フィリピン人を採用する際、MWO(Migrant Workers Office:旧POLO)での労働契約承認手続きは避けて通れません。本記事で解説する「Professional Skilled Worker(専門職・技能職)」とは、主に「技術・人文知識・国際業務(技人国)」や「教授 / 教育」、「医療/介護」などの在留資格でフィリピン人高度人材を受け入れる際の手続きを指します。東京(MWO Tokyo)と大阪(MWO Osaka)で必要書類や手順がどう違うのか、何から準備すればいいのかでお悩みの方に向けて、2026年最新の要件を整理しました。
【この記事の要点まとめ】
- 対象の在留資格:「技術・人文知識・国際業務(技人国)」をはじめ、「教授」「教育」「医療」「介護」などの専門職・高度人材(※特定技能や技能実習とは申請区分が異なります)
- 申請の形式:フィリピン政府認定の送出し機関(PRA)を経由して申請を行うルート
- 東京・大阪の違い:就業場所による管轄の違いや、必要書類の差を比較表で明示
- 準備のポイント:英語表記・英語翻訳・署名捺印など、実務でつまずきやすい具体的な注意点を解説
対象となる在留資格(Professional Skilled Workerとは?)
MWO手続きにおいて「Professional Skilled Worker(専門職・技術者)」に区分されるのは、主に高度な知識や技術、専門性を要する就労ビザでフィリピン人を受け入れるケースです。
具体的には、以下の在留資格で雇用する場合が対象となります。
- 技術・人文知識・国際業務(ITエンジニア、通訳・翻訳、機械設計、総合職など)
- 教授 / 教育(大学教授、小・中・高校や語学学校の語学教師など)
- 医療(医師、看護師など)
- 介護(介護福祉士資格保持者)
- 技能(外国料理の調理師、外国様式の建築技能者、スポーツ指導者など)
- 高度専門職 など
※「特定技能」「技能実習」「興行」は別カテゴリーです
フィリピン人の雇用でよく知られる「特定技能」や「技能実習」、ダンサー・アーティスト等の「興行」は、フィリピン政府(MWO/DMW)の区分上、Professional Skilled Workerとは全く異なるカテゴリーに分類されています。
申請に必要な書類やフォーマット、手続きのステップが大幅に異なります。そのため、手続きを進める前には必ずご自身の受入企業を管轄するMWO(東京または大阪)へ電話やメールで直接お問い合わせいただき、確認することをおすすめします。
MWO東京と大阪のカテゴリーの違いについては、以下のブログ記事で解説しています。

【MWOへの確認例】
「○○(取得予定の在留資格名)でフィリピン人を雇用する予定ですが、どのカテゴリーの書類で申請を進めればよいでしょうか?」
就業場所の管轄確認(MWO東京 vs MWO大阪)
就業先の所在地によって、東京と大阪のどちらに申請するかが決まります。受入れ企業の本社の所在地が管轄を決めるわけではありません。東日本エリアはMWO東京、西日本エリアはMWO大阪がそれぞれ管轄しています。
MWO東京の管轄地域
関東・東北・北海道・中部の一部を中心とした東日本エリアが対象です。
- 北海道・東北: 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
- 関東: 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県
- 甲信越・北陸: 山梨県、長野県、新潟県
- 東海: 静岡県
- その他:沖縄県
MWO大阪の管轄地域
近畿・中四国・九州・沖縄を中心とした西日本エリアが対象です。
- 近畿: 大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県、三重県
- 中国: 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
- 四国: 徳島県、香川県、愛媛県、高知県
- 九州: 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
- その他: 岐阜県、愛知県、石川県、富山県、福井県
MWO東京とMWO大阪の連絡先、運用の違いについては、以下のブログ記事で詳しく解説しています。

【一目でわかる】MWO東京・大阪の必要書類チェックリスト
初めて「Agency Hired(現地送り出し機関経由)」でProfessional Skilled Workerを雇用する場合の必要書類一覧です。
大枠として求められる書類(協定書や会社情報など)は共通していますが、「MWO指定の専用フォーマットが東京と大阪で異なる」「提出書類が異なる」といった細かな違いが存在します。必ずご自身の管轄エリアの最新様式を取得して作成してください。
○ー提出必要 △ー場合により提出必要 ✕ー提出不要
| 書類名称 英語 日本語 | MWO 東京 | MWO 大阪 | 備考 |
| Application form 申請書 | ○ | ○ | テンプレートあり |
| Recruitment Agreement 協定書 | ○ | ○ | テンプレートあり 日本の公証役場にて公証必要 |
| Joint Affidavit Undertaking 宣誓供述書 | ✕ | △ | テンプレートあり 念のため提出する場合は公証必要 |
| Master Employment Contract 雇用契約書 | ○ | ○ | テンプレートあり |
| Manpower Request 求人依頼書 | ○ | ○ | テンプレートあり |
| Business/ License Permit 営業許可証 | ✕ | ○ | |
| Company Registration 登記簿謄本 (原本) | ○ | ○ | 個人事業主の場合は事業許可証および 納税証明書 翻訳必要 |
| Company profile 会社概要 | ✕ | ○ | テンプレートあり |
| Copy of ID (Employer) 雇用主の身分証明書の写し | ○ | ○ | パスポート、運転免許証、マイナンバーカードなど パスポート以外は 翻訳必要 |
| Copy of Passport (PRA) PRA代表者のパスポートの写し | ○ | ○ | |
| Copy of PRA License PRAライセンスの写し | ○ | ○ |
必要書類の準備方法と実務上の注意点
Professional Skilled WorkerをAgency Hired(現地送り出し機関経由)で雇用する場合、企業側で完結する手続きだけでなく、フィリピン現地の送り出し機関(PRA)との密な連携が必要となります。
Direct Hire(直接雇用)の手続きとは異なり、Agency Hired特有の実務上の注意点がありますので、以下のポイントを必ず押さえて準備を進めてください。
PRA(現地送り出し機関)の選定・ライセンス確認・協定書のチェックポイント
現地送り出し機関経由で申請を進める際、まず何よりも先に行うべきなのが「PRA(フィリピン現地送り出し機関)がフィリピン移民労働省(DMW / 旧POEA)から正式な認可を受けているか(有効なライセンスを保持しているか)」の確認です。
PRAから受領するライセンスコピーなどの必要書類に記載不備や有効期限切れがあると、MWOでの審査は一切進まなくなってしまいます。書類作成の初期段階で、必ずPRA側の担当者とライセンスの有効期限などを確認しましょう。
また、実務上で特に注意したいのが「Recruitment Agreement(協定書)」の取り扱いです。
この書類は基本的にPRA側で準備してもらえることが多いですが、署名や公証(Notary)手続きを行う前に、受入企業の「英語表記の社名」「所在地住所」「代表者氏名」に間違いがないか必ずチェックしてください。修正の手間やタイムロスを防ぐためにも、紙の原本を送付してもらう前に一度PDFなどのデータでプレビュー送付してもらい、内容を確認するのが確実です。
なお、一度特定のPRAと契約を交わしてしまうと、後から別のPRAへの変更や切り替えは容易ではありません。 契約を結ぶ前の段階で、連絡のレスポンスの速さややり取りの正確性などを慎重に見極め、心から信頼できるPRAを選定することが成功の鍵となります。
全ての書類を英語で表記する必要がある
MWO(Migrant Workers Office)に提出する書類は、申請書や理由書だけでなく、社内資料や添付書類、翻訳文書も含めて原則としてすべて英語表記(英文作成)で準備する必要があります。
- 会社名や住所の表記 会社案内や各種申請書に記載する会社名・所在地・代表者名なども、すべて正しい英語表記に統一してください。
- 表記の表記揺れに注意 例えば、雇用契約書と会社案内(Company Profile)で会社名の英文表記が微妙に異なっていたりすると、審査時に補正や差し戻しの対象となります。全書類で表記が一致しているかを必ずチェックしましょう。
日本語の書類は全て英語翻訳が必要になる
日本の官公庁や法務局などで発行される公式書類(履歴事項全部証明書など)、あるいは日本側で日本語で作成された資料を提出する場合は、必ず「英語への翻訳文(英訳)」を添付しなければなりません。
- 対象となる主な書類
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
- 営業許可証
- 雇用主の身分証明書(パスポート以外)
- その他、日本側で発行・作成された証明書や理由書など
- 翻訳者の署名と正確性 英訳文には、ただ翻訳するだけでなく「誰が翻訳したか」を明確にするため、翻訳者の署名(または捺印)を記載した翻訳証明を添えるのが実務上の基本ルールです。専門用語や法律用語も多いため、誤訳や不正確な表現がないよう慎重に翻訳を準備する必要があります。
Recruitment Agreement(協定書)の「公証(Notarization)」が必要になる
認定送出し機関(PRA)を通して雇用する場合は、受入れ企業とPRAとの間で締結する「Recruitment Agreement(協定書)」に対して公証を受けます。
Joint Affidavit Undertaking(宣誓供述書)を念のため提出する場合(MWO大阪のみ)は、Joint Affidavit Undertaking(宣誓供述書)にも公証を取得します。
ただし、別々に公証を受ける必要はなく、公証役場へ一緒に提出することで、協定書のみの手数料で認証を受けることができます。
- 実務での注意点
- 公証を受けるタイミングや署名方法(公証人の前での署名が必要か等)について、事前に公証役場へ確認して準備を進めましょう。(公証役場によっては、事前に予約が必要であったり、公証に必要な書類をデータやFAXで送付することを求められる場合があります。)
- 契約内容や英文表記に不備があると、公証後に修正が生じた際、再度公証を受け直す手間と費用が発生してしまいます。公証前に必ず内容に誤りがないか最終チェックを行いましょう。
MWO書類の公証については、以下のブログ記事で詳しく解説しています。

理由書・説明書には「代表者の署名・会社印の捺印」が必要になる
MWO大阪に提出する理由書や説明書などの各種レター類には、代表者の署名(サイン)と会社印の捺印が必須となります。
- 署名・捺印のルール
- 署名(サイン): 代表者ご本人が「漢字・日本語」で自署します。
- 捺印: 印鑑証明登録のある「会社実印(代表者印)」で捺印します。
- 対象となる主な理由書・説明書(英文レター)
- MWOへ宛てたカバーレター(送付状)
- Employment Acquisition Statement(就労先確保の経緯に関する陳述書/採用経緯書)
- COE(在留資格認定証明書)が提出できない理由書(日本国内での転職・変更の場合)
- 健康保険証が提出できない理由書(フィリピン現地からの呼び寄せで、入国前のため未加入の場合)など
💡 実務で使えるワンポイント 署名欄の一番下には、あらかじめ**「会社名」「役職」「代表者氏名(アルファベット等)」をPC(パソコン)入力で印字しておく**のがおすすめです。 署名漏れの予防になるだけでなく、英文レターであっても「誰がサインしたのか」がMWO側に明確に伝わり、審査をスムーズに進めることができます。
MWO東京・大阪の違いを押さえ、確実な手続きを
初めてAgency Hired(現地送り出し機関経由)でフィリピン人専門職(Professional Skilled Worker)を雇用する際、MWO(Migrant Workers Office)での雇用契約認証は避けて通れない重要なプロセスです。
MWO申請では、基本となる提出書類こそ共通しているものの、管轄が「MWO東京」か「MWO大阪」かによって、使用する申請様式(フォーマット)や添付書類の細かな要件、実務上の運用ルールが大きく異なります。
「東京のフォーマットで作成した書類を大阪に提出してしまい、最初からやり直しになった」
「PRA(現地送り出し機関)との連絡や英文書類の作成がスムーズにいかず、申請がストップしてしまった」
といったトラブルや大幅なタイムロスを防ぐためには、自社の管轄に応じた最新の正確な情報をもとに、初期段階から入念な準備を進めることが何より大切です。
フィリピン人専門職のMWO申請・受入サポートのご案内
行政書士長尾真由子事務所では、MWO大阪の申請手続きを中心に豊富な実務経験があり、西日本エリアの運用ルールや独自の審査傾向に熟知しております。
また、MWO東京管轄の申請につきましても、最新の要件や提出フォーマットを個別にしっかりと確認・精査した上で、確実な書類作成・手続サポートを行っております。
- 「自社が準備すべき正確な書類リストやフォーマットを確認したい」
- 「英文契約書や会社書類の英訳、公証手続きまで一括で任せたい」
- 「現地送り出し機関(PRA)とのやり取りや手続きをスムーズに進めたい」
このようなお悩みをお持ちの企業様や人事担当者様は、ぜひお気軽に当事務所へご相談ください。貴社のスムーズで確実なフィリピン人人材の受け入れを強力にサポートいたします。
サービス内容・料金のご案内
MWO申請サポートの詳しい業務内容や費用目安につきましては、以下の料金ページをご確認ください。

