インドネシア人を特定技能で雇用したい時に知っておきたい手続き

ベトナム、タイ、カンボジアの国籍を持つ方を特定技能で雇用する場合、「在留資格変更変更許可申請」と「在留資格認定証明書交付申請」(ビザ申請)の際に、他の国では必要のない書類や手続きが必要であることを記事にしてきました。

それでは、この三か国以外の国籍を持つ外国人を雇用する時にはビザ申請さえすれば良いのでしょうか。ビザ申請時にその国独自の追加書類が必要ないといっても、ビザ申請さえすれば外国人を雇うことができるかというと、そういうわけではありません。

今回お話するインドネシアは、日本との間で、そこまで厳しい取り決めをしているわけではありませんが、現在在留数の増加率が1位の国ですので、こちらのルールをしっかりと確認していきたいと思います。

目次

ビザ申請に関わる3つのパターン

インドネシアの方を特定技能で雇用しようとする場合、次の3つのパターンに分けて考えると分かりやすくなります。ご自分がどのパターンに当てはまるのかを確認して、そのパターンの手続きを確認してみて下さい。

  • 日本にいるインドネシア人を雇用しいたい時
  • インドネシアにいるインドネシア人を職業紹介事業者を使わずに雇用したい時
  • インドネシアにいるインドネシア人を職業紹介事業者を使って雇用したい時

それでは、上記3パターンを1つずつ解説していきます。

日本にいるインドネシア人を雇用しいたい時

「在留資格変更許可」申請に関わる手続きの流れ

以下のフローチャートと合わせてご覧ください。

  1. 受入れ機関と日本にいるインドネシア人(以下申請人)との間で雇用契約を結ぶ
  2. 申請人自らがが海外労働者管理システム(以下SISKOTKLN)にオンラインで登録する
  3. インドネシア政府から電子的にインドネシア在外労働者保護庁の移住労働者証(E-KTKLN)が発行される
  4. 申請人が駐日インドネシア大使館に海外労働者登録手続(届出)を行う(※1)
  5. 駐日インドネシア大使館から申請人に登録手続済証明(推薦状)が発行される
  6. 申請人が地方出入国在留管理局に「在留資格変更許可」申請を行う
  7. 地方出入国在留管理局から許可がおりる(※2)

※1 この時に移住労働者証(E-KTKLN)が必要になります。

※2 手続きの流れを説明するために許可された場合のみを書いていますが、許可されない場合もあります。

インドネシアに関する情報 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)(抜粋 2024-10-04)

海外労働者管理システム(SISKOTKLN)とは

海外労働者管理システム(SISKOTKLN)は、海外で就労するインドネシア人の情報を管理するためにインドネシア政府が運用しているシステムです。

SISKOTKLNに登録された情報は、インドネシアの特定技能外国人が日本でトラブルに巻き込まれた際などの被害者保護のために使われますので、特定技能インドネシア人には必ず登録をしてもらって下さい。

SISKOTKLNへの登録は、「インドネシアからの呼び寄せ」と「国内人材の特定技能ビザへの変更」のどちらの場合でも必須の手続きとなります。

登録すると、インドネシア政府から電子的にインドネシア在外労働者保護庁の移住労働者証(E-KTKLN)が発行されます。

(SISKOTKLNのURL)https://siskop2mi.bp2mi.go.id

http://siskotkln.bnp2tki.go.id/は(インドネシアに関する情報 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp))に掲載されているSISKOTKLNのURLですが、アクセスできなかったため、駐日インドネシア共和国大使館に問い合わせたところ、上記のURLを教えていただきました。

インドネシアにいるインドネシア人を職業紹介事業者を使わずに雇用したい時

「在留許可認定証明書交付」申請に関わる手続きの流れ

以下のフローチャートと合わせてご覧ください。

  1. 受入れ機関が労働市場情報システム(IPKOL)にオンラインで登録し、求人申し込みをする(入力は英語かインドネシア語)(※1)
  2. インドネシア人の採用が決まったら、受入れ機関と雇用契約を結ぶ
  3. 地方出入国在留管理局に「在留許可認定証明書交付」申請を行う
  4. 「在留資格認定証明書」(COE)が発行される
  5. 受入れ機関は「在留資格認定証明書」(COE)をインドネシア人(以下申請人)に送付する
  6. 申請人自らがが海外労働者管理システム(以下SISKOTKLN)にオンラインで登録する(※2)
  7. SISKOTKLNから申請人に「ID番号」が発行される
  8. 申請人は在インドネシア日本国大使館・総領事館に査証を申請する
  9. 在インドネシア日本国大使館・総領事館から申請人に査証が発給される
  10. SISKOTKLNから申請人に移住労働者証(E-KTKLN)が発行される
  11. 申請人がインドネシアを出国する

※1 登録はあくまでインドネシア政府の強い希望です。必ず登録をしないといけないわけではありません。職業安定法に基づく職業紹介事業者については、次の厚生労働省URLを参照してください。0020190401.pdf (mhlw.go.jp)

※2 この時に捺印、署名された雇用契約書が必要になります。

インドネシアに関する情報 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)(抜粋 2024-10-04)

労働市場情報システム(IPKOL)とは

日本の受入機関が、インドネシアの職業紹介事業者(P3MI)を利用することなくインドネシア国籍の方をインドネシアから新たに特定技能外国人として受け入れる場合に、登録・求人するためのシステムです。インドネシア側によると、特定技能制度に興味のあるインドネシア人は多く、日本での就職を希望している方は、このIPKOLにアクセスして求職先を検索するそうです。また、インドネシア政府は日本での就職を希望しているインドネシアの方に求職登録を促す広報活動を行っていて、同システムの活用が悪質なブローカー対策にもなることから、日本の受入れ機関がIPKOLに登録することを強く望んでいます。登録は無料です。

(IPKOLのURL)Dapatkan Informasi Pekerjaan Dari Seluruh Dunia : Karirhub (kemnaker.go.id)

インドネシアにいるインドネシア人から見た手続きの流れ

インドネシア人雇用においては、インドネシア人自らが行う手続きも多いため、申請者であるインドネシア人が対応しなければならない流れと手続きをまとめました。

  1. 求人サイトである労働市場情報システム(IPKOL)に登録し、エントリーする(日本語試験と技能試験の情報についてもアップロードする)
  2. IPKOLに登録した受入れ機関が求職者の情報を閲覧し、候補者に選ばれる
  3. 受入れ機関と面接をする
  4. 健康診断を受ける
  5. 受入れ機関から雇用契約書の草案が提示される
  6. 合意した場合は署名し受入れ機関に返送する
  7. 受入れ機関が支援計画を作成する(登録支援機関に委託可)
  8. 受入れ機関が、日本の地方出入国管理局で求職者の在留資格認定証明書(COE)を申請する
  9. SISKOTKLNに登録し、署名済みの雇用契約書、COE、および支援計画書をアップロードする
  10. 登録完了後、査証、パスポート発行推奨証明書としてのインドネシア移民労働者の候補者登録証明書、労働BPJS保険の請求コードを取得する
  11. 請求コードに基づき、指定された金融機関で労働BPJSの保険料を支払う
  12. BP3TKIまたはBNP2TKI(インドネシア海外労働者派遣保護庁)がE-KTKLNを発行する
  13. BP3TKIによる出発前研修を受ける
  14. 在ジャカルタ日本大使館又は総領事館/領事館(デンパサール、メダン、スラバヤ、マカッサル)で査証の申請を行う
  15. 査証取得後、日本に入国。
  16. 来日後、在日インドネシア大使館で在留届を申請する

在日インドネシア共和国大使館 (kemlu.go.id)

インドネシアにいるインドネシア人を職業紹介事業者を使って雇用したい時

インドネシア政府から許可を得た職業紹介事業者はP3MIと呼ばれます。インドネシア語の「Perusahaan Penempatan Pekerja Migran Indonesia」の略語です。P3MIは、インドネシア人労働者の海外下の送り出しを行っていますが、技能実習生の送り出しに関与するインドネシアの「認定送出機関」とは違う機関ですので、技能実習生を雇用している受入れ機関も新たにP3MIと関係を持つ必要があります。

(P3MIを検索可能なURL) DAFTAR P3MI AKTIF : Berita : Kementerian Ketenagakerjaan RI (kemnaker.go.id)

ただし、ここがインドネシアの制度のややこしいところではありますが、受入れ機関はP3MIと直接に提携できず、日本の職業紹介事業者を挟んで各種手続きを行う必要があります。

「在留資格認定証明書交付」申請に関わる手続きの流れ

以下のフローチャートと合わせてご覧ください。

  1. 受入れ機関と日本の職業紹介事業者が職業紹介に係る提携関係を結ぶ(※1)
  2. 日本の職業紹介事業者とインドネシアの職業紹介事業者(以下P3MI)が提携契約を結ぶ
  3. 日本の職業紹介事業者が駐日インドネシア大使館に求人票等を提出する
  4. 日本の職業紹介事業者が駐日インドネシア大使館が確認した求人票等を受領する
  5. P3MIが申請者となるインドネシア人(以下申請者)に対して採用や手続きの支援をする
  6. 受入れ機関と申請者の間で雇用契約を結ぶ
  7. 受入れ機関が地方出入国在留管理局に「在留許可認定証明書交付」申請を行う
  8. 地方出入国在留管理局から受入れ機関に「在留資格認定証明書」が交付される(※2)
  9. 受入れ機関は「在留資格認定証明書」を申請人に送付する
  10. 申請人自らがが海外労働者管理システム(以下SISKOTKLN)にオンラインで登録する(※3)
  11. SISKOTKLNから申請人に「ID番号」が発行される
  12. 申請人は「ID番号」のコピーを添えて在インドネシア日本国大使館・総領事館に査証を申請する
  13. 在インドネシア日本国大使館・総領事館から申請人に査証が発給される
  14. SISKOTKLNから申請人に移住労働者証(E-KTKLN)が発行される
  15. 申請人がインドネシアを出国する

※1 職業安定法に基づく職業紹介事業者については、
次の厚生労働省URLを参照してください。0020190401.pdf (mhlw.go.jp)

インドネシアに関する情報 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)(抜粋 2024-10-04)

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。

インドネシア人を特定技能で雇用する際には、在留資格変更許可申請や在留資格認定証明書交付申請を行うにあたって、インドネシア人に特有の追加の書類は必要ありません。

ただし、その他の場面では、インドネシア人特有の手続きや、必要な書類があります。

インドネシア人を特定技能で雇用する際に必要な手続きの流れを以下の3パターンに分けて記載しました。

  • 日本にいるインドネシア人を雇用しいたい時
  • インドネシアにいるインドネシア人を職業紹介事業者を使わずに雇用したい時
  • インドネシアにいるインドネシア人を職業紹介事業者と使って雇用したい時

インドネシア人を雇用したいと考えておられる受入れ機関の方の参考になれば幸いです。

また、インドネシア側の手続きに関するお問い合わせは以下が窓口となっています。

お問合せ先

駐日インドネシア共和国大使館
〔所在地〕東京都品川区東五反田5-2-9 〔電話番号〕03-3441-4201
〔メールアドレス〕consular@kbritokyo.jp

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この記事を書いた人

大阪府箕面市の行政書士です。
・趣味:美術鑑賞、散歩
・スポーツ:卓球、テニス
・座右の銘:失敗は成功のもと
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