持ちでない方は取得できません。
窓口申請の良いところは、分からないことがあってもすぐに職員さんに聞けることです。また、多くの場合、その日に発行されますし、申請手続きが完了してから、短時間で発行されることも多いです。ただし、役場の混雑状況やシステムの都合により、即日発行が難しい場合もあります。
不便な点としては、平日の昼間、役場の開庁時間に合わせて出向く必要があるということです。会社員などをされているとなかなか役場に行く時間が取れないのではないでしょうか。その場合は、家族などに役所に出向いて取ってきてもらうことも可能です。
自分では取りに行けない場合
誰かに代理で取得をお願いする時は、通常、委任状が必要ですが、原則として「同じ戸籍内に記載されている人」「配偶者」「直系尊属」「直系卑属」は委任状が要りません。
「同じ戸籍内に記載されている人」「配偶者」「直系尊属」「直系卑属」
直系尊属ー父母、祖父母など
直系卑属ー子、孫など
第十条戸籍に記載されている者(その戸籍から除かれた者(その者に係る全部の記載が市町村長の過誤によつてされたものであつて、当該記載が第二十四条第二項の規定によつて訂正された場合におけるその者を除く。)を含む。)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができる。
「内縁の妻」「婚姻などで戸籍を抜けた兄弟姉妹」「友人」「知人」など
これらの方にお願いする場合は委任状が必要です。
持ち物
- 本人確認書類
- 手数料代金(大体全国一律450円/1通)
- 印鑑(必要な場合)
- 委任状
- 代理人の本人確認書類
- 手数料代金(大体全国一律450円/1通)
- 印鑑(必要な場合)
※本人確認書類は、顔写真付きの運転免許証やマイナンバーカードの場合は1点、顔写真のない健康保険証や年金手帳の場合は2点以上の提示が求められることがあります。
※印鑑を求める役場は少なくなってきましたが、必要と言われる役場もありますので、行く前に電話やホームページで確認をして下さい。
※ホームページから委任状をダウンロードできる市区町村もあります。例として箕面市のリンクを貼っておきます。
委任状:住民票の写し・戸籍など交付申請用(PDF:29KB) – 箕面市
取得方法
役場に出向き、役場に備え付けの申請書を記入します。書き方が分からなければ、職員さんに聞くこともできます。戸籍担当窓口(「市民課」「住民課」など)に申請書を提出し、本人確認書類を提示します。できあがったら、会計をして「戸籍謄本」を受け取ります。
2.郵送申請で取る
郵送で申請して、郵送で受け取る方法です。通常1週間ほどかかります。
郵送で同封する物
- 申請書
- 本人確認書類のコピー
- 切手を貼り、返信先住所を記載した状態の返信用封筒
- 手数料相当額の郵便定額小為替
※「申請書」はお近くの役所窓口に備え付けのものでも、ホームページからダウンロードしたものでも構いません。
※「返信用封筒」に添付する切手は、複数枚まとめて申請するのでなければ、通常110円切手で大丈夫です。
※手数料は現金を入れるのではなく、「郵便定額小為替」を使用してください。「郵便定額小為替」は郵便局でのみ購入することができます。郵便為替法により、『郵便為替の業務は、この法律の定めるところにより、日本郵政公社が行う』と定められているからです。
コンビニや金券ショップでも取り扱っていませんので注意してください。詳しくはゆうちょ銀行のホームページをご覧ください。
3.コンビニのマルチコピー機で取る
取得のための条件
この方法で「戸籍謄本」を取得するには、次の条件が揃っている必要があります。
- 戸籍が電子化されていること
- 本籍地がコンビニ交付に対応していること
- 「マイナンバーカード」か「住民基本台帳カード」を持っていること
※コンビニ交付に対応しているかどうかの確認はこちらからすることができますが、「本籍地に住民登録をしていないと取れない」という市区町村もありますので、あらかじめ本籍地の市区町村役場に「コンビニでの取得はできますか?」と確認をした方が良いでしょう。
※マイナンバーカードの発行に伴って、住民基本台帳カードの新規の発行は、平成27年12月に終了しました。
持ち物
- 「マイナンバーカード」もしくは「住民基本台帳カード」
- 手数料代金(大体全国一律450円/1通)
※「通知カード」(自動的に自宅に送られてきた個人番号が書かれたカード)は使用できません。
※マイナンバーカードで戸籍謄本・抄本を取得する際には、「利用者証明用電子証明書の暗証番号4桁」が必要です。
取得方法
コンビニのマルチコピー機を使って、申請、取得、手数料の支払いを一度に済ませることができます。住所地や本籍地以外の全国どこのコンビニでも取得することができます。
4.オンラインで取る
本籍地の役場に、オンラインで「戸籍謄本」を請求することもできます。この場合「戸籍謄本」は郵送で届きます。自治体にもよりますが、大体1週間程度かかります。
オンライン請求に対応していない自治体もありますので、ホームページや電話で確認しましょう。
用意する物
以下は大抵の自治体で必要とされるものです。詳しくは、本籍地の自治体のホームページを見るか、電話でお問い合わせをして下さい。
- マイナンバーカード
- 署名用電子証明書の暗証番号(6~16桁の英数字(※4桁ではありません))
- スマートフォン又はパソコンとカードリーダー
- クレジットカード又はスマホ決済
5.パスポートセンターで取る
パスポートを取得する必要がある場合など、ついでに取得するのであればパスポートセンターでの取得もお勧めです。また、最寄りの市区町村役場よりもパスポートセンターの方が近いという場合にも便利でしょう。
ただし、役所の機能を備えていないパスポートセンターも多いので、必ず最寄のパスポートセンターに確認しましょう。
パスポートセンターにも「申請書」が備え付けられています。
持ち物
- 身分証明書
- 印鑑(念のため)
- 委任状(代理人の場合)
大阪府パスポートセンター
ちなみに、大阪府のパスポートセンターは1か所です。
所在地:大阪市中央区大手前3-1-43 大阪府庁新別館南館
電話 :06-6944-662
FAX :06-6944-6627
受付時間(申請と受取で受付時間が異なります)
申請:月曜日から金曜日 午前9時15分から午後4時30分
受取:月曜日から金曜日 午前9時15分から午後7時
日曜日 午前9時15分から午後5時
※土曜日、祝日、休日、年末年始(12月29日から1月3日)は休みです。
※日曜日は申請受付業務を行っておりません。受取のみ可能です。
(日曜日は祝日と重なる場合でも、受取は可能です。)
抜粋:大阪府HP
6.郵便局で取る
この方法を最後にしたのは、取得できる郵便局が少ないことと、取得方法として一般的ではないからです。一部の郵便局は自治体の事務を受託しています。まずは最寄りの郵便局で、戸籍謄本発行の事務を行っているかどうかの確認して下さい。発行事務を行っているということであれば、持ち物等を確認してから郵便局に行きましょう。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
「戸籍謄本(全部事項証明書)」を取得するには、今回ご紹介した6つの方法があります。
- 市区町村役場の窓口で取る
- 郵送申請で取る
- コンビニのマルチコピー機で取る
- オンラインで取る
- パスポートセンターで取る
- 郵便局で取る
最近では、本籍地以外の最寄りの役場で取得出来たり、コンビニやオンライン請求で取得できるなどかなり便利にはなってきました。ただ、本籍地の自治体がコンビニやオンラインに対応していなかったり、自治体によって微妙に持ち物が異なるなど、統一されていない部分があり、確認が必要な場合も多々あります。
行政書士であれば、あなたに代わって「戸籍謄本」を取得することもできます。行政書士長尾真由子事務所では、「結婚ビザ」申請の際に必要となる「戸籍謄本」の取得も行っておりますので、ぜひご利用ください。また、その他気になることがございましたら下記にお問い合わせ下さい。相談料は無料です。
対応可能地域
大阪府 箕面市、池田市、豊中市、茨木市、吹田市、大阪市
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