認定送出し機関を通さずに直接雇用でMWO申請するには?その要件とは?

目次

認定送出し機関(PRA)とは

フィリピン人をフィリピン以外の国で雇用する場合、MWO申請をして、雇用主の会社がDMWに登録をされる必要があります。

その場合、通常はフィリピン政府に認定された認定送出し機関を通して、MWO申請をしなければなりません。認定送出し機関は、英語で、「Philippine Recruitment Agency」といい、PRAと呼ばれています。日本語の正式名称は「フィリピン政府公認の認定送出機関」です。フィリピン労働省の認可を得て、国内の労働者を海外の雇用主に仲介・派遣する事業を行うエージェントのことです。

今までは、PRAを通したMWO申請を見てきましたが、今回はPRAを通さないMWO申請を解説していきます。

PRAを通さず直接雇用するための要件

基本的に、フィリピン人を海外で雇用する場合には、PRAと契約し(有料)、そこを通してMWO申請をする必要があります。

たとえ、受入れ機関が雇用するフィリピン人を、PRAに紹介してもらわなくても、PRAとの契約が必要だということです。

ただし一部例外として、PRAと契約せずにMWO申請を行いDMWに登録できる場合もあります。

以下がMWO大阪の直接雇用に関する記載です。

左側が、直接雇用が認められた場合に必要な提出書類です。

右側には、「直接雇用の禁止」について書かれています。

抜粋|MWO大阪

こちらが、右の文章の日本語訳です。

2016年改訂版POEA陸上勤務フィリピン人労働者の採用と雇用に関する規則

【POEA規則(2016年改訂)要約】
海外におけるフィリピン人労働者の「直接雇用」に関する規定

第123条:直接雇用の原則禁止
海外雇用主は、フィリピン人労働者を直接雇用することは原則として禁止されています。

第124条:直接雇用が認められる例外(免除対象)
以下の雇用主に限り、特別に直接雇用が認められます:

  1. 外交団に所属する人物
  2. 国際機関(国連など)
  3. 国家元首、および副大臣級以上の政府高官
  4. 労働雇用大臣(Secretary of Labor and Employment)が特別に許可した雇用主

補足的な免除の条件:

  1. 上記1〜3に該当する機関の下位の役職者で、POLO(フィリピン労働海外事務所)の承認を受けた者、またはPOLO不在時に認定された代表者も対象。
  2. POEAが定める基準を上回る条件で契約された専門職・熟練労働者も対象。ただし、雇用主が初めて雇用する場合は最大5名まで。グループ雇用でも1人としてカウント。
  3. 受入国に永住している親戚や家族に雇用される場合も免除対象。

第124条の2

まずは、第123条で「直接雇用の原則禁止」が謳われています。フィリピン政府の労働機関であるPOEA(海外雇用庁)では、海外の企業や個人が仲介業者(認可エージェント)を通さずにフィリピン人を雇用することを原則禁止しています。
この制度の背景には、過去に発生したトラブルや人権侵害から労働者を守るという目的があります。

次に、124条で例外的に認められるケースについて列記されています。

このブログ記事を読んで下さっている方で、特に気になるのは、専門職、熟練職を雇用される会社ではないでしょうか。

専門職、熟練職と書かれていますので、技能実習生や特定技能1号労働者を雇用する場合は、やはりPRAを通す必要があるということです。

対象となるのは、「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門」、「医療」などの在留資格で働こうとする外国人を雇う受入れ機関で、POEAの基準を上回る雇用条件で雇用する場合です。この条件でポイントとなるのは、役職や給料額です。どちらも高ければ高いほど、直接雇用を認められる可能性は大きくなります。

この「POEAが定める基準を上回る条件」が、はっきりと明記されていれば良いのですが、私が探した限りでは、サイト上でこの条件を見つけることはできませんでした。

「POEAが定める基準を上回る条件で契約された専門職・熟練労働者」なのかを確かめる方法

それでは、どうすれば「POEAが定める基準を上回る条件で契約された専門職・熟練労働者」であるか見極めることができるかというと、MWOに直接聞くほかはありません。MWOに連絡して、ご自分の会社の雇用条件を伝え、直接雇用ができる案件なのかどうかを問い合わせましょう。

電話の場合、最初は英語で対応されますが、日本語の通訳をお願いすることもできます。また、メールで問い合わせをすることもできます。ただ、メールの場合は返信に時間がかかることが多いです。

以下が、MWO東京とMWO大阪の情報です。

MWO東京
管轄

北海道・青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・長野・静岡・山梨

申請先

在東京フィリピン共和国大使館移住労働者事務所(MWO)
〔所在地〕東京都港区六本木5-15-5

〔電話番号〕03-6441-0428、03-6441-0478

〔メールアドレス〕mwoosaka.professionalskilled@gmail.com 

MWO大阪
管轄

愛知県、岐阜県、三重県、富山県、石川県、福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県及び鹿児島県・沖縄(2023年10月1日より東京管轄から大阪管轄へ)

申請先

在大阪フィリピン共和国総領事館移住労働者事務所(MWO)
〔所在地〕大阪府大阪市中央区淡路町4-3-5 URBAN CENTER御堂筋7階
〔電話番号〕06-6575-7593

〔ホームページ〕https://tokyo.philembassy.net/attached-agencies/migrant-workers-office/ にメールフォーマットあり

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。

縁あってフィリピン人を直接雇用したけれど、手続きは入管申請だけで良いのか分からない、MWO申請が必要と聞いたけれど、具体的にどうすれば良いのか分からない、というようなお困りごとをお持ちの、受入れ機関様や登録支援機関様、監理団体様がおられましたら、お気軽に行政書士長尾真由子事務所までご相談ください。

登録支援機関と監理団体での業務経験のある行政書士が、親身になってご相談にのらせていただきます。相談料は只今のところ無料です。

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この記事を書いた人

大阪府箕面市の行政書士です。
・趣味:美術鑑賞、散歩
・スポーツ:卓球、テニス
・座右の銘:失敗は成功のもと
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