要件が公表されました
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について
平成20年3月に、出入国在留管理庁より、「技術・人文知識・国際業務の在留資格の明確化等について」において、「出入国管理及び難民認定法(入管法)」の別表第一の二の表の下欄」↓に該当する活動の内容について、申請者(外国人)が許可・不許可を申請前にある程度判断できるよう、より詳しい要件が公表されました。
本邦において行うことができる活動
技術・人文知識・国際業務
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項,芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで,企業内転勤の項及び興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)
3つの要件
「技術・人文知識・国際業務の在留資格の明確化等について」で述べられている要件は、大きく次の3つに分類され、まとめられています。
- 行おうとする活動が申請に関わる入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
- 法務省令で定める上陸許可基準に適合していること
- その他
1、2の要件については、前回のブログ記事で詳しく書きましたので、こちらをご覧ください。
「その他」の要件とは
その他の要件は、他の在留資格をもって日本に滞在する外国人が、「技術・人文知識・国際業務」にビザ(在留資格)を変更したい時に気を付けなければならない要件です。
2つの要件
外国人は、大きく分けて次の2つの要件を満たしている必要があります。
- 素行が不良でないこと
- 入管法に定める届出等の義務を履行していること
1、素行が不良でないこと
素行が善良であることが前提となり、良好でない場合には消極的な要素として評価されます。例えば、資格外活動許可の条件に違反して、恒常的に1週について28時間を超えてアルバイトに従事しているような場合には、素行が善良であるとはみなされません。
2、入管法に定める届出等の義務を履行していること
入管法第19条の7から第19条の13まで、第19条の15及び第19条の16に規定する在留カードの記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更新申請、紛失等による在留カードの再交付申請、在留カードの返納、所属機関等に関する届出などの義務を履行していることが必要です。
入管法に定める届出等の義務とは
入管法の19条には、どのような場合に、外国人は届出や申請が義務となるのかが明記されています。
- 在留カードの記載事項に係る届出
- 在留カードの有効期間更新申請
- 紛失等による在留カードの再交付申請
- 在留カードの返納
❶在留カードの記載事項に係る届出
外国から日本に来た時(入管法第19条の7)
入管法第19条の7には、住居地を定めた日から十四日以内に住居地の市区町村役場に在留カードを提出して、住居地を届けることが義務であると書かれています。
外国人が空港から日本に入国してきた場合、成田空港、羽田空港、中部空港、関西空港、新千歳空港、広島空港及び福岡空港の7カ所では在留カードが空港で渡されます。
日本に入国した外国人の方は、空港で渡された在留カードを持って、14以内に市町村役場に住所地を届け出てください。
日本国内で住所が変更になった時(入管法第19条の8、9)
在留資格の変更や、単なる引っ越しにおいても、住所が変更になった場合は、新住居地の市区町村役場に届け出をする必要があります。
在留カードの記載事項に変更があった時(入管法第19条の10)
在留カードに書かれている、以下の項目に変更があった場合にも届け出が必要です。
一 氏名、生年月日、性別及び国籍の属する国又は第2条第5号ロに規定する地域
二 住居地(本邦における主たる住居の所在地をいう。以下同じ。)
三 在留資格、在留期間及び在留期間の満了の日
四 許可の種類及び年月日
五 在留カードの番号、交付年月日及び有効期間の満了の日
六 就労制限の有無
七 第19条第2項の規定による許可を受けているときは、その旨
❷在留カードの有効期間更新申請
在留カードの期限が切れる時(入管法第19条の11)
在留カードの期限が切れそうな時は、届出ではなく、入管への申請(在留期間更新許可申請)が必要です。申請は有効期限の2カ月前から有効期限の日までに行います。6か月以上の在留期間のカードを持つ外国人は3カ月前から申請が可能です。
❸紛失等による在留カードの再交付申請
在留カードを失くした時(入管法第19条の12)
紛失、盗難、滅失その他の事由により在留カードを失くした時は、失くしたことが分かったときから14日以内に、入管に対して在留カードの再交付を申請しなければなりません。
在留カードが汚れてしまった時(入管法第19条の13)
在留カードが激しく汚れてしまった時には、入管に対して在留カードの再交付を求めることができます。逆に、あまりにも汚い在留カードや文字が読めいない在留カードを持っている場合には、入管の方から再交付を命じられる場合があります。
❹在留カードの返納
在留カードの効力が切れた時(入管法第19条の15、16)
在留カードは次のときに失効しますので、出入国在留管理庁長官に失効済みの在留カードを返納する必要があります。
ア 在留カードの交付を受けた中長期在留者が中長期在留者でなくなったとき
イ 在留カードの有効期間が満了したとき
ウ 中長期在留者が出国(再入国許可による出国を除く。)したとき
エ 中長期在留者が再入国許可による出国後、再入国許可の有効期間内に再入国しなかったとき
オ 新たな在留カードの交付を受けたとき
カ 死亡したとき
ウの場合は直ちに返納して下さい。カの場合は死亡した外交人の親族又は同居者の方が死亡の日から14日以内に返納します。それ以外は、失効した時から14日以内に返納してください
不許可事例
「素行が不良でないこと」の要件に合致しなかったため、不許可になった二つの事例をご紹介します。
大卒の事例
商学部を卒業した者から、貿易業務・海外業務を行っている企業との契約に基づき、海外取引業務に従事するとして申請があったが、申請人は「留学」の在留資格で在留中、1年以上継続して月200時間以上アルバイトとして稼働していたことが今次申請において明らかとなり、資格外活動許可の範囲を大きく超えて稼働していたことから、その在留状況が良好であるとは認められず、不許可となったもの。
専門学校卒の事例
専門学校における出席率が70%である者について、出席率の低さについて理由を求めたところ、病気による欠席であるとの説明がなされたが、学校の欠席期間に資格外活動に従事していたことが判明し、不許可となったもの。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
日本に在留する外国人が、「技術・人文知識・国際業務」のビザ(在留資格)への変更を申請した場合に、認定や更新申請で問われる要件以外にも、以上の要件が追加され、審査されます。
特に気を付けたいのは、留学生時のアルバイトの時間です。資格外活動許可で許容されている範囲を大きく超えてアルバイトをしていた場合、出入国在留管理局(入管)の審査官の心証はかなり悪くなります。
日本で就職を考えておられる留学生の方は特に、アルバイトをしすぎないように気を付けましょう。
対応可能地域
大阪府 箕面市、池田市、豊中市、茨木市、吹田市、大阪市
兵庫県 川西市、尼崎市、宝塚市、西宮市
いずれも公共交通機関が利用できる地域を想定していますが、地域についてはご相談に応じます。