バス・タクシーには2種免許が必要です
バス・タクシーの運転手になるには、2種免許が必要です。2種免許は、お客様からお金をを受け取って、人を運送するための免許です。運賃を受け取らない場合や、人を運ばない場合は必要ありませんが、バス・タクシーはどちらも当てはまりますので、2種免許を取得する必要があります。
バス・タクシーの運転手になるには、特定技能外国人だけでなく、日本人であっても2種免許が必要です。
1種免許と2種免許の違い
日本の自動車免許には、主に「1種免許」と「2種免許」があります。それぞれの違いについて、法令を含めて説明します。
1種免許
1種免許は、普通自動車(軽自動車を含む)を運転するための免許です。この免許を取得するためには、以下の条件を満たす必要があります:
- 年齢: 18歳以上
- 学科試験: 試験に合格する必要があります。
- 実技試験: 実際に運転する技術を評価する試験に合格する必要があります。
2種免許
2種免許は、利用者から運賃を受け取って人を運送するための免許です。この免許を取得するためには、以下の条件を満たす必要があります:
- 年齢: 21歳以上
- 要件:普通免許、準中型免許、大型免許、大型特殊免許のいずれかを取得してから3年以上経過していること
- 学科試験: 試験に合格する必要があります。
- 実技試験: 実際に運転する技術を評価する試験に合格する必要があります。
第二種免許等の受験資格の見直しについて
自動車教習所で公安委員会が指定した課程を修了すると、特定の免許の受験資格が通常よりも早く得られる特例が適用されます。
特例の内容
- 第二種免許・大型免許: 通常は21歳以上かつ普通免許等を保有して3年以上の方が受験資格を有しますが、この特例により、19歳以上かつ普通免許等を保有して1年以上の方も受験資格を得ることができます。
- 中型免許: 通常は20歳以上かつ普通免許等を保有して2年以上の方が受験資格を有しますが、この特例により、19歳以上かつ普通免許等を保有して1年以上の方も受験資格を得ることができます。
この特例により、若い年齢でも一定の教習を修了することで、早くからプロのドライバーとしてのキャリアをスタートすることが可能になります。
詳しくは、こちらをご覧ください。
法令
日本の自動車免許に関する法令は、主に「道路交通法」に基づいています。この法律により、免許の取得要件や運転の禁止事項などが定められています。
第85条 次の表の上欄に掲げる自動車等を運転しようとする者は、当該自動車等の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる第一種免許を受けなければならない。
自動車等の種類 | 第一種免許の種類 |
大型自動車 | 大型免許 |
中型自動車 | 中型免許 |
準中型自動車 | 準中型免許 |
普通自動車 | 普通免許 |
大型特殊自動車 | 大型特殊免許 |
大型自動二輪車 | 大型二輪免許 |
普通自動二輪車 | 普通二輪免許 |
小型特殊自動車 | 小型特殊免許 |
原動機付自転車 | 原付免許 |
前項の表の下欄に掲げる第一種免許を受けた者は、同表の区分に従い当該自動車等を運転することができるほか、次の表の上欄に掲げる免許の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる種類の自動車等を運転することができる。
第一種免許の種類 | 運転することができる自動車等の種類 |
大型免許 | 中型自動車、準中型自動車、普通自動車、小型特殊自動車及び原動機付自転車 |
中型免許 | 準中型自動車、普通自動車、小型特殊自動車及び原動機付自転車 |
準中型免許 | 普通自動車、小型特殊自動車及び原動機付自転車 |
普通免許 | 小型特殊自動車及び原動機付自転車 |
大型特殊免許 | 小型特殊自動車及び原動機付自転車 |
大型二輪免許 | 普通自動二輪車、小型特殊自動車及び原動機付自転車 |
普通二輪免許 | 小型特殊自動車及び原動機付自転車 |
第86条 次の表の上欄に掲げる自動車で旅客自動車であるものを旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で運転しようとする者は、当該自動車の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる第二種免許を受けなければならない。
自動車の種類 | 第二種免許の種類 |
大型自動車 | 大型第二種免許 |
中型自動車及び準中型自動車 | 中型第二種免許 |
普通自動車 | 普通第二種免許 |
大型特殊自動車 | 大型特殊第二種免許 |
結局必要な免許とは?
法令の文章は、少し分かりずらいですね。結局バスやタクシーの運転手をなる為に必要な免許は、それぞれ以下の通りです。
バスドライバーになるために必要な運転免許
- 普通第1種免許
- 大型自動車2種免許
タクシードライバーになるために必要な運転免許
- 普通第1種免許
- 普通第2種免許
バス・タクシーの2種免許が受験できる人(受験資格)
2種免許の試験を受けるためには、1種免許を一定期間保持していなければならないと、先にお話ししました。2種免許取得のための条件は「旅客自動車運送事業用自動車の運転者の要件に関する政令」に定められています。
内閣は、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二十七条の規定に基き、この政令を制定する。
道路運送法第三条各号の旅客自動車運送事業の事業用自動車の運転者に関する同法第二十五条(同法第四十三条第五項において準用する場合を含む。)の政令で定める要件は、次のとおりとする。
一 二十一歳以上(道路交通法施行令(昭和三十五年政令第二百七十号)第三十四条第五項又は第八項に規定する教習を修了した者(同条第十一項に規定する者を除く。)にあつては、十九歳以上)であること。
二 普通自動車、四輪の小型自動車、三輪の自動車又はけん引自動車である大型特殊自動車の運転の経験(道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)に規定する仮運転免許以外の運転免許又はこれに相当する沖縄の行政庁の運転免許を受けた日以後の運転の経験に限る。以下同じ。)の期間が通算して三年以上(道路交通法施行令第三十四条第六項又は第九項に規定する経験を有する者にあつては二年以上、同条第七項又は第十項に規定する教習を修了した者にあつては一年以上)であること。
三 運転する事業用自動車の種類に係る道路交通法に規定する第二種運転免許を受けており、かつ、その効力が停止されていないこと。
簡単に要約すると、次のようになります。
- 年齢が21歳以上であること。(特例教習を受ける場合は19歳以上)
- 普通免許などを取得してから3年以上が経っていること。(特例教習を受ける場合は1年以上)
- 第2種の試験に合格し、免許の取り消しや停止を受けていないこと。
旅客自動車運事業とは
「旅客自動車運事業」という言葉がでてきましたので、少し説明をしておきます。これが、いわゆるバスやタクシーを使って、お客さんを乗せて目的地に運ぶ事業になります。
「旅客自動車運送業」の定義は、「道路運送法第」3条に定められています。
第3条 旅客自動車運送事業の種類は、次に掲げるものとする。
一 一般旅客自動車運送事業(特定旅客自動車運送事業以外の旅客自動車運送事業)
イ 一般乗合旅客自動車運送事業(乗合旅客を運送する一般旅客自動車運送事業)
ロ 一般貸切旅客自動車運送事業(一個の契約により国土交通省令で定める乗車定員以上の自動車を貸し切つて旅客を運送する一般旅客自動車運送事業)
ハ 一般乗用旅客自動車運送事業(一個の契約によりロの国土交通省令で定める乗車定員未満の自動車を貸し切つて旅客を運送する一般旅客自動車運送事業)
二 特定旅客自動車運送事業(特定の者の需要に応じ、一定の範囲の旅客を運送する旅客自動車運送事業)
イ 一般乗合旅客自動車運送事業|乗合バス・路線バスなどの事業
一般乗合旅客自動車運送事業というのは、乗合旅客を運ぶために特定の路線を走るバスを定期的に運行する仕事のことです。普段は乗合バス事業や路線バス事業と呼ばれています。この事業は、日本の公共交通機関の中でも特に重要な役割を担っていて、地域の人々の足となっています。
大変重要な仕事ですが、主に次のことが原因で、日本では人手不足が深刻になっています。
- ドライバーの高齢化
- 長時間労働や早朝・深夜勤務が多いことによる労働条件の厳しさ
- 複数の事故によるイメージ悪化
- 残業規制の強化による運転手の労働時間の制限
ロ 一般貸切旅客自動車運送事業|貸切バスなどの事業
一般貸切旅客自動車運送事業というのは、貸切バスを使って移動手段を提供する仕事のことです。この仕事では、運送業者が募集した運送者団体や旅行会社、学校の遠足などと契約し、特定の団体だけを運ぶことが多い仕事です。
貸し切りバスの運転手も、乗合バス・路線バスの運転手と同様の理由で人手不足に陥っています。
ハ 一般乗用旅客自動車運送事業|タクシーやハイヤーなどの事業
一般乗用旅客自動車運送事業は、タクシーやハイヤー(乗車定員10人以下)を利用して、お客様を安全かつ快適に目的地までお送りする事業です。
ハイヤーのサービスには、法人向けの送迎や特別な利用者向けのサービスが含まれることが多く、福祉の観点からも重要な役割を果たしています。
特定旅客自動車運送事業|送迎バスや介護輸送などの事業
特定旅客自動車運送事業は、特定のお客様のニーズに合わせて、旅客の輸送を行うものです。たとえば、学校や会社の送迎バス、介護が必要な方のための輸送サービスなどがあります。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回は、特定技能の「自動車運送業」分野での、バスやタクシーのドライバーを目指す方に向けて、日本の運転免許のしくみについて、法令を含めて説明してきました。
かなり難しい内容になったかと思いますので、次回はもっとわかりやすい内容にしたいと思います。