「公印確認」と「アポスティーユ」申請の流れ~私文書でも認証してもらうには~

目次

公印確認・アポスティーユとは

公印確認とアポスティーユは、どちらも日本の官公署や自治体が発行する公文書に押印された公印の印影を認証するものです。これは、公文書の作成の真正性(権限のある公務員ないし公的機関が発行した文書)であり、その文書の内容の真正性を担保するものではありません。公印確認とアポスティーユのどちらを選択すべきかは、書類の提出先国がハーグ条約に加入しているかどうかによります。

基本的に、書類の提出国がハーグ条約に加入している場合は、アポスティーユを選択しますが、例外もあります。アポスティーユが利用できる場合には、公印確認で求められる「領事認証」を取得する必要がありません。

ただ、外国に提出する公文書全てにこれらの認証が必要となるわけではありません。外国の提出機関あるいは駐日大使館・(総)領事館が求めている場合のみ申請をします。

以下は、そもそも証明が必要なのかどうか、必要であればどちらの書類を提出すべきなのかを、チャートで分かりやすく選択することができますので、申請前に、まずはこちらを確認しましょう。

申請手続きガイド 4 申請前のチェックシート|外務省(出典:外務省ホームページ)

また、前回のブログ記事で、「公印確認」と「アポスティーユ」の違いについて解説していますので、こちらも合わせてお読みいただければと思います。

公印確認・アポスティーユ申請の流れ

それでは、具体的な申請の手続きの流れを見ていきたいと思います。

まずは下の外務省のチャートをご覧ください。申請方法が、「公文書」の場合と「私文書」の場合に分かれていますね。

「公文書」と「私文書」の違いを簡単に言うと、「公文書」は公的な機関によって作成された書類、「私文書」は個人や企業によって作成された書類になります。詳しくは前回のブログ記事で説明していますので、ご興味のある方はご覧ください。

公印確認とアポスティーユは、公文書の証明を行うものです。では「私文書」に認証は貰えないのでしょうか。結論から言うと、私文書でも認証を得ることは可能です。私文書は公証人から認証を得ることにより、公文書となり、公印確認やアポスティーユの申請が可能となります。

「公文書」の公印確認・アポスティーユ申請の手順

STEP
公的機関で書類を発行してもらう

まずは、提出先に求められた書類を、公的機関(官公署、教育機関、病院等)から発行してもらいましょう。また、提出先の国がアポスティーユ加入国の場合は、「アポスティーユ」と「公印確認」のどちらの証明を受ければ良いのか、そもそもそのよう証明が必要なのかも確認して下さい。

提出先が求めていないのであれば、証明は必要ありません。また、提出先の国がアポスティーユ加入国であっても、「領事認証」の必要な「公印確認」が求められる場合もありますので、提出先の機関に良く確認しておいて下さい。

STEP
外務省に「公印確認」又は「アポスティーユ」の申請を行う

申請は郵送、若しくは外務省の窓口にて行います。ワンストップサービスが使える公証役場(北海道(札幌法務局管区内)、宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府および福岡県の公証役場)で申請を行うこともできます。ただし、外国から直接に郵送申請をすることはできません。

STEP
「公印確認」の場合は、駐日各国大使館・領事館で「領事認証」を取得する

「領事認証」を取得するには、日本にある外国の大使館・領事館に申請しなければなりません。「アポスティーユ」が使用できないと、このステップの分だけ面倒な手順が増えます。

※アポスティーユを取得した場合は必要ありません。

STEP
提出先に証明された書類を提出する

公文書の作成の真正性が証明された書類が取得できましたら、晴れて提出先に書類を提出することができます。

「私文書」の公印確認・アポスティーユ申請の手順

STEP
私文書を用意する

私文書とは、公文書以外の書類のことです。ここで注意したいのは、公文書を翻訳した書類も「私文書」になりますので、「私文書の公印確認・アポスティーユ申請の手続き」が必要になるということです。

STEP
公証役場で「公証人認証書」を取得する

まずは、公証役場に行って「公証人認証」を申請します。ワンストップサービス(後述)が使える公証役場であれば、「公印確認」または「アポスティーユ」までこちらの公証役場で一括で行うことができます。また、都道府県により、「公証人認証」と「公証人押印証明」を同じ公証役場で取得できるところもあります(後述)。

STEP
公証人所属法務局にて「公証人押印証明」を取得する

ワンストップサービスが使えない公証役場で「公証人認証書」を取得した場合は、認証を得た公証人の所属法務局に出向き、法務局長から「公証人押印証明」を取得する必要があります。備え付けの申請書により申請します。この時に、公証役場で認証を受けた書類のホチキスを外さないようにして下さい。また、書類への加筆などもしないで下さい。

STEP
外務省に「公印確認」又は「アポスティーユ」の申請を行う

私文書を公文書にする手続きが終了しましたので、やっと外務省に「公印確認」もしくは「アポスティーユ」の申請をすることができます。

STEP
「公印確認」の場合は、駐日各国大使館・領事館で「領事認証」を取得する

「公印確認」が必要な書類の場合は、日本にある、提出先国の大使館・領事館で「領事認証」を申請します(※アポスティーユの場合は必要ありません)。

申請方法は国によりことなりますので、提出先国の大使館、領事館にお尋ねください。

外務省のホームページに、駐日外国公館リストがありますので、下記から連絡先を検索することができます。

駐日外国公館リスト 目次|外務省(出典:外務省ホームページ)

STEP
提出先に証明された書類を提出する

公文書となった私文書の作成の真正性が証明されたら、晴れて書類を提出先に機関に提出することができます。

公印確認・アポスティーユ申請の注意点

本当に外務省の公印が必要ですか?

提出先機関の意向で日本外務省の公印確認証明ではなく、現地にある日本大使館や総領事館の証明が求められている場合があります。外務省で公印確認証明を受けた書類は、現地日本大使館や総領事館で重ねて証明することはできませんので、注意してください。また、現地日本大使館や総領事館で証明を受けた書類に対して外務省で公印確認・アポスティーユの証明を行うこともできません。

ワンストップサービスとは

北海道(札幌法務局管区内)、宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府および福岡県の公証役場では、申請者からの要請があれば、公証人の認証、法務局の公証人押印証明及び外務省の公印確認またはアポスティーユを一度に取得できます。このサービスを利用すると法務局や外務省に出向くかなくても良くなります。ただし、公印確認の場合は、駐日大使館・(総)領事館の領事認証を必ず取得する必要がありますので、ご注意ください。

また、埼玉、茨城、栃木、群馬、千葉、長野及び新潟の7県の公証役場では、公証人の認証と法務局長による公証人押印証明を一度に取得できます。その後は外務省で公印確認またはアポスティーユの手続きを行ってください。

公証役場で「公証人の認証」、「法務局の公証人押印証明」及び
外務省の「公印確認」または「アポスティーユ」
を一度に取得できる都道府県
  • 北海道(札幌法務局管区内)
  • 宮城県
  • 東京都
  • 神奈川県
  • 静岡県
  • 愛知県
  • 大阪府
  • 福岡県
公証役場で「公証人の認証」と「法務局長による公証人押印証明」
を一度に取得できる都道府県
  • 埼玉
  • 茨城
  • 栃木
  • 群馬
  • 千葉
  • 長野
  • 新潟

代理人の申請

代理人による申請も受け付けられています。ご家族などの代理人の申請には、申請書・委任状に委任者の直筆のサインが必要ですが、士業や代理店が申請する場合にはサインは必要ありません。またいずれの代理人の場合も、委任者の個人印の押印は不要です。申請書・委任状は以下から入手することができます。

申請書・委任状のダウンロード|外務省

ホチキスを外していませんか?

公証役場で付されたホチキスを外すと、公証人認証が無効になってしまいます。加筆も絶対にしないで下さい。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。今回の記事では、公認確認とアポスティーユの申請の前後も含めた、申請の流れをお伝えしてきました。

公文書での申請の場合

  1. 公的機関にて書類発行
  2. 外務省にて「公印確認」又は「アポスティーユ」の取得
  3. 「公印確認」の場合→駐日各国大使館・領事館で「領事認証」を取得
  4. 提出先に証明された書類を提出

私文書での申請の場合

  1. 私文書を用意
  2. 公証役場で「公証人認証書」を取得
  3. 公証人所属法務局にて「公証人押印証明」を取得
  4. 外務省にて「公印確認」又は「アポスティーユ」の取得
  5. 「公印確認」の場合→駐日各国大使館・領事館で「領事認証」を取得
  6. 提出先に証明された書類を提出

※ワンストップサービスを利用すると、2~4までの手続きを同じ公証役場で行うことができます。

行政書士長尾真由子事務所では、「公文書」、「私文書」に関わらず、「文書取得」~「領事認証」までを代理で行っています。

お申し込みは下記の「お問い合わせ」からお願い致します。料金はご契約を頂いてから発生致しますので、それまでの相談料は無料です。

また、質問なども随時受け付けておりますので、メールにてお問い合わせ下さい。

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この記事を書いた人

大阪府箕面市の行政書士です。
・趣味:美術鑑賞、散歩
・スポーツ:卓球、テニス
・座右の銘:失敗は成功のもと
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