はじめに
前回のブログ記事では、特定技能1号の最長の在留期間は5年となっていますが、一度在留資格が許可されたからといって、5年間の在留期間が保証されているわけではないということをお伝えしました。
つまり、外国人が「特定技能1号」の在留資格をもって、引き続き日本で働き続けるには、在留資格の更新が必要だということです。この申請を「在留期間更新許可申請」と言います。
今回のブログ記事では、「在留期間更新許可申請」でどのような書類が必要になるのかを見ていきたいと思います。
この記事のタイトルでビザと呼んでいるものは、「在留資格」のことになります。「査証」ではありません。2つのビザの違いについては、下記のブログ記事をご覧ください。
特定技能1号の「在留期間更新許可申請」書類
特定技能1号の「在留期間更新許可申請」書類は、「申請人に関する必要書類」、「所属機関(法人)に関する必要書類」、「分野別必要書類」の3種類に分類されています。
申請人に関する必要書類
- 特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表
- 在留期間更新許可申請書
- 特定技能外国人の報酬に関する説明書
- 特定技能雇用契約書の写し
- 以下の2点
- 雇用条件書の写し
- 賃金の支払
- 以下の3点
- 申請人の個人住民税の課税証明書
- 申請人の住民税の納税証明書
- 申請人の給与所得の源泉徴収票の写し
- 申請時点で申請人が国民健康保険の被保険者である場合
- 申請人の国民健康保険被保険者証の写し
- 申請人の国民健康保険料(税)納付証明書
- 申請時点で申請人が国民年金の被保険者である場合
- 申請人の国民年金保険料領収証書の写し
- 申請人の被保険者記録照会(納付Ⅱ)(被保険者記録照会回答票を含む。)
- 前回申請時に履行すべきであった公的義務に係る書類(前回申請時、❿を提出し、納税義務の履行等を誓約した場合に提出が必要)
- 公的義務履行に関する誓約書(※注❻~❽までのいずれかに滞納がある場合にのみ提出が必要)
※上記❶~❺は全ての申請人にとって提出必須の書類です。
ただし、第2表の1に該当する「一定の実績があり適正な受入れが見込まれる機関」については❸の書類の提出を省略できます。←「所属機関(法人)に関する必要書類」で説明します。
以下が、「特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表」になります。ここに「申請人に関する必要書類」が記載されています。在留資格「特定技能」 | 出入国在留管理庁からダウンロードすることができます。
所属機関(法人)に関する必要書類
所属機関とは受入れ機関のことです。
提出書類の内容は、所属機関の条件によって変わります。所属機関の条件によって、提出書類の内容は「第2表の1」、「第2表の2」、「第2表の3」に分かれています。最も多い所属機関の条件は「第2表の2」の法人です。少数にはなりますが、「第2表の1」の対象の所属機関であれば、多くの所属機関に関する書類を省略することができます。
- 日本の証券取引所に上場している企業
- 保険業を営む相互会社
- 高度専門職省令第1条第1項各号の票の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)↓から確認できます。
- 一定の条件を満たす企業等 条件は↓から確認できます
- 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
- 電子届出システムの利用者登録をしている
※以上のいずれかに該当する受入れ機関であって、過去3年間に指導勧告書の交付を受けていない機関である必要があります。
下記の表が「第2表の1」になります。出入国在留管理局のサイトに用意されていますので、以下のリンクから取得してください。
在留資格「特定技能」 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
「第2表の1」の対象ではない法人
- 特定技能所属機関概要書(※1)
- 登記事項証明書(※1)
- 業務執行に関与する役員の住民票の写し(※1)
- 特定技能所属機関の役員に関する誓約書(※1)
- 次のAからBまでのいずれかの場合に応じた書類(※2)
- A)労働保険事務組合に事務委託していない場合ー労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写し及び申告書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し
- B)労働保険事務組合に事務委託している場合ー労働保険事務組合が発行した直近2年分の労働保険料等納入通知書の写し及び通知書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し
- 社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し(※2)
- 税務署発行の納税証明書(その3)(※2)
- 法人住民税の市町村発行の納税証明書(直近2年度分)(※2)
- 公的義務履行に関する説明書
※1 受け入れている任意の外国人に係る過去3年以内の在留諸申請において提出済み(現在もその内容に変更がなく、有効期限があるものは期限内の場合に限る。)の場合は提出を省略できできます。ただし、次の全ての条件に該当する場合に限られます。
①申請日までの過去2年にわたって継続して(特定の外国人に限らない。)特定技能外国人の受入れを行っていること
②申請日の前日から起算して1年以内に特定技能外国人の行方不明(受入れ機関の帰責性の有無を問わない。)を発生させていないこと
③申請日の前日から起算して1年以内に地方出入国在留管理局から指導勧告書の交付を受けていないこと
④申請日の前日から起算して3年以内に出入国管理及び難民認定法第19条の21第1項により改善命令を受けていないこと
⑤申請日の前日から起算して1年以内に特定技能に係る定期又は随時の届出(出入国管理及び難民認定法第19条の18に定めるもの。)を怠ったことがないこと
※2 受け入れている任意の外国人に係る過去2年以内の在留諸申請において提出済みの場合は提出を省略できるもの。ただし、現在も労働保険料等、社会保険料(健康保険・厚生年金保険料、国民健康保険料(税)、国民年金保険料)、税(国税、住民税)のいずれについても滞納がない場合に限る。
個人事業主
下記の表が「第2表の3」になります。出入国在留管理局のサイトに用意されていますので、以下のリンクから取得してください。
在留資格「特定技能」 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
分野に関する必要書類
「分野に関する必要書類」では、分野ごとに必要書類が異なります。
「在留期間更新許可申請」で必要な分野別書類は、農業、漁業を除く分野では少ないですので、該当する分野の書類のみ作成・収集し、「有」に〇を付けます。該当しない分野には全て「無」に〇をして下さい。
農業、漁業分野で必要な書類は数が多いですので、別のリストが用意されています。
農業の分野別必要書類→001379060.pdf
漁業の分野別必要書類→001379062.pdf
建設分野では分野別の書類は必要ありません。
介護
- 介護分野における業務を行わせる事業所の概要書
- 協議会の構成員であることの証明書
ビルクリーニング
- 次の❶又は❷のいずれか(※3)
- 建築物清掃業登録証明書
- 建築物環境衛生総合管理業登録証明書
- 協議会の構成員であることの証明書
工業製品製造業
- 協議会の構成員であることの証明書
造船・舶用工業、自動車整備、航空(略)
宿泊
※注 3、4は登録支援機関に支援の全部を委託する場合に必要
- 旅館業許可証(旅館・ホテル営業許可書)の写し(※3)
- 協議会の構成員であることの証明書書(特定技能所属機)
- 宿泊分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(登録支援機関)(※1)
- 協議会の構成員であることの証明書(登録支援機関)
鉄道(略)
飲食料品製造業
※注 2、3は登録支援機関に支援の全部を委託する場合に必要
- 協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関)
- 飲食料品製造業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(登録支援機関)(※1)
- 協議会の構成員であることの証明書(登録支援機関)
外食業
※注 3、4は登録支援機関に支援の全部を委託する場合に必要
- 保健所長の営業許可証又は届出書の写し(※2)
- 協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関)
- 外食業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(登録支援機関)(※1)
- 協議会の構成員であることの証明書(登録支援機関)
林業・木材産業(略)
※1 申請人に係る過去の在留諸申請(在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請。以下、同じ。)において提出済み(現在もその内容に変更がなく、有効期限があるものは期限内の場合に限る。)の場合に提出を省略できるもの。
※2 受け入れている任意の外国人に係る過去の在留諸申請において提出済み(現在もその内容に変更がなく、有効期限があるものは期限内の場合に限る。)の場合は提出を省略できるもの
※3 受け入れている任意の外国人に係る過去3年以内の在留諸申請において提出済み(現在もその内容に変更がなく、有効期限があるものは期限内の場合に限る。)の場合は提出を省略できるもの。
提出先
申請人(特定技能外国人)の居住地を管轄する地方出入国在留管理署です。
全国の地方出入国管理署は↓のサイトからご覧いただけます。
地方出入国在留管理官署 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
また、それぞれの管理署のボタンをクリックすると、管轄の支局や出張所の情報を得ることができます。管轄の都道府県に該当するか、分担区域の欄で「在留期間変更許可申請」が行えるかどうか確認し、両方を満たしている場合には、支局や出張所に申請してもかまいません。
また、オンライン申請の場合は、提出先を問われません。出入国管理局の方で自動的に割り振られます。追加書類がある場合や疑義が生じた場合には、割り振られた管理署(申請人の居住地を管轄する地方出入国在留管理署)から連絡があります。
審査期間
審査にかかる標準処理期間は、書類を提出してから2週間~1カ月程度です。ただし、標準の期間ですので、1か月以上かかることもあります。
この「在留期間更新許可申請」は、「特定技能1号」の在留期間を1年以上付与されている外国人は、在留期限の3か月前から申請することができます。
「6月」や「4月」など、1年未満の在留期間を付与されている人は、在留期限の1か月前くらいからが申請の目安となります。
また、審査中に在留期限が来てしまっても、不法滞在にはなりません。
- 従前の在留期間の満了日から2カ月を経過する日
- 従前の在留期間の満了日から処分がなされた日
のいずれか早い日までは適法に在留できます。
処分がなされずに2カ月以上が経過することはほとんどありませんが、郵便事情などにより通知が届いていない場合がありますので、1カ月を過ぎたあたりから管轄の出入国在留管理署に問い合わせてみましょう。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
特定技能1号の「在留期間更新許可申請」は、認定証明書交付申請や変更許可申請と比べると書類も少なく、一度申請が許可されている受入れ機関と外国人に関するものですので、不許可になる確率も低くなります。
ただし、受入れ機関が、前回の申請とは矛盾する申請書を出したり、申請人である外国人の給与や待遇を以前の申請より減額すると不許可になりやすくなります。
また、更新申請は在留期限が迫る中で行わなければなりませんので、外国人の書類の収集には注意が必要です。正しい書類を取得できず、取り直しがあると申請に間に合わないかもしれません。
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