「申請人に関する必要書類」とは
特定技能1号への「在留資格変更許可申請」書類は、「申請人に関する必要書類」、「所属機関(法人)に関する必要書類」、「分野別必要書類」の3種類に分類されています。
3分類の中の一つである「申請人に関する必要書類」には以下の16種類の書類が必要書類として挙げられています。こちらのリストは出入国在留管理局のサイトから入手できます。このリストが❶の「特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表」で、提出書類の表紙となるものです。
在留資格「特定技能」 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
申請人とは、特定技能の資格を持って就労しようとする外国人のことです。全ての申請人にとってm❶~❾は提出必須の書類です。ただし、❸❻❼に関しては、下記のブログ記事の「所属機関に関する必要書類」の中でお話した第2表の1に該当する「一定の実績があり適正な受入れが見込まれる機関」に就職しようとする場合は省略が可能です。
下記が日本にいる外国人(申請人)に関する必要書類となります。今回は下記の内、①~⑧までの書類について説明していきます。
- 特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表(在留資格変更許可申請用)
- 在留資格変更許可申請書【別記第30号様式】
- 特定技能外国人の報酬に関する説明書【参考様式第1-4号】
- 特定技能雇用契約書の写し【参考様式第1-5号】
- 以下の2点
- 雇用条件書の写し【参考様式第1-6号】
- 賃金の支払【参考様式第1-6号別紙】
- 雇用の経緯に係る説明書【参考様式第1-16号】
- 徴収費用の説明書【参考様式第1-9号】
- 以下の2点
- 健康診断個人票【参考様式第1-3号】
- 受診者の申告書【参考様式第1-3号別紙】
- 以下の3点
- 申請人の個人住民税の課税証明書
- 申請人の住民税の納税証明書
- 申請人の給与所得の源泉徴収票の写し
- 申請時点で申請人が国民健康保険の被保険者である場合
- 申請人の国民健康保険被保険者証の写し
- 申請人の国民健康保険料(税)納付証明書
- 申請時点で申請人が国民年金の被保険者である場合にのみ次の①又は②のいずれか
- 申請人の国民年金保険料領収証書の写し
- 申請人の被保険者記録照会(納付Ⅱ)(被保険者記録照会回答票を含む)
- 前回申請時に履行すべきであった公的義務に係る書類
- 公的義務履行に関する誓約書【参考様式第1-26号】
- 1号特定技能外国人支援計画書【参考様式第1-17号】
- 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書【参考様式第1-25号】
- 二国間取決において定められた遵守すべき手続に係る書類
「申請人に関する必要書類」に関する概要と注意点
ここからは、それぞれの書類で気を付けるべき点をお伝えしていきます。
【参考様式】のある書類は全て下記の出入国在留管理局のサイトから取得することができます。
在留資格「特定技能」 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
❶特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表(在留資格変更許可申請用)【別記第30号様式】
最初にお伝えした通り、全ての提出書類の表紙となる書類です。こちらに提出書類一覧表がついていますので、一覧表を確認しながら、書類を揃えていきます。
左の書類が「表紙」です。申請人の名前と特定技能所属機関(受入れ機関)の名前を記入します。
申請人の名前はスペルミスがないよう良く確認し、こちらをメモなどにコピーして他の書類に使用すると良いでしょう。他の書類と名前の順番などが異ならないようにするためです。
真ん中と右の書類は「申請人に関する必要書類」の一覧です。提出する書類には有に〇をつけます。必要とされているのに、事情があって提出できない場合には無に〇を付して理由書を作成し、「理由書あり」と選択欄の右の欄に記入します。
❷在留資格変更許可申請書
提出が必要な書類は全部で7枚です。この書類は作成に時間のかかる書類の一つです。
上記の3枚は「申請人作成用」で、申請人の情報を記入する書類になります。申請人の在留カード、パスポートの情報、合格した試験又は技能実習の経験、就労の履歴などを書きこんでいきます。
「申請人作成用1」は右上に、申請人(外国人)の写真の添付が必要です。オンライン申請の場合は、データでの提出となります。写真は何でも良いわけではありませんので、下記サイトの注意点を良く読んで、証明写真機などできちんとした写真を撮ってきてもらってください。
「申請人作成用3」の代理人の欄には、受入れ機関の情報を記入します。「在留資格変更申請」の場合は本人が日本に在留中のため、代理人は必要ありませんので空白でもかまいません。
また、申請を本人ではなく、取次者に申請をお願いする場合には、最後の取次者欄にその方の情報を入れてください。
- 地方出入国在留管理局長から申請等取次者としての承認を受けている次の者で、申請人から依頼を受けたもの
- 申請人が経営している機関又は雇用されている機関の職員
- 申請人が研修又は教育を受けている機関の職員
- 外国人が行う技能、技術又は知識を修得する活動の監理を行う団体
- 外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員
- 地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士又は行政書士で、申請人から依頼を受けたもの
以下の4枚は、「所属機関作成用」で、所属機関(受入れ機関)の情報を記入していきます。職業紹介事業者や登録支援機関を利用した場合は、それらの機関の情報も記入します。
❸特定技能外国人の報酬に関する説明書【参考様式第1-4号】
申請人である外国人の賃金や待遇が、同程度の技術、経験を持つ日本人と比べて同等以上であることをアピールする書類です。
- 第2表の1に該当する「一定の実績があり適正な受入れが見込まれる機関」については提出を省略できます。
- 賃金規定に基づき報酬を決定した場合には賃金規定を添付する必要があります。
- ⑤の雇用条件書と齟齬が生じないように記載してください。
- 2か3のどちらかを記載してください。
❹雇用契約書【参考様式第1-5号】の写し
優先的に作成すべき書類の一つです。受入れ機関(所属機関)の代表者の捺印と申請者特定技能外国人の直筆の署名が必要です。言うまでもないことですが、両者の合意を得て契約をしなければなりません。
その為、下記の参考資料を見ていただければ分かる通り、日本語の下に外国語が付されていますね(下記はベトナム語の書類を使用しています)。つまり、雇用契約書は雇用した特定技能外国人が理解できる言語での翻訳も付す必要があるということです。
また、参考様式には書かれていませんが、トラブルを避けるためにも、雇用契約書に下記の文言を追加して下さい。この文言が無いと、変更許可申請(ビザ申請)が不許可になっても雇用契約の効力は続きます。
「停止条件:本契約は日本政府により入国(在留)許可されない場合は発効しないものとする。」
こちらの文言も必ず翻訳してもらって下さい。
提出時は、「写し」でかまいません。原本(捺印やサインが本物)の提出を嫌がる地方出入国在留管理署もありますので、「写し」が無難でしょう。
また、こちらは受入れ機関と外国人双方が、大切に保管しておくべき書類ですので、原本は2部作成して下さい。つまり、捺印とサインをもらった書類は2部作成する必要があるということです。外国人の人数が増えれば、外国人それぞれに2部ずつ必要になります。
❺雇用条件書の写し【参考様式第1-6号】|賃金の支払【参考様式第1-6号別紙】
こちらは2種類の書類で構成されています。「賃金の支払」は雇用条件書の中の「賃金」の部分をより詳細に説明するための書類となります。優先的に作成すべき書類の一つです。
- 雇用契約書と同様、外国人が理解できる言語への翻訳が必要です。
- 受入れ機関の代表者の捺印と、外国人のサインも必要です。捺印は1ページ目で、サインは雇用条件書の最後ですので見逃さないようにして下さい。
- 「就業規則の解雇の規定欄」に下記の文言を追加して下さい。
外国人労働者本人の過失その他の理由により、在留資格の変更・更新が不許可になり当社で就労できなくなった場合 - 雇用契約書と同様に、提出時は「写し」が無難でしょう。
- 受入れ機関と外国人双方が、大切に保管しておくべき書類ですので、原本は一人の外国人につき2部作成して下さい。
- 作成に当たっては、社労士と相談するなどして、労働法に抵触しないようにして下さい。
❻雇用の経緯に係る説明書【参考様式第1-16号】
この書類は、特定技能1号外国人を雇用するに当たって利用した、国内の職業紹介事業者や国外の送出し機関につていの情報を記入するものです。
- 雇用契約の成立をあっせんする者がある場合には、職業紹介事業者に関する「人材サービス総合サイト」(厚生労働省職業安定局ホームページ)の画面を印刷したものを添付して下さい。
- 雇用契約の成立をあっせんする者がない場合でも提出は必要です。
- 第2表の1に該当する「一定の実績があり適正な受入れが見込まれる機関」については提出を省略することができます。
- 作成年月日は「1号特定技能外国人支援計画書」の中の事前ガイダンスの実施予定日もしくはそれ以降の日付を記載して下さい。3の項目が「事前ガイダンスを実施完了です」という意味ですので、この書類の作成日が事前ガイダンスの実施日前の日付では矛盾が生じてしまうからです。
- 雇用予定の外国人が理解できる言語での記載と外国人のサインが必要です。
❼徴収費用の説明書【参考様式第1-9号】
雇用予定の外国人から徴収する予定の費用を書き込んでいく書類です。
- 第2表の1に該当する「一定の実績があり適正な受入れが見込まれる機関」については提出を省略することができます。
- 申請人から家賃を徴収する場合には、関係資料(賃貸契約書や図面など)の提出が必要です。
- ⑤の「賃金の支払い」と内容が一致するように記入してください。
❽健康診断個人票【参考様式第1-3号】|受診者の申告書【参考様式第1-3号別紙】
特定技能1号外国人は時給制であってもフルタイムの勤務でなければなりません。また、外国人であっても、日本で働くに当たっては日本の労働法が適用されます。
労働安全衛生規則 第四十三条には以下の規定がありますので、雇用予定の外国人も雇用前に健康診断を受けておく必要があります。
「事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一 既往歴及び業務歴の調査
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(千ヘルツ及び四千ヘルツの音に係る聴力をいう。次条第一項第三号において同じ。)の検査
四 胸部エックス線検査
五 血圧の測定
六 血色素量及び赤血球数の検査(次条第一項第六号において「貧血検査」という。)
七 血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ―グルタミルトランスペプチダーゼ(γ―GTP)の検査(次条第一項第七号において「肝機能検査」という。)
八 低比重リポ蛋たん白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋たん白コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量の検査(次条第一項第八号において「血中脂質検査」という。)
九 血糖検査
十 尿中の糖及び蛋たん白の有無の検査(次条第一項第十号において「尿検査」という。)
十一 心電図検査」
労働安全衛生規則 第四十三条(e-Govポータル)(抜粋 2024-10-17)
- 病院発行の様式でもかまいませんが、受診項目は参考様式に記載のものが含まれていることが必要です。
- 健康診断票は1年以内に受診したものを提出してください。無い場合は新たな受診が必要です。
- 出入国在留管局のサイトに用意がある健康診断票の参考様式(下記)に書かれている項目は全て受診してください。
- 「医師の診断」「備考」について、外国語で記載されている場合、その箇所について訳文(日本語)を添付してください。
- 「医師の診断」に異常がある場合などには、稼働することに問題がない旨の医師の意見が述べられている文書(医師や病院等により作成されていることが分かるものに限ります。)も併せて提出します。
- 「受信者の申告書」は、健康診断の際に必要な事項について申告したことについての書類ですので、健康診断の後に記載するものです。作成年月日は「検診年月日」以降の日付にして下さい。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回は、以下の書類についての概要と注意点をお伝えしました。
書類一覧
- 特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表
- 在留資格変更許可申請書
- 特定技能外国人の報酬に関する説明書【参考様式第1-4号】
- 特定技能雇用契約書の写し【参考様式第1-5号】→原本は2部必要
- 以下の2点→原本は2部必要
- 雇用条件書の写し【参考様式第1-6号】
- 賃金の支払【参考様式第1-6号別紙】
- 雇用の経緯に係る説明書【参考様式第1-16号】
- 徴収費用の説明書【参考様式第1-9号】
- 以下の2点
- 健康診断個人票【参考様式第1-3号】
- 受診者の申告書【参考様式第1-3号別紙】
受入れ機関の捺印が必要な書類
❹特定技能雇用契約書
❺雇用条件書|賃金の支払
外国人のサインが必要な書類(外国語併記が必要な書類)
❹特定技能雇用契約書
❺雇用条件書|賃金の支払
❻雇用の経緯に係る説明書
❽受診者の申告書
※❽健康診断個人票も外国語併記が必要ですが、本人サインは必要ありません。
※本記事での外国語添付の参考様式は、全てベトナム語のものになります。
次回は、❾から⓰の書類について概要と注意点をお話ししたいと思います。