日本にいる外国人とは?
日本にいる外国人と聞いて、旅行に来ている外国人、いわゆるインバウンドの方々を思い浮かべる方も多いかもしれません。インバウンドの外国人の方々は観光目的ですので、就労目的で来日している外国人と違い、短期間の滞在のみが許されています。(最長90日)
では、中長期的に日本に滞在して働くにはどうすれば良いのでしょうか?
外国国籍の方が、日本で職を得て働くには、就労系の「在留資格」もしくは身分系の「在留資格」が必要です。
就労系の在留資格には、「技術・人文知識・国際」や「経営管理」、「技能実習」など多岐に渡りますが、その中の在留資格の一つが「特定技能」です。特定技能には1号と2号があり、現在2号の適用はほとんどありませんので、特定技能1号に絞ってお伝えしていきます。
- 経営・管理ー外国人が日本で起業するための在留資格
- 技術・人文知識・国際業務ー大卒の外国人がホワイトカラーの仕事に就くための在留資格
- 企業内転勤ーグローバル企業内での転勤で来日して働くための在留資格
- 特定技能ー日本の人手不足分野で就労するための在留資格
- 技能実習ー日本の企業で働きながら学び、本国に技術を持ち帰るための在留資格
詳しくは、以下の出入国在留管理庁のサイトをご覧ください。
また、身分系と呼ばれる「在留資格」には、留学、家族滞在、日本人配偶者、定住者などがあります。これらの在留資格で滞在する外国人の方々が日本で働こうとした時、新たに「就労系の在留資格」を取得する必要はありません。
ただし、「留学」と「家族滞在」の在留資格では週28時間(長期休み期間中は周40時間)以内の就労のみが認められています。(「資格外活動許可」を得る必要があります。)つまり、これらの在留資格を有する外国人はフルタイムで働くことはできません。
- 留学ー日本の学校で学ぶための在留資資格
- 家族滞在ー在留資格を有する外国人が、配偶者や子供を日本に呼び寄せるための在留資格
- 永住者ー永住の許可を受けた外国人のための在留資格
- 日本人の配偶者等ー日本人の配偶者、子、特別養子のための在留資格
詳しくは、以下の出入国在留管理庁のサイトをご覧ください。
ですので、ここでいう日本にいる外国人とは、他の「就労系の在留資格」や「留学」の在留資格を有する方達になります。その中でも「特定技能1号」へ移行を希望する外国人が所持している在留資格は、「技能実習」と「留学」が多くを占めます。
日本にいる外国人が「特定技能1号」の在留資格を得るには?
日本に在留する外国人が特定技能1号の在留資格を得るには、当該外国人が現在保有する在留資格を「特定技能1号」に変更する「在留資格変更許可申請」を行う必要があります。
現在保有する在留資格と書きましたが、「短期滞在」の在留資格からの変更は、以下の出入国管理及び難民認定法の20条の三により、基本的に認められていません。
前項の申請があつた場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。ただし、短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。
前項の申請とは、在留資格変更申請のことです。やむを得ない事情というのは、個別に判断されます。また、就労系の在留資格への変更は認められていませんので、「短期滞在」→「特定技能1号へ」への移行はできません。どうしても短期滞在で来日した外国人を雇用したい場合は、一度本国に帰国してもらってから、「在留資格認定証明書交付申請」を行った方が良いでしょう。
「在留資格変更許可申請」は、基本的に外国人の方が申請人となり、地方出入国在留管理局に申請をします。ただ、「特定技能1号」への変更申請は、「申請人に関する必要書類」、「分野別必要書類」、「所属機関(法人)に関する必要書類」の3種類の書類を作成収集する必要があり、各項目で複数の書類を用意しなければならない、かなり難易度の高い申請です。
ですので、申請人は通常、受入れ機関や登録支援機関、行政書士などのサポートを得て、これらの書類を用意し申請します。また、申請自体も代理申請や取次申請を利用されることが多い申請です。
「在留資格変更許可」申請手続きと流れ
日本で何らかの在留資格(中長期)から「特定技能1号」への在留資格に変更する場合の大まかな流れを説明します。
まずは、受入れ機関と外国人双方が、特定技能1号の基準に合致しているのかを確認して下さい。そもそも、双方が基準をクリアしていなければ、申請をしたとしても許可を得ることはできません。後で慌てないよう、先に基準を良く確認しましょう。
受入れ機関においては、そもそも特定技能の指定分野の産業を行っているか否か、法令を遵守しているか、外国人を受け入れる体制が整っているかなど、多くの基準をクリアする必要があります。また、分野別の上乗せ基準(その産業分野特有の基準)もありますので、必ずチェックするようにしましょう。
以下の記事にまとめましたので、詳しくはこちらをご覧ください。
外国人本人においては、各種試験の合格(基本的には技能試験と日本語試験)もしくは技能実習2号を良好に修了していることが求められます。つまり特定技能制度では、一定の技術と日本語能力を持って即戦力として働くことのできる外国人を求めています。以下で、分野ごとに求められる試験についての記事を書きましたので、詳しくはこちらをご覧ください。
また、特定技能の在留資格への変更を希望している外国人の現在の在留資格の期限も必ず確認して、期限までに特定技能1号へ変更できるようにスケジュールを組んで下さい。
ただし、在留期限には猶予期間が設けられていて、これを特例期間と呼びます。もし申請した「在留資格変更許可申請」の処分が在留期限までに下りなかったときは、処分が出るまで、または在留期限から2カ月たった日のどちらか先に到来した日までは、現在の在留資格で滞在できるというものです。
さて、ここまで確認が終ったら、次はいよいよ受入れ機関と外国人の間で雇用契約を結びます。雇用契約書や雇用条件書は出入国在留管理局のサイトからひな形をダウンロードすることができます。特定技能1号の「在留資格変更許可申請」の際には、これらの書類に、雇用する外国人が理解できる国の言葉が併記された書類を用意する必要があります。出入国在留管理局のサイトのひな形には、10か国語分のこれらの書類が用意されていますので、最初からダウンロードして使用した方がスムーズです。
下記サイトの「英語及び9か国語による様式につい」のボタンをクリックすると、国別のひな形を取得することができます。
さて、ここからは本格的に書類の作成に入っていきます。STEP2では、雇用契約書と雇用条件書を作成しました。これら2つの書類には、受入れ機関の印鑑と外国人のサインが必要です。また、「雇用の経緯に係る説明書」と「支援計画書」には外国語併記と外国人のサインが必要です。
書類作成と同時に、書類の収集を行います。収集するべき書類は、申請人の試験の合格証書や、納税証明書、法人の登記簿謄本や各種保険の納付証明書、各種税金の納税証明書などがあります。
詳しい必要書類については、また別の記事にしたいと思います。
さて、苦労して作成した書類を揃えて、いよいよ申請に移ります。外国人の住居地を管轄する地方出入国在留管理署に申請します。また、以下にあてはまる方なら申請書提出のために地方出入国在留管理署に赴いて、申請書類を提出することができます。申請書に大きな不備がなければ書類が受理され、「申請受付票」が発行されます。この申請受付票は在留カード受取の際に必要ですので、大切に保管をしておいて下さい。
- 申請人本人(日本での滞在を希望している外国人本人)
- 代理人
申請人本人の法定代理人 - 取次者
(1)地方出入国在留管理局長から申請等取次者としての承認を受けている次の者で、申請人から依頼を受けたもの
- 申請人が経営している機関又は雇用されている機関の職員
- 申請人が研修又は教育を受けている機関の職員
- 外国人が行う技能、技術又は知識を修得する活動の監理を行う団体
- 外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員
(2)地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士又は行政書士で、申請人から依頼を受けたもの
また、登録は必要ですが、オンラインで申請をすることもできます。
こちらの申請は「在留資格認定証明書交付申請」とは異なり、手数料4,000円が必要です。
必ずしも許可されるとは限りません。不許可の場合は、不許可理由を審査官に聞くこともできます。その後、再申請をするかどうかを決めて下さい。
許可されれば、【許可通知はがき】が届きますので、申請人である外国人が管轄の地方出入国在留管理署に受け取りに行きます。行政書士が代理で受け取りに行くこともできます。
はがきにも書かれていますが、この時に4,000円分の収入印紙を購入して手数料を支払います。
在留カードの受け取りに【必要なもの】も全てはがきに書かれています。(許可通知はがき、現在の在留カード、パスポート、手数料納付書と4,000円分の収入印紙)
これで晴れて、雇用契約を結んだ外国人に、受入れ機関の指定の事業所で働いてもらうことができます。新しい在留資格を取得する前に、こっそりと外国人を働かせる受入れ機関もあるそうですが、ばれると不法就労助長罪に問われます。
不法就労助長罪で有罪になると、人に対しては「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」、法人に対しては「300万円以下の罰金」が科されます。 不法就労助長罪で罰金以上の罰になると、5年間、技能実習や特定技能の外国人を雇うことができません。
かなり重い罰則になりますので、外国人には在留資格の無い労働、在留資格期間外の労働は絶対にさせないようにして下さい。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
日本にいる外国人が「特定技能1号の在留資格」を得るための方法と手続きの流れを見てみました。
ただし、外国人の国籍によっては、これ以外の手続きも合わせて行う必要があります。
国別にまとめた記事を書いていますので、こちらも参考にして下さい。
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