はじめに
フィリピン人の技能実習生を受け入れる際には、特定技能労働者を雇用する時と同様に、フィリピンの認定送出機関(PRA)を通して、人材の雇用や、DMW(移住労働省)登録の手続きを行う必要があります。
MWO申請の用語については、こちらのブログ記事で詳しく解説していますので、合わせてお読みいただければ幸いです。

書類の違い
特定技能の書類とは、次の2点で大きく異なります。
- RA(Recrutement Agreement/協定書)における日本側の当事者が異なる
- 必用書類が異なる
1.RA(Recrutement Agreement/協定書)における日本側の契約者が異なる
RA(Recrutement Agreement)とは、協定書のことです。協定書とは、複数の当事者が共通の方針や枠組みに合意したことを記録する文書です。MWOで求められる協定書は、MWO大阪のホームページからダウンロードすることができます。
MWO Osaka (dmw.gov.ph)からダウンロードできます。
Home→ Servicesタブ→labor Documentationを選ぶ→ Downloadable Formsを選ぶ→技能実習は英語でTECHNICAL INTERN TRAINING PROGRAMなので、この文字の下の書類から必要な書類をクリックする→ダウンロードする
(RAは1番下のOther downloadable formsに入っています。)
※MWO大阪のホームページの内容、様式が変更になる可能性があり、その場合上記のやり方ではダウンロードできないかもしれません。
フィリピン側の当事者は認定送出機関(PRA)で、特定技能の場合も、技能実習の場合も変りません。ですが、日本側の当事者は、特定技能(SSW)と技能実習(TITP)では異なります。特定技能の場合の日本側の当事者(署名、捺印者)は受入れ機関(所属機関)ですが、技能実習の場合の当事者は管理団体となります。
ここで、特定技能と技能実習の英語訳のお伝えしておきます。MWOとのやりとりで出てくることもありますし、他の国の書類でも使用しますので、覚えておくと便利です。
特定技能ーSUPECIFIED SKILLED WORKER
(スペシファイド・スキルド・ワーカー 略して SSW)
技能実習ーTECHNICAL INTERN TRAINING PROGRAM
(テクニカル・インターン・トレイニング・プログラム 略して TITP)
※現在のところ、RAにはJoint Affidavit of Undertaking(共同宣誓供述書)を添付する必要があります。こちらもMWO大阪のホームページからダウンロードすることができます。
2.必用書類が異なる
以前のブログ記事で、特定技能の必要書類について投稿しましたが、それとは全く異なる書類が求められます。RA(協定書)は同じフォーマットを使用できますが、当事者が異なります。また、特定技能の必要書類と技能実習の必要書類で使用する「ひな形」は、全く違うものですので、間違えないようにダウンロードしてください。
以下は、MWO大阪が公表している必要書類のリストです。何故か特定技能の方には日本語がついていますね。
特定技能(SSW)の場合に必要な書類
技能実習(TITP)の場合に必要な書類


特定技能の必要書類については、以下のブログ記事で詳しく解説していますので、こちらをご覧ください。技能実習の必要書類については、また別のブログ記事で詳しく解説したいと思います。

手続きの流れの違い
手続で特定技能と異なる点は、次の2点です。
- 日本側の手続きの当事者が、監理団体になる
- 外国人実習生機構に認定申請を行う時間をスケジュールに入れる必要がある
以下が、技能実習の手続きの流れです。基本的には、特定技能の手続きと変わりませんが、手続きの当事者が監理団体となります。
また、技能実習は在留資格申請の前に、外国人実習生機構に認定申請をする必要があるため、特定技能よりも日本側の手続きに時間がかかります。フィリピン人と雇用契約を結ぶのに、日本側の許可が下りるのを待つ必要はありませんが、「海外雇用許可証(OEC)」の期限は6か月ですので、それまでに「在留資格認定証明書(COE)」を取得する必要はあります。
もしくは、逆に「在留資格認定証明書(COE)」がMWO申請の許可よりも先に発行された場合は、発行日の3カ月後までに、「海外雇用許可証(OEC)」を取得し、日本に入国する必要があります。
いずれにしても、「海外雇用許可証(OEC)」と「在留資格認定証明書(COE)」の両方が揃わなければ、フィリピン人の技能実習生は、実質的に日本で技能実習に従事することはできません。
- 日本の監理団体とフィリピンの認定送出機関(PRA)との間で協定書(RA)を締結する(※1)
- 監理団体がMWOに移住労働省(DMW)への登録申請を行う(※2)
- MWOから監理団体に、「登録推薦書」が発行され、合わせて雇用契約書のひな形、求人求職票等の承認が行われる(スタンプが押された書類が送られてくる)
- 監理団体はフィリピンの認定送出機関(PRA)に「登録推薦書」等の書類を送付する
- 認定送出機関(PRA)が移住労働省(DMW)に監理団体の登録を行う
- 移住労働省(DMW)から登録された「雇用契約書のひな形等」が認定送出機関(PRA)に返送される
- 認定送出機関(PRA)から監理団体に「雇用契約書のひな形等」が返送される
- フィリピン人の求職者(以下申請人(ビザの申請人の意))と雇用契約を結ぶ
- 監理団体が外国人実習生機構に認定申請を行う。
- 監理団体が地方出入国在留管理局に「在留資格認定証明書交付申請」を行う(※3)
- 地方出入国在留管理局から「在留資格認定証明書(COE)」が発行される(※4)
- 「在留資格認定証明書(COE)」をフィリピンにいる申請人に送付する
- 申請人は在フィリピン日本大使館に「査証」を申請する
- 申請人に「査証」が発給される
- 認定送出機関がDMWに「海外雇用許可証(OEC)」の申請をする
- DMWが認定送出し機関にOECを発行する
- 認定送出機関がOECを申請人に送付する
- 申請人はフィリピン出国時にOECを提示して出国し、日本に入国する
※1 「認定送出機関」と契約を結ぶことは必須です。ただし、「認定送出機関」から人材紹介を受けるかどうかは任意です。人材紹介を受ける場合は、「認定送出機関」は日本の人材紹介事業者としての許可を受けていなければなりません。
※2 いわゆる「MWO申請」と言われるものです。この申請には多くの書類が必要で、修正・再提出依頼もよくあります。書類審査が終わると受入れ機関にMWOから面接依頼が届くこともあり、依頼があった場合は面接を受けなくてはなりません。
※3 この場合、申請人であるフィリピン人はフィリピンにいますので、申請人は物理的に申請に赴くことができません。技能実習の大半は監理型ですので、通常は監理団体がJITCOなどを通して行います。
※4 手続きの説明上、許可がおりるパターンのみを記載していますが、許可がおりないこともあります。
※注 MWO申請は、受入れ機関が初めてフィリピン人を受け入れる場合に必要となります。同じ契約条件で人数枠を増やす場合には、新規申請より手続きの簡単な追加申請を行います。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回は、技能実習生としてフィリピン人を受け入れる場合に、どのような書類を用意し、どのような手続きをすれば良いのか、特定技能との違いを見ながら解説をしてきました。
特定技能の書類と大きく違う点は、次の2点です。
- RA(Recrutement Agreement/協定書)における日本側の当事者が異なる
- 必用書類が異なる
手続で特定技能と異なる点は、次の2点です。
- 日本側の手続きの当事者が、監理団体になる
- 外国人実習生機構に認定申請を行う時間をスケジュールに入れる必要がある
「フィリピン人を雇用したいが、何から始めて良いのか分からない」、「雇用契約を締結してから、MWO申請とかいう申請が必要だということが分かった」という受入れ機関様や管理団体様は多いです。
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