はじめに
国際結婚の手続きは国によって様々ですが、スペイン人との国際結婚は、他の国の方と比べても非常に手続きが複雑で、時間もかかるのが大きな特徴です。
特に注意したいのが、手続きにかかるタイムラインです。
- 婚姻要件具備証明書の発行(領事面接): 申請から面接完了まで約1ヶ月〜3ヶ月
- スペイン側の結婚証明書(婚姻登録)の発行: 申請から完了まで約4ヶ月
また、婚姻要件具備証明書を取得するための領事面接では、新郎新婦のお二人だけでなく「証人2名」の同行が必須となり、全員で東京の在日スペイン大使館へ直接足を運ばなければなりません。事前準備を怠ると、スケジュールの計画が大きく狂ってしまうリスクがあります。
※ご注意
本記事は「日本で先に結婚手続きを行う(創設的届出)」場合の手続きに特化して解説しています。(※スペインで先に結婚手続きを行う場合とは手順や必要書類が異なりますのでご注意ください。)
日本の役所での手続きも含めた「国際結婚手続きの大まかな全体像やステップ」につきましては、まず以下のメイン記事をご覧ください。

本記事では、その中でも特に多くの方がつまずきやすい「在日スペイン大使館での具体的手続き(婚姻要件具備証明書の取得&日本の入籍後の婚姻登録)」に絞り、最新の実務情報を分かりやすく解説していきます。
STEP 1:婚姻能力証明書(婚姻要件具備証明書)の申請
日本で先に創設的届出(婚姻届出)を行う場合、最初にして最大の難所となるのが、在日スペイン大使館での「婚姻要件具備証明書」の取得です。全体の流れや必要書類、注意点を分かりやすく解説します。
1. スペイン大使館ホームページからの案内取得
まずは在日スペイン大使館の公式ホームページにアクセスします。メニューの「領事サービス」>「その他領事部業務」内にある「婚姻要件具備証明書」のページを開くと、手続きの概要や案内が表示されます。指示に従って手続きを開始し、大使館の領事部宛てへ詳細の案内や書類の送付を行います。
2. 必要書類の準備
申請に必要な書類を双方で準備します。提出する証明書はいずれも過去6ヶ月以内に発行されたものが必要です。
なお、申請に必要な「結婚前ファイルの処理要請書」や「宣誓供述書」のフォーマットは、このページ内からダウンロード可能です。
- 新郎新婦共通(双方分が必要):
- 結婚前ファイルの処理要請書(Solicitud de tramitación de expediente previo al matrimonio)ー大使館HPよりダウンロード・双方の署名が必要
- パスポートまたは身分証明書(DNI等)のコピー
- 婚姻状況に関する宣誓供述書(Declaración jurada sobre el estado civil)ー大使館HPよりダウンロード・双方がそれぞれ作成
- スペイン人配偶者:
- 過去6ヶ月以内に発行されたスペインの市民登録所発行の出生証明書 (抄本不可)。
- (離婚・再婚の場合)離婚が正式記録された結婚証明書、または前の配偶者の死亡証明書
- 日本人配偶者:
- 戸籍謄本(過去6ヶ月以内発行) ※過去に離婚歴や死別歴がある場合は、親の戸籍から除籍されて現戸籍に移行した時点からの情報が追える戸籍謄本が必要です。
- 住民票(※スペイン人が大使館に居住登録していない場合に必要)
3. メールでの事前書類提出(原本は大切に保管)
準備した必要書類をデータ化し、まずは大使館宛てにメールで送信して事前審査を受けます。
⚠️ ここがポイント! メール送信後、提出した書類の「紙の原本」は大切に手元で保管しておいてください。後述する領事面接の当日に、確認のため大使館へ原本を持参・提出することになります。
STEP 2:面接(出頭)と交付のリアル
1. 面接日時の案内と証人2名の用意
メール提出から1〜2週間ほどで、大使館から指定の「面接日時」が記載された案内メールが届きます(書類提出から実際の面接日までは、およそ1ヶ月〜3ヶ月ほどかかります)。
大使館から届く案内メールの概要は以下の通りです。
- 出頭者: 新郎新婦お二人+証人2名の計4名で出頭
- 証人の条件: 可能であればスペイン語または英語が話せる方(日本語話者のみでも可)
- 事前連絡事項: 証人確定後、事前に証人の「1)氏名、2)国籍、3)身分証明書番号」をメールで返信
- 当日必要な身分証明書(原本):
- スペイン国籍の方:国民身分証明書(DNI)またはパスポート
- 日本国籍の方:パスポート
- 証人の方:パスポートまたはDNI(日本人でパスポートがない場合は運転免許証)
- 持参書類: 事前にメール送信した各種申請書類の「紙の原本」
- 事前手続き(該当者のみ): スペイン国籍の方が領事登録未完了の場合、面接数日前までにオンラインで「領事登録」を完了させること
2. 領事面接と証明書の発行(PDFでの交付)
予約当日に全員で東京のスペイン大使館へ出頭し、面接(インタビュー)と書類原本の提出を行います。
面接が無事に終了すると、2営業日以内にメールで「婚姻能力証明書(婚姻要件具備証明書)」が交付されます。
- 発行形態: 電子署名が付与された「PDFデータ」で届きます。スペイン語版と日本語版が発行されますので、日本の役所に提出する際に翻訳は必要ありません。
- 紙(現物)での受け取りを希望する場合: 出頭(面接)時に「切手を貼った返送用封筒」を提出しておけば、紙での送付にも対応してもらえます(任意)。
- 原本の扱い: この電子PDFデータ自体が法律上の原本となります。印刷して紙の状態で日本の市区町村役場へ提出すれば問題なく受理されます。
※メールには「婚姻を許可する旨の承認決定書(Resolución)」も一緒に添付されてきますが、こちらは大使館側の内部決定書類ですので、日本の役所に提出する必要はありません。
この「婚姻要件具備証明書」の印刷物およびその他の添付書類を揃えて日本の市区町村役場へ提出することで、無事に日本側での創設的届出(入籍)が完了します。
尚、日本の役所に提出するその他の添付書類は、市区町村により異なる場合があります。必ず事前に提出する市区町村役場に問い合わせて、必要書類を確認して下さい。
STEP 3:日本で入籍後、スペイン大使館への「婚姻登録」手順
日本の市区町村役場への婚姻届出(創設的届出)が無事に完了したら、最後の手続きとして在日スペイン大使館へ「婚姻登録」の申請を行います。
これを完了させることで、スペイン本国でもお二人の婚姻が正式に登録(報告的届出)されます。
1. 日本の役所で必要書類を取得する
日本の役所で入籍手続きを行った後、まずは以下の2点の書類を準備します。発行までのタイムラグに注意して手配を進めましょう。
- 婚姻届受理証明書(1通): 日本の役所で婚姻届が受理されると発行されます。役場にもよりますが、届出当日〜1週間以内に取得が可能です。
- 日本人の最新の戸籍謄本(1通): 入籍完了後、配偶者(スペイン人)の情報が記載された「新戸籍」が編成されます。 ※戸籍が反映されるまで約1週間〜1ヶ月ほどかかります。役所から完成の連絡は来ないため、本籍地の市区町村役場へ直接問い合わせて作成状況を確認し、完成したタイミングで取得してください。
2. 大使館への提出書類一式を揃える
取得した書類に加えて、以下の必要書類を用意します。
- 婚姻登録用データ申告書(Hoja declaratoria de datos): 婚姻当事者双方が必要事項を記入し、署名したもの。
- 婚姻届受理証明書: 日本の市区町村役場が発行したもの。
- 日本人配偶者の最新の戸籍謄本: 上記で準備した、婚姻事実が反映された最新のもの。
- 婚姻当事者双方のパスポートまたはDNIのコピー: 双方の有効な身分証明書のコピー。
- 返送用封筒(レターパックプラス/赤): 手続き完了後、原本書類や家族手帳(Libro de Familia)等の返送を希望する場合は、返送先住所・氏名をあらかじめ記入した赤色のレターパックを同封します(任意)。
3. 書留郵便での提出と完了までの流れ
【送付先住所】
〒106-0032 東京都港区六本木1-3-29 駐日スペイン大使館 領事部(戸籍登録課)
- 発行までの期間: 申請書類送付から発行完了まで約4ヶ月かかります。
- 完了後: 大使館での処理が終わると、同封したレターパックにて証明書等が手元に返送されます。
これで、日本・スペイン双方における国際結婚の手続きがすべて完了となります。
まとめ
在日スペイン大使館における「婚姻要件具備証明書」の取得から、日本の役所での入籍手続き、そして大使館への「婚姻登録」までの流れを解説いたしました。
スペイン人との国際結婚は、書類の事前準備や有効期限(過去6ヶ月以内発行)の管理、領事面接に向けた証人2名の手配、各証明書の発行待ち期間など、クリアすべきハードルが多く非常に複雑です。申請の途中で書類に不備が見つかると、手続きが数ヶ月単位で遅れてしまうことも珍しくありません。
「仕事が忙しくて書類を揃える時間がない」
「自分たちのケースでどの書類が必要なのか判断がつかない」
「配偶者ビザの申請までスムーズに進めたい」
など、国際結婚の手続きでお困りの際は、行政書士長尾真由子事務所にぜひお気軽にお問い合わせください。お二人の円滑な新生活のスタートを親身にサポートいたします。

