はじめに
フィリピン人を雇用する時には、認定送出し機関(PRA)を通して、MWO申請をしなければなりません。ただし、例外的にではありますが、認定送出し機関と契約をせずに、直接にフィリピン人を雇用することができる場合もあります。前回のブログ記事では、「直接雇用」のメリットと要件をお伝えしましたので、詳しくは下の記事をご覧ください。

今回は、この「直接雇用」を認められた受入れ機関が、提出するべき書類をまとめました。
必要書類
必要書類一覧
「直接雇用」の必要書類は、私の知る限りでは、英語版のみの案内となっていますので、日本語に翻訳をして、紹介していきたいと思います。
以下がMWO大阪のサイトから抜粋した必要書類一覧と日本語訳です。

抜粋:MWO大阪
- 申請書(テンプレートあり)
- 雇用契約書(テンプレートあり)
- 在留資格認定証明書(COE)のコピー
- 登記簿謄本(個人事業主の場合は直近年度の納税証明書)
- 雇用したフィリピン人労働者の数に関する雇用主からの手紙/証明書
- フィリピン人労働者の医療保険証のコピー
- フィリピン人労働者のパスポート
- 雇用主のパスポートもしくは身分証明書のコピー
- 会社プロフィール(テンプレートあり)と会社のパンフレットやチラシ
- 適用可能な緊急時対応計画
- 日本の現状に照らし合わせて求められる書類
それでは、一つ一つの書類を解説していきます。
1.申請書(テンプレートあり)
こちらが、申請書のテンプレートになります。

抜粋:MWO大阪
記入は全て英語でしてください。会社名や労働者名は、他の書類と統一してください。
2.雇用契約書(テンプレートあり)

抜粋:MWO大阪
「直接雇用」(Professional/Skilled (Direct Hire))ではない方の、Professional/Skilled (Agency-hired)の雇用契約書を使用しないように気をつけてください。
3.在留資格認定証明書(COE)のコピー
日本の出入国在留管理長から発行される在留資格認定証明書をコピーして提出してください。
こちらは外国から呼び寄せる場合に発行されるものですので、国内での転職の場合には発行されません。その場合はどうすれば良いのかは、MWOに聞いてください。
また、フィリピンからの呼び寄せに関しても、通常は入管申請と並行してMWO申請を行うことが多いです。COE発行前に、MWO申請を行なえるのかどうかも気になるところです。
4.登記簿謄本(個人事業主の場合は直近年度の納税証明書)
登記簿謄本も納税証明書も発行後3カ月以内のものを提出してください。
法人の場合
登記簿謄本は、登記記録の全部または一部の事項を証明する書類です。MWO大阪の必要書類には(tokibo tohon)と記載されていますが、現在は、登記情報がコンピュータで管理されるようになり、厳密には登記簿謄本のデータを印刷した「登記事項証明書」が発行されます。
「登記事項証明書」には、「全部事項証明書」と「現在事項証明書」があります。「全部事項証明書」は、抹消された事項を含めて現在までの全てが記載され、登記の履歴が記載してあります。
「現在事項証明書」は、現在有効な内容のみを記載してあります。
MWOでは、「全部事項証明書」を提出してください。
全部事項証明書は英語に翻訳し、翻訳者が日本人であれば、記名の横に捺印が、外国人であれば署名が必要です。
当該法人の代表や社員でなくとも、誰でも法務局にて取得が可能です。郵送で申請書を送り、郵送で返してもらうこともできます。
個人事業主の場合
直近年度の納税証明書が必要です。納税証明書は最寄りの市区町村役場の窓口取得、コンビニ取得、郵送での取り寄せなど、いくつかの取得方法があります。
納税証明書の取得方法は、こちらのブログ記事で詳しく解説しています。

5.雇用したフィリピン人労働者の数に関する雇用主からの手紙/証明書
こちらはテンプレートが用意されていませんので、フリースタイルで書いて良いと推測します。恐らく、雇用主の署名と捺印が必要となるのではないでしょうか。
管轄のMWOに連絡を取って、聞いてみた方が良いでしょう。
6.フィリピン人労働者の医療保険証のコピー
日本の労働法に則って支給された医療保険証のコピーとなっています。これは国内転職の労働者に求められているのでしょうか?はっきりとは分かりませんので、ご依頼いただいた場合には、MWOに問い合わせさせていただきます。
7.フィリピン人労働者のパスポート
出国予定日より、少なくとも6か月の期限の余裕のあるパスポートが要求されています。
8.雇用主のパスポートもしくは身分証明書のコピー
取締役のパスポートもしくは身分証明書を提出してください。身分証明書は写真付きが求められるはずです。英語に翻訳をする必要があり、翻訳者の署名(日本人の場合は押印)が必要です。
9.会社プロフィール(テンプレートあり)と会社のパンフレットやチラシ
「会社のプロフィール」はMWO大阪にテンプレートが用意されています。

抜粋:MWO大阪
会社名や代表者名などを、他の書類と統一してください。
この書類の後ろに、会社のパンフレットを、無ければチラシを添付してください。
10.適用可能な緊急時対応計画
こちらもテンプレートが用意されていませんので、フリースタイル+署名・捺印で良いと思われますが、何を元に書けば良いのか全く示されていません。
特定技能や技能実習でも、このような書類は求められませんので、MWOに問い合わせるほかはないでしょう。
11.日本の現状に照らし合わせて求められる書類
MWOに求められた場合に、適宜用意しましょう。
MWO申請の申請後、ほとんどの場合において補正のために書類が送り返されてきます。
補正内容は、翻訳ミスの指摘という細かなことから、書類の不備、賃金の修正要求、時間外労働割増賃金の誤りの指摘、保険料の誤りの指摘など多岐に渡ります。
また、MWOの指摘が誤っている場合には、こちらが正しいことを証明する書類を送る必要があります。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の記事は、経験のない書類について勉強を兼ねて書きましたので、分からないことも多くなってしまい申し訳ありませんでした。
ただ、特定技能や技能実習の書類の経験がありますので、「直接雇用」に関しても、その経験をもとに作成可能です。また、フィリピンの政府機関であるMWOに、どのように問い合わせをすれば良いのかも熟知しています。
MWO申請がどうも自分ではできそうもない、MWOに電話してみたが、英語で対応されるのでどうすれば良いのか分からない、メールで問い合わせても返事が無い、とお悩みの方は、是非一度、行政書士長尾真由子事務所にご連絡ください。
経験豊富な行政書士が、親身になってお手伝いさせていただきます。相談料は無料です。